年金生活「毎月3.7万円」毎年膨れ上がる赤字…さらに家計を圧迫する「老人ホームの請求額」
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年10月17日 20時0分
(※写真はイメージです/PIXTA)
厚生労働省『令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、厚生年金保険(第1号)受給者の平均年金月額は、老齢年金で14万4,982円です。これが平均の金額ですが、世帯で考えれば、共働きの夫婦で合わせて25万円程度もらえれば良いほうではないでしょうか。もし、専業主婦だった場合は国民年金のみで妻は月に5万円ほど、夫婦で20万円弱の金額となります。
国の報告書に黒々と記される「不足分 3万7,916円」
年金は偶数月の15日に、2ヵ月分をまとめて支給されます。本日は10月17日。2日前が支給日でした。
支給日から数日間は、年金支給者を対象にセールをおこなうスーパーも多くあるようです。この機会に2ヵ月分のお米を買って、ひとまず生活は何とか…、と家計をやりくりしている方もいらっしゃいます。
さて、総務省『家計調査年報(家計収支編)2023年(令和5年)Ⅱ 総世帯及び単身世帯の家計収支』では、二人以上の世帯および単身世帯の家計収支の状況について詳細を記しています。
65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)について見ていくと、1ヵ月あたり実収入は24万4,580円、消費支出は25万959円となっています。実収入の89.3%は社会保障給付。そして表の右側に目を向けると「不足分 3万7,916円」と残酷な現実が黒々と記されています[図表1]。
また世代別に65歳以上の無職世帯の家計収支を詳しく見ていくと、65~69歳世帯の生活資金の「黒字」は「-4万630円」、70~74歳世帯では「-3万5,546円」、75歳以上世帯では「-2万4,640円」となっています。
年金をはじめとした社会保障制度は「ないと困る」ものではあるものの、それだけでなんとかなるものでもないらしい、ということが見て取れます。
厚生労働省が運営する『いっしょに検証!公的年金 〜財政検証結果から読み解く年金の将来〜』では、「おおよその年金額を知りたいときはどうしたらいいんだ?」という質問に対して、次のような金額が例としてあげられていました。
“厚生年金に40年間加入して、その期間の平均収入(月額換算した賞与含む)が月43.9万円の場合、受給額は月額約9.0万円の老齢厚生年金と、月額約6.5万円の老齢基礎年金を合計した約15.6万円(令和2年度)になります。”
しかし厚生労働省年金局が発表した『令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』では、受給者が毎年増加していくなか、厚生年金受給額はこの5年間で約1,000円減少していることが明らかになっています。発表通りの年金額を受け取れるとは限りません。
家族が「要介護」になったら…
また、家族が認知症など要介護になったときのことを想定しているでしょうか。自分の家族であるわけだから、自身が会社を退職し、面倒をみるという選択肢もありえましょう。しかしその金銭的・身体的な負担は重いものです。
もちろん介護保険はあるものの、料金の安い特養老人ホームなどは順番待ちであることも多く、そうなると入居一時金などの初期費用だけで数百万円かかる有料老人ホームを頼ることになります。
現役時代には高収入で一定の貯蓄額があり、年金も比較的高い額を得ていたとしても、老人ホームに入居するとなるとあっという間に生活資金が底をついてしまう……。そういった事例は決して少ないものではありません。
「年金」制度は現役世代が受給世代を支える賦課方式ですが、すでに「支えきれていない」ことは明らかです。「老後2,000万円不足」「人生100年時代」「副業・兼業推進」など、将来不安を掻き立てられるワードが政府発で並び立てられている悲しい現実があります。
はっきりとした言葉では表現されませんが、今後、日本の社会が成立するためには資産形成の自助努力が必要となるでしょう。iDeCo、新NISA……税メリットのある投資制度の登場によって「貯める」以外の選択肢に光が当てられるようにもなりました。
とはいえ、仕組みが複雑で手を出しにくい、と考えている人が多いのも事実。
資産形成について学ぶセミナーは至るところで開催されているので、まずは第一歩としてセミナーに参加するのもよいでしょう。個人情報を渡したくない!と考えるのであれば、YouTubeで「投資 初心者」と検索すると大量の動画が出てきます。
物は試しと、適当な動画を見るのも一手ではないでしょうか。資産形成、特に投資業界には黒い噂もちらほら聞かれますが、「怪しい」「怪しくない」を自分で判断するためにも、まずは知識を蓄えることが大切です。
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