おいしい儲け話で釣るのは詐欺師だけじゃない…「銀行」が投資初心者にすすめる「危険な金融商品の名前」【元キャリア官僚が警告】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年11月27日 9時15分
資産を殖やそうとおいしい儲け話にのって投資をした結果、大損。そんな人は決して少なくありません。金融トラブルでよくあるケースはどのようなものだと思いますか? 詐欺がらみのものというイメージが強いかもしれませんが、実際は……。本記事では、我妻佳祐氏の著書『金融地獄を生き抜け 世界一簡単なお金リテラシーこれだけ』より、銀行がからむ金融トラブルについて解説します。
銀行がすすめるハイリスクな商品
リスクがほとんどないのは「銀行預金」であって、「銀行の金融商品」がすべて安全というわけではありません。銀行は預金以外にも、さまざまな金融商品を扱っています。その中にはリスクの高いものもあるので、「銀行がすすめるのだから安全だろう」という思い込みは避けなければいけません。
その典型例が、一般的に「仕組債」と呼ばれる投資商品です。非常に複雑な「仕組み」を持つ「債券」なので、そもそも投資初心者はまず理解できないでしょう。
あえて簡単にいうなら「オプションやスワップなどのデリバティブ(金融派生商品)が組み込まれた債券」となるのですが、これだけではチンプンカンプンで「ちっとも簡単じゃない」と苦笑する人が大半だと思います。
詳しく知りたければ「仕組債」でネット検索してみてもいいとは思いますが、見たことも聞いたこともない難しい専門用語が飛び交い、ぱっと見ただけでは意味のよくわからないグラフなども出てくるので、たいていの人は「無理」とあきらめて閉じることになるでしょう。
でも、それでかまいません。きわめてハイリスクな商品ですから、初心者は理解しようとしなくてよいのでスルーしてください。日頃から「オプション」「スワップ」「デリバティブ」といった専門用語に馴染んでいるタイプの人が、あくまでも「趣味」としてやるべきものです。
ところが実際には、そのリスクを十分に説明せずに仕組債を販売する銀行や証券会社が少なくありません。そのため、個人だけでなく地方自治体や大学などが大きな損失を出すケースが相次ぎ、社会問題になっています。
それを受けて、金融庁は2010年に監督を強化。仕組債の販売にあたっては、最悪のシナリオを想定した損失額を顧客が理解できるように説明しなければいけないといった内容の文書を示しています。
念のためにいっておきますが、仕組債を販売すること自体は、法律違反ではありません。問題なのは、あくまでも「きちんと説明せずに販売すること」です。
ならばきちんと説明してから売ればよいのですが、いまも仕組債で損失を出した人たちからの苦情はなくなりません。2023年には、証券取引等監視委員会が金融庁に対して、リスクをきちんと説明せずに仕組債を販売した地方銀行や証券会社の行政処分を求めました。
「おいしい儲け話」を巧妙にすすめてくるのは、詐欺グループだけではないのです。
銀行が相手でも油断は禁物
いまは銀行も左うちわで経営ができる時代ではないので、高い手数料が取れる仕組債などの商品を売らざるを得ないのかもしれませんが、やはりルールは守ってもらわなければいけません。
最近でも、地銀の名門である千葉銀行での不適切な販売が問題になりました。聞いたこともない、みるからに怪しい会社なら警戒心も起こるでしょうが、千葉銀行のような社会的信用の高い企業ですら、そのようなリスクの高い商品を紹介してくる可能性があるということです。一瞬たりとも油断はできません。
先ほど「リスクの低いものから紹介する」といったばかりなのに、いきなり仕組債という危ない商品の話になってしまいました。
戸惑った人もいるでしょうが、投資は、どこにどんな落とし穴があるかわからないので、油断は禁物です。もっともリスクの低い金融商品である預金と、非常にリスクの高い部類の金融商品である仕組債が同じ銀行で扱われているのです。
仕組債以外にも、銀行はいろいろな投資商品を扱いますから、とにかく普通預金・定期預金以外は何らかのリスクがあるものと思って、しっかりとした説明を受けましょう(仕組債と同様の性質を持つ「仕組預金」という預金もあるので本当に油断は禁物です)。
どんなリスクがあるのかを丁寧に説明しないようなら、そんな銀行は信用してはいけません。
普通預金や定期預金のような「よく知っている銀行のサービス」以外の、銀行が扱う投資商品については、「〇〇銀行」という看板とは関係のない別のものだと考えましょう。
金融トラブルでよくあるケースが「銀行がすすめてくる商品だったので安全なものだと思った」というものです。銀行預金は安心して使えるものだとしても、銀行に気を許してはいけません。
我妻佳祐 マネックスライフセトルメント代表取締役
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