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あの娘たちは何も悪くないのに…65歳女性、父から1億3000万円の自宅を相続するも憂鬱な日々。原因は〈社会に潰された〉2人の30代の娘【相続の専門家が解説】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年10月21日 11時15分

あの娘たちは何も悪くないのに…65歳女性、父から1億3000万円の自宅を相続するも憂鬱な日々。原因は〈社会に潰された〉2人の30代の娘【相続の専門家が解説】

(※写真はイメージです/PIXTA)

同居してきた父が亡くなり、140坪の土地と自宅を相続することになった恵子さん(65歳女性)。現在はその相続した自宅に、30代の娘2人と3人で暮らしています。しかしその娘2人ともが、一方は病気で、一方は引きこもりと、仕事をして収入を得ることができていない状況です。娘たちの将来の生活がどんどんと不安になる恵子さん……。相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)はどのような方法を提案したのでしょうか。

自宅の土地は140坪、建物は7LDK

恵子さん(65歳女性)は、父親から自宅の土地と建物を相続されています。自宅の土地は140坪あり、その3分の2が建物、奥の3分の1は畑です。

この自宅はもともと、曾祖父の代、戦前に買ったものだそうです。現在の建物は、父親が昭和42年に建て直したもので、築60年近くになります。当時は、祖父母、父母、恵子さん家族(夫婦と子ども2人)皆で住んでおり、いちばん多いときで8人が生活していたといいます。その分部屋も多く7LDKあります。

現在では、祖父母、両親ともに亡くなり、また、夫も50代で亡くなってしまったため、恵子さんと2人の娘との3人暮らしとなっています。

遺言書があったおかげで相続では揉めなかった

昨年父親が亡くなって、自宅は恵子さんが相続されました。

相続人は恵子さんと弟の2人。これまで同居してきた自宅と土地は恵子さんに、弟には、弟が現在家を建てている土地が相続される、という形で生前から合意があり、さらに父親が公正証書遺言も作成してくれたおかげで、相続の手続きは何らもめることなく、弟とも今までどおり円満だといいます。

財産は1億8,000万円

これまで家のことは、何事も父の方針で進んできました。しかしこれからは、恵子さんが自分で判断していかなければならない状況になります。これからのことをアドバイスしてほしいと、親子3人で相談に来られました。

恵子さんの財産は、父親から相続した自宅とご自身の預金です。

140坪の自宅の評価額は1億3000万円を超えており、恵子さんの預金5,000万円と合わせると、財産は1億8000万円想定。2人の子どもの基礎控除は4,200万円ですから、相続税は2,935万円となります。子どもが自宅に同居していれば、小規模宅地等の特例が活かせて相続税は、その3分の1の約1,000万円となります。

課題は2人の子どもの将来

恵子さんの父親は、保険の代理店をしており、母親も恵子さんもその仕事を手伝っていました。しかし父が引退してからは、母も恵子さんも辞めてしまったため、代理店は廃業。現在恵子さんは無職です。

2人の娘は30代。長女は介護系の専門学校を出てから就職しましたが、パワハラが原因で退職。いまだに体調が戻らず、社会復帰が難しいと言います。次女は中学生のころイジメに遭い不登校に。高校はなんとか卒業しましたが、ほとんど自宅にこもる生活をしており、2人とも仕事をして収入を得ることができていない状況です。

自分が亡くなった後、2人の子どもたちが生活していけるのだろうか。それが、恵子さんの悩みごとのようです。そこで、相続プランの委託を頂き、これからどうすればいいか、提案することにしました。

自宅の活用で収入を得る

恵子さんの財産の7割が自宅の土地です。140坪に自宅と畑という現状では、3人で暮らすにも効率が悪く、また収入もないため、持ち出し状態です。

そこで、「自宅土地の活用方法」をあげて、4つの選択肢を提案しました。

【1】自宅土地をそのまま残し、賃貸併用住宅を建てる 【2】自宅土地の奥半分を売却し、売れたお金で手前土地に賃貸併用住宅を建てる 【3】自宅手前を売却し、売れたお金で奥に賃貸併用住宅を建てる 【4】自宅土地を売却して、別の立地に自宅と賃貸不動産を購入する

それぞれ、メリット、デメリットがあります。

【1】自宅土地をそのまま残し、賃貸併用住宅を建てる

メリット

  • 自宅土地はそのまま残せる
  • 家賃が入り返済もでき、手元にも残る

デメリット

  • 3階建ての賃貸併用住宅が建ち、建築費が4億円ほどかかる

【2】自宅土地の奥半分を売却し、売れたお金で手前土地に賃貸併用住宅を建てる

メリット

  • 自宅土地の半分は残せる
  • 家賃が入り返済もでき、手元にも残る

デメリット

  • 土地が半分になり、地形も変わる

【3】自宅手前を売却し、売れたお金で奥に賃貸併用住宅を建てる

メリット

  • 自宅土地の半分は残せる、
  • 家賃が入り返済もでき、手元にも残る

デメリット

  • 土地が半分になり、地形も変わる

【4】自宅土地を売却して、別の立地に自宅と賃貸不動産を購入する

メリット

  • 借入のない自宅と賃貸不動産が持てる

デメリット

  • 住み慣れた土地から離れないといけない

どの方法を選択するのがいいか?

恵子さんはまだ60代。現代の長寿社会においてはご自分の相続までは30年ほどあると想定され、その間の生活費も必要になります。

3人の家族がそれぞれ働いて収入を得ることができればいいのですが、現状ではそれは望めません。だからこそ、土地を生かして収入を得る選択をすることが賢明だと言えます。自宅土地をそのまま残したい気持ちは少なからずありそうですが、現状のままでは建物はどんどん古くなっていき、子どもたちの代まで待てないところ。

【1】は140坪の土地がそのまま残りますが、建て替えの建築費が4億円ほどかかります。しかも全額借入するには子どもが連帯保証をする必要があるのですが、現在2人とも勤務先がない状態ですので、金融機関が連帯保証人として認めないと思われます。よって選択肢からはずれます。

【4】の自宅土地を全部売却した上での住み替えは、140坪の土地(評価額1億3000万円程)を売却できます。新居を購入し、残りで家賃が入る賃貸物件を購入することもでき、借入は不要です。いちばん負担の少ない方法でと言えます。

しかし、恵子さん親子が住替えないといけないこと、長年住んできた土地から離れないといけないことから、即決はできないということでした。

【1】と【4】の折衷案として、半分売却、半分に賃貸併用住宅を建てるという【2】【3】案が現実的な選択肢となりそうです。

まとめ

恵子さん親子は、これまでずっと現在のお住まいで暮らされてきたので、別の土地に転居するという発想はなかったかもしれません。しかし今回、恵子さんの財産評価をしてみると、評価が高いエリアの土地であるだけに相続税もかかるのですが、同居の特例を生かすなどの方法により、まだ節税の可能性があります。

今回の恵子さんの課題点は、将来の子どもたちの収入に対する不安でした。このまま3人とも収入を得る仕事ができなかったとすると、いずれ預金も底をつき、年金だけでは足りないという事態になります。そうなる前に、広すぎる自宅を土地活用し、安定的な収入を得られる選択肢を提案しました。

※登場人物は仮名です。プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。

曽根 惠子 株式会社夢相続代表取締役 公認不動産コンサルティングマスター 相続対策専門士

◆相続対策専門士とは?◆

公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp) 認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。

「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。

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