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そんなバカな…「他人の相続税」を払わないといけないケースと回避法【税理士が解説】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年10月23日 9時15分

そんなバカな…「他人の相続税」を払わないといけないケースと回避法【税理士が解説】

※画像はイメージです/PIXTA

相続税は誰が払うものなのか……意外と勘違いしている人も多いもの。基本的に相続した人が各自払うものですが、ほかの相続人の相続税を払わないといけないという、思わず「そんなバカな……」と思わず怒りを覚えるようなケースもあります。税理士が解説します。

相続税を払わなければならない「遺産総額」とは

相続税とは、被相続人から相続人などが遺産を受け取ったときにその受け取った遺産に対して課税されるものです。相続税には基礎控除があり、被相続人の遺産の合計額が基礎控除額を超えると、相続税を払わなければなりません。

基礎控除額は次の算式で計算された金額です。

基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数

法定相続人の数には、相続放棄した法定相続人も含めます。また、法定相続人の数に含めることができる普通養子には制限があり、実子がいる場合は1人まで、実子がいない場合は2人までとなります。

「相続税は誰が払うか」についてありがちな誤解

ここからは、相続税は誰が払うかについてありがちな誤解をQ&A形式で解きながら解説します。

相続税は相続人全員が均等に払うのですか?

相続税の税額は、実際に受け取った遺産の割合に応じて分配するので、遺産を多く受け取った人は相続税を多く払うことになります。相続人全員が均等に払うのではありません。

相続税の税額は次のようなステップで計算します。

1.課税対象の遺産総額から基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を控除し、課税遺産総額(A)を求める。  

2.各相続人が法定相続分で遺産を受け取ったと仮定して、課税遺産総額(A)から各相続人の取得金額(B)を求める。  

3.相続税の総額を求めるために、各相続人の取得金額(B)をもとに各相続人の仮の税額(C)を求める。  

4.各相続人の仮の税額(C)を合算して相続税の総額(D)を求める。  

5.相続税の総額(D)を実際に遺産を分配した割合で分けて、各人の相続税額(E)を求める。  

6.各人の相続税額(E)に配偶者の税額軽減、未成年者控除、障害者控除、2割加算などをして、各人の納付税額を求める。

このように相続税は遺産を取得した人がその取得割合に応じて支払います。多くの遺産を取得した人が多く相続税を支払い、少ない場合には相続税も少ないというものです。

相続税は誰かが代表で払うのですか?

相続税は、相続や遺贈によって被相続人から遺産を受け取った人が、それぞれ申告、納税することが原則です。

相続税の申告書第1表では、財産を受け取った人(相続人)の欄がありますが、第1表(続)として相続人の欄が増やせるようになっています。そのため、共同で申告しなければならないという誤解を招いていますが、あくまでも、共同で申告してもよいという規定にすぎません。

このため相続税の納税については各人が行う必要があります。たとえば他の相続人の相続税を立て替えて払ってあげるなどの行為を行いますと、他の人の相続税を肩代わりしてあげたことになり贈与税が発生するリスクがありますので注意が必要です。

相続税を払うのは法定相続人だけですか?

相続税とは、被相続人から受け取った遺産に対して課税されるものです。法定相続人でない人が遺言によって遺産を受け取った場合でも、相続税を納税する義務はあります。

法定相続人でない人の相続税は2割加算される

相続や遺贈によって遺産を受け取った人が、被相続人から見て次の関係に当てはまらない場合は、相続税額が2割加算されます。

・配偶者

・代襲相続人となる孫

・親、子など一親等の血族

法定相続人でない人は、ほとんどの場合この条件に当てはまらず、相続税が2割加算されることになります。

他の相続人の相続税を立て替えて払いたいのですが問題はありますか?

他の相続人の相続税を立て替えて払うケースは、実際にはよくあります。一時的に立て替えるのであれば問題はありません。

しかし、一時的に立て替えるのではなく肩代わりする場合は贈与とみなされ、贈与税の課税対象になります。  

「他の相続人の相続税」を払わないといけないケースとは?

ある相続人が相続税を滞納した場合、残りの相続人は、相続で受け取った遺産の額を限度に連帯して納付しなければなりません。これを「連帯納付義務」といいます。

連帯納付義務とは

相続人のうち1人でも相続税を納税しない人がいれば、税務署から他の相続人に納付通知書が送られることがあります。

かつては、相続からかなりの期間が経ってから納付通知書が送られてくるケースもありました。しかし、申告期限が平成24年4月1日以後の相続税については、一定の要件のもとで連帯納付義務が解消することとなりました。申告期限から5年を経過した場合、または延納や納税猶予を受けている場合は、連帯納付義務はありません。

連帯納付義務による追加の支払いを防ぐには

連帯納付義務によって支払いが督促されてからでは有効な対策はなく、泣く泣く他の相続人の相続税を払うケースも少なくありません。このようなことにならないためには、事前の対策が重要になります。

具体的には、相続人全員が納税するか確認することがあげられます。相続人どうし密に連絡を取り合って、納税の状況を確認します。相続人全員の申告から納税まで、専門の税理士に支援を依頼するのも一つの方法です。

相続人が相続税を払う前に亡くなれば納税義務は承継される

不幸にして、相続人が相続税の申告書を提出する前に亡くなることもあります。このようなときは、その亡くなった人の相続人が相続税の申告義務を承継します。例をあげて説明します。

【例】

:2015年3月1日死亡。  

:親の相続人。2015年7月1日死亡。親の死亡に係る相続税の申告義務があったが、申告前に死亡した。  

:子の相続人。この場合、親の死亡に係る相続税の申告・納税は、孫が行う。

申告期限は子の死亡から10か月以内(この例では2016年5月1日まで)。

届出先は親の住所地を管轄する税務署。

相続税申告は想像以上に大変な作業になる

ここまで、相続税は誰が払うかについて解説してきました。

相続税は被相続人から受け取った遺産について課税されるものであって、法定相続人であるか否かは関係ありません。また、相続税は相続人全員が均等に払うのではなく、相続した財産の額に応じて納税額は増減します。

つまり相続人ごとに支払う税額が異なるということです。

これが相続税申告が大変な理由の一つで、相続人が複数いる場合には「あなたはこのくらい財産を相続したからこのくらいの税額を支払って、あなたはこのくらいの財産を相続したからこのくらいの税額を支払う」という作業を相続人間で協力して行わなければなりません。

さらに、配偶者控除や未成年者控除、障害者控除といったそれぞれの相続人に応じた控除の特例もあり、すべてを見落としなく行うのは大変な作業であると言えます。

そんな時には、税理士に相続税申告を依頼することを検討すると良いでしょう。税理士に依頼すれば、基本的にはすべての相続人の支払うべき税額をそれぞれ算出してもらえます。そうすれば後はそれぞれが算出した税額を納めるだけなので、自分たちで計算するより手間がかからずさらに安心であるといえるでしょう。  

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