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「なぜこんなに図々しいの?」値引き交渉をされてイラッ…。説得力が増す、次につながる“スマートな返し”【アンガーマネジメント協会代表理事が解説】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年11月18日 10時15分

「なぜこんなに図々しいの?」値引き交渉をされてイラッ…。説得力が増す、次につながる“スマートな返し”【アンガーマネジメント協会代表理事が解説】

画像:PIXTA

値引き交渉をされると、つい怒りが湧いてしまうことはありませんか? 「この人はどうしてこんなに図々しいのだろうか」と感じてしまうこともあるかもしれません。研修講師として25万人以上にアンガーマネジメントを指導してきた戸田久実氏は、怒りを冷静に扱い、伝えるべきことはしっかりと伝えることで、信頼関係を深めるきっかけを作れると話します。本稿では、戸田氏の著書『アンガーマネジメント大全』(日経ビジネス人文庫)から、値引き交渉をスムーズに進め、スマート断る、または交渉を優位に進める方法について一部抜粋・編集して紹介します。

線引きラインを“あらかじめ”持っておく

Q:金額の値引き交渉をされると、フツフツと怒りがわいてきます。

A:OK・NGの線引きラインを明確にしよう

相手の希望をいったん受けとめ、値引きできない場合と判断したら明確な理由を伝えましょう。

値引き交渉をされると、「どうしてこの人はこんなに図々しいのだろうか……」 「なんでこんなに値引きの交渉をされなければいけないの?」と怒りがわいてしまうこともあるでしょう。 

値引きに関しては、「この場合はどこまでならばOKで、どこからは応じられない」という線引きのラインを明確に持っておくのがおすすめです。そして、「申し訳ないのですが、この金額以上は交渉に応じることはできません」「〇〇という理由があり、お引き受けすることができかねます」とはっきりと伝えられる用意をしておきましょう。

値引きをする側の心理とは

関西人の友人のなかには「値引き交渉をしなければいけない」という性分を持ち合わせている人もいます。高級ブランド店でさえ、値引き交渉をするという人もいました。こういった人たちにとって、値引き交渉は挨拶のようなもの。世のなかには、相手に関わらず、気軽に値引き交渉をする人もいるのです。

こういったやりとりを間近で見て感じるのは、値引きの話が出た途端に「何この人!」とひどくムスッとした顔をしたり、即座に相手を否定したりする人は、その場の雰囲気をとても悪くしてしまうということです。たとえ驚いたとしても、場を壊すことなくスマートに対応できるようになるのが理想的です。

たとえば、相手の希望をいったんは「〇〇円でということですね」と受けとめつつ「こういう理由でこれ以上の値引きは難しいのです」と返答できると、その場の雰囲気を壊すことなく、こちらの意向を伝えられます。

もしくは、多少値引きができるのであれば、「本来はお受けしないのですが、お客様には特別に……」という伝え方で値引きをしたり、「値引きは難しいのですが、このようなオプションをつけることはできます。いかがでしょうか」と返答したりするのもよいでしょう。

値引き交渉を受けるときは「全体を見て」考える

先ほどのように、挨拶のような感覚で値引き交渉をしている人もいるので、値引き交渉を受ける側のときは、イラッとした顔をしたり、軽蔑のまなざしをしたりしないように心がけましょう。

わたし自身も、人数や予算の面で値引き交渉を受けることがあります。交渉があった場合は、金額以外の付加価値も含め、全体を見て考えることも必要です。

たとえば、わたしが金額面以外に考慮しているケースは、下記の場合です。

・長いお付き合いをしている取引先や、今後も数年やりとりが続くと予想される取引先の場合

相手の事情がわかれば(予算、緊急性のある内容など)、申込講座をパッケージにして値引きするなど、何かしら方法を考えてお引き受けすることがあります。

・講演料が規定の額に満たなくても、SNSなどPR・広告効果が見込める場合

・社会貢献につながる場合

子育て中の母親たちの支援につながると思ったものは、交通費程度の金額でもお引き受けしたことがあります。ただし、「この金額で受けるので、日程は繁忙期ではない時期に実施させてもらえませんか?」という別の交渉を行いました。

次につながるスマートな「断り方」

すぐその場で値引きの判断ができない場合や、自分にその判断をする権限がない場合は、その事実を相手に伝えて、一度持ち帰りましょう。持ち帰る際は、返答期限を確認したり、上司に確認をとって返答する旨を伝えておくことも忘れずに行いましょう。内容にもよりますが、わたしの場合は、早くて翌日、長くて1週間くらいの時間をもらうようにしています。

最終的に金額を引くことができない場合には、「申し訳ありません。ほかのお客様と公平にしなければいけませんので、ご理解いただければ幸いです」とお伝えします。先方の希望に応じることができないと判断したときは、その理由まで伝えるのもポイントです。返答に説得力が増し、相手も「そうだよね。それは無理だよね」と納得を得られやすくなるからです。また、理由を話しておくことで、次につながる可能性もあります。

「前回は〇〇が理由で無理だったけれど、今回はその条件をクリアしているから……」と再度ご依頼をいただくこともあるかもしれません。「ちょっとダメなんです」「やはり無理です」だけでは、一方的に断られたという印象を相手に与えてしまうこともあります。逆に、明確な理由があると、「無下に断られた」という印象は与えません。

このように、金額交渉の対応や断り方は今後の関係も左右する分、とても大切です。お互いにとってよい形になるよう、スマートな対応を身につけていきましょう。

戸田 久実

アドット・コミュニケーション株式会社代表取締役

一般社団法人日本アンガーマネジメント協会代表理事

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