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生活保護のままでいい…「月10万円」の受給に頼る32歳シングルマザー、「週30時間」しか働きたくない理由

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年10月17日 10時15分

生活保護のままでいい…「月10万円」の受給に頼る32歳シングルマザー、「週30時間」しか働きたくない理由

(※写真はイメージです/PIXTA)

今年7月の最新調査によると、生活保護を受けている人は200万人超え、申請件数は前年同月比10%増を記録しました。物価高が続くなか、生活が困窮する人が増えているのでしょう。生活保護を受けるようになったら、いろいろな制限もあるので「こんな生活から脱却したい」と誰もが思うでしょうが、実際は「できれば生活保護のままでいたい」と願うケースも珍しくないようです。

パートで週30時間、月収18万円の2児のシングルマザー

厚生労働省『令和6年度被保護者調査』の最新7月の結果によると、生活保護を受けているのは201万3,327人、165万4,044世帯でした。7月の申請件数は2万5,235件で、前年同月比11.5%増、保護開始世帯数は2万1,164世帯で前年比11.8%増。一方で保護廃止世帯は1万9,711世帯で前年比16.4%増。昨年から比べると、新たに生活保護を受ける人も、生活保護から抜ける人も増えているという状況です。

さらに世帯の種類別にみていくと、生活保護世帯で最も多いのが「高齢者世帯」で90万9,721世帯。「母子世帯」が6万2,402世帯と続きます。

清水亜子さん(仮名・32歳)5歳と4歳の2児を育てるシングルマザーです。2年前に離婚しましたが、夫からは養育費をもらっていません。

――離婚理由は、元旦那のギャンブル。働いていたものの、もともとあまり家にお金を入れる人ではなく、離婚直前には1円も入れなくなっていました。病気ですね

状況が状況だけに、養育費の話がまとまったところで、そのうちもらえなくなるのが目に見えている。養育費頼りにするとかえって生活に困ることになるから、それなら最初からゼロのほうが都合がいい、そう考えて養育費の取り決めは行わなかったそう。しかし、幼子を抱えながらの生活は想像以上に苦しいといいます。

――ふたりを保育園に預けたあと、平日10~16時でパートで働いています。週に30時間ほど働き、月収は18万円前後、手取りにすると15万円ほどです。

家賃6万円のアパートで、家族3人暮らし。生活保護を受けながら暮らしています。

憲法が定める健康で文化的な最低限度の生活を保障する生活保護。保護を受けようとする人は「利用しうる資産、能力、その他あらゆるものを最低限度の生活の維持のために活用すること」が求められています。これは「売却できる資産や貯金がなく、また働いて収入を得ても最低限度の生活を維持できない場合に利用できますよ」ということです。

生活保護には生活費に充てるための生活扶助、家賃に充てるための住宅扶助のほか、医療費全般に充てる医療扶助、出産費にあたる出産扶助など、8つの扶助があります。さらに障害者加算や妊産婦加算、児童養育加算など、9つの加算もあります。

清水さんが住む東京郊外の町では、生活扶助基準額が14万4,800円、住宅扶助基準額が6万9,800円。さらに清水さんの場合、母子加算が2万3,600円、児童養育加算が2万0,380円も加わり、生活保護費は合計25万8,580円となります。そこから収入を差し引いた、月10万円程度を受け取っています。

生活保護廃止後を心配するシングルマザー

生活保護を受給していると、いろいろな制限が課せられます。

資産を所有していると生活保護は認められないことから、原則土地や持ち家の所有は認められません。ただケースバイケースで、持ち家に住みながら生活保護を受給することはできます。また就労に必要な場合は、車やバイクの所有が認められます。またブランド品などの高価なものは所有できません。ただし国民の多くが所有するモノ、たとえばスマホは、1人につき1台の所有が認められます。

生命保険や医療保険などの保険に新規加入することはできません。貯蓄型の生命保険は資産とみなされるので、原則加入するのはNG。ただし、掛け捨てであれば加入が認められる場合があります。

また生活保護費を借金の返済に充てることはできません。自己破産等、別制度で対応することになります。生活保護中に借金をすることは禁止されていませんが、生活保護費で返すことができないなら、そもそも新たに借りることもできないといえるでしょう。

さらに生活保護中にはケースワーカーが担当につき、職業訓練や生活習慣の改善など、さまざまなアドバイスをしてくれます。生活保護受給者は、このような指導に従う必要があります。

このように、生活保護受給中には、さまざまな制限が課せられ、もししてはいけないことをすると、生活保護は廃止となり、再申請も難しくなります。

生活保護では自立を促し、最終的には廃止を目標に指導を受けることになるでしょう。しかし清水さんは、現状維持を望む気持ちがあるといいます。

――実はありがたいことに、子どもが小学生に進学したら正社員にならないかと誘いを受けています。現状、週30時間ほど働いていますが、勤務時間は週45時間ほどになって、月収は28万円ほどになります。そうなると、生活保護の生活から抜けだせるかもしれない。(勤務先の)社長はそこまで考えてくれています

――子どもが小学校に進学したとき、友だちに生活保護を受けていることがバレたらバカにされるかもしれない。イジメられるかもしれない。子どもたちのためにも生活保護から脱却したほうがいいとわかってはいるのですが

ただ清水さんは、正社員になることに否定的です。

――生活保護が廃止になると、税金や社会保険料など負担が大きくなります。結局、生活保護をもらっていたほうが、生活は安定するんです。週30時間程度、働くだけで十分なんです

生活保護廃止後、生活が不安定になることは珍しくなく、生活保護を再申請するケースも珍しくありません。経済的に不安定なシングルマザー。生活保護で守られたい……それが本音なのかもしれません。

[参考資料]

厚生労働省『令和6年度被保護者調査』

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