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儲からないから保険会社は売りたがらないが…元キャリア官僚が「究極の老後への備え」と断言する金融商品の名前<br />

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年12月28日 10時45分

儲からないから保険会社は売りたがらないが…元キャリア官僚が「究極の老後への備え」と断言する金融商品の名前&lt;br /&gt;

もしみんなが民間の終身年金で老後に備えると、「長生きしてお金が足りなくなるかもしれない」という不安がなくなり、余計な貯蓄や無理な節約をする必要がありません。安心して消費ができます。それぞれの個人は豊かな老後を送れますし、経済にもよい影響を与えるでしょう。そういう意味で、終身年金は合理的な仕組みであり、究極の「DIE WITH ZERO(ゼロで死ぬ=死ぬときまでにお金はすべて使い切る)」です。――我妻佳祐氏は著書『金融地獄を生き抜け 世界一簡単なお金リテラシーこれだけ』にて、そう指摘します。「終身年金」とは一体どのようなものなのか、本記事で詳しくみていきましょう。

「早死にすると損」人気が低いが…合理的な「終身年金」の仕組み

日本でも諸外国でも、民間の保険会社などが扱う終身年金はなかなか普及しません。その理由のひとつは、「早死にすると損」だからでしょう。

終身年金は、いわば早く亡くなった人の貯金を長く生きている人に渡すような仕組みです。貯蓄として持っていれば、早く亡くなったときは余りを遺族が相続することになりますが、終身年金では遺産として残せません。もちろん終身年金は長生きすればするほど得をするのですが、自分が損をする可能性のほうに目を向けがちなのが人間の心理です。自分が早死にしたことで長生きした人が得をするのは、たしかにあまり気持ちのよいものではありません。

でも、その一方で、多くの人が長生きを望んでいることもたしかです。ならば、「長生きしたほうが得」な年金システムのほうが社会にとって健全ではないでしょうか。「長生きしたら損をする社会」は、なにか間違っているような気がしてなりません。

保険会社が売りたがらない

また、生命保険会社が販売に消極的なのも、終身年金があまり普及しない要因のひとつです。保険会社が積極的に売りたがらないのは、単純な話、儲からないから。

人気がないので売るのも大変な上、契約者が長生きすれば、保険会社は長く年金を払わなければいけません。それに備えて資金を積み立てておく必要もあります。日本人の寿命はまだまだ延びていくと予測されていますので、終身年金を提供してしまうと、30年も40年も支払いを続けていかなければならなくなるかもしれません。

それは生命保険会社にとって非常に負担が大きいので、終身年金は保険会社にとって割に合わない商品なのです。

「終身年金」が高齢化問題の有効なソリューションに

でも、個人にとっても社会にとっても、終身年金は合理的なものです。

どんどん進む高齢化は、社会保障費の増大をはじめとしてさまざまな歪みを生んでいますが、もし終身年金がもっと広く普及すれば、高齢化問題の有効なソリューションになる可能性があります。

「終身年金パズル」を解いて1歩リード

終身年金が社会にとって非常に合理的なものなのに、全然、普及が進まないことは日本だけでなく諸外国でも同様で、それは「終身年金パズル」とよばれています。日本がこのパズルを世界に先駆けて解くことができれば、長寿化する社会で1歩リードすることができるのではないでしょうか。

国民年金や厚生年金は終身保険ですが、それに加えて民間の終身年金があれば、いまよりも多くの高齢者が毎月の生活費や趣味のための資金をまかなうことができるようになり、「今月の年金を使い果たしても来月また入ってくるから」と安心してお金を使うことができるでしょう。

また、年金については「現役世代の負担」が常に問題になりますが、民間の終身年金であれば「同世代でのシェア」なので、世代間対立を引き起こすこともありません。

終身年金パズルの解決は、高齢化が加速する現状において、今後重要な社会的課題になってくると思います。  

我妻佳祐 マネックスライフセトルメント代表取締役

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