「カーネルおじさん」の本名は?…日常生活でこそ培われる、東大生を生み出す〈WHY思考〉とは【偏差値35から合格を果たした現役東大生が解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年11月17日 6時15分
(※画像はイメージです/PIXTA)
東大生同士の会話には「なぜ?」が多いと、『東大生が教科別にわかりやすく教える 受験勉強法大全』(幻冬舎)著者の西岡壱誠氏はいいます。ここから見えてくるのは、東大合格のための「WHY思考」の重要性です。WHY思考とはなにか、本記事で詳しくみていきましょう。
東大入試は、「暗記力」よりも「なぜ?」を問う
みなさんは日常生活で「なぜ?」と疑問を感じる頻度は高いでしょうか?
東大をはじめとした難関大入試問題はある程度の基礎学力を前提としていますが、「たくさん物事を覚えているかどうか」を問う問題をほとんど出しません。多くの教科で出題されるのは「なぜ?」という疑問についての問いです。
・なぜシャッター商店街が増えているのか?
・なぜ世界大戦は甚大な被害が発生したのか?
・なぜ長野県と茨城県はレタスが多く獲れるのか? その違いは何なのか?
これはすべて実際に出題された東大の入試問題です。
こうした、勉強だけでなく日常生活で見かけるニュースや新聞に書いてあることに対して、「なぜ?」「どうして?」という疑問や理由を問う問題が多く出題されているのです。
「なぜ?」と問い、その問題に学生はいかに答えを出すのか。そこで難関大入試に求められる能力は『自ら問いを作り、その答えを探す能力』です。5W1Hのなかでも「WHY」を思考する能力が必要とされるわけです。
つまり、頭が良くなりたければ好奇心を持ち続けるのが重要だと言えるのです。
個人的に共通テストもこの考え方を問う問題形式が増えているように思います。これからはさらに「世の中がなぜこんな仕組みになっているのか」を考えたことがあるかどうかが問われる試験になるのではないでしょうか。
東大生同士の会話も「なぜ?」が多い
東大生同士で集まって話していると、かなりの確率で「なぜ?」の会話が生まれます。
街を歩いていても「なぜこんなところに駐車場があるんだろう?」「なぜこのお店は、この時期に期間限定商品を出すんだろう?」と、疑問に立脚した問いをテーマに会話をすることが非常に多くあります。
そしてそれらの問いに対して彼らは「どうでもいいか」「分からない」など思考をやめることなく、仮説を立てたり、時間があれば調べたりして、疑問を解決しているのです。
ここで重要なのは、東大生の多くは遊びの最中だろうが関係なく「なぜ?」を問うのですが、その好奇心と必ずセットで「答えを考える」という姿勢を持っているということです。「なぜ?」と思ったときに、スマホで答えを調べたり人に聞いたりして、答えを知ろうとする習慣を心がけているのです。
・なぜシャッター商店街が増えているのか?
・なぜ世界大戦は甚大な被害が発生したのか?
・なぜ長野県と茨城県はレタスが多く獲れるのか? その違いは何なのか?
そんな、普段は当たり前すぎて疑問にすら思わないようなことすらも、疑問のままで放っておかず、答えを考えて調べる習慣が東大生を作り出しているのです。
疑問を持って生活していると、「勘違い」にも気がつく
このように日常生活に疑問を持って答えを探していると、自分の知識の勘違いに気がつくことがあります。「なぜ?」を追いかけるうちに本当の知識を得ることができるのも、「WHY思考」の面白いところなのです。
例えば、ファストフード店の「ケンタッキーフライドチキン」の創業者として知られる「カーネル・サンダース」は、「ハーランド・デーヴィッド・サンダース」という本名なのを知っていましたか?
実はこの「カーネル」は彼のファーストネームではなく、ケンタッキー州の名誉称号(名誉大佐)で、ケンタッキー州に貢献した人に与えられる称号なのです。つまり、普段何気なく呼んでいる「カーネル・サンダース」とは「サンダース名誉大佐」という意味なのです。
これも「ケンタッキーの白いスーツのおじさんって、誰なんだろう?」という疑問から、「カーネル(“colonel”)」=「大佐」という英単語1個と、友人に話せそうな豆知識を学べた立派な勉強と言えます。
地理的知識がなくても解ける!「WHY思考」で解く東大過去問
では試しに、東大地理で過去に出題された問題に挑戦してみましょう。「なぜ?」がいかに重視されているかが分かっていただけると思います。
「6ヵ国」のみ、経済が成長しているのに「動物性食品」の割合が少ないのはなぜ?
【問題】
A
世界経済の成長とともに、人々の食生活に占める動物性食品の割合が増えつつある。図2‐1は1963年(○)から2013年(●)にかけての、各国の経済状況を表す1人あたりGDPの伸びと、国民1人あたりのカロリー摂取量に占める動物性食品の割合の変化を表している。
(2)図2-1の1~6の国では、1963年以降も経済が成長しているにも関わらず、動物性食品の割合はあまり増えないか減少している。その理由を3行以内で述べなさい。
東京大学 地理 令和2年 より一部抜粋
ここでは図2-1を割愛しますが、「1~6の国」はニュージーランド、オーストラリア、イギリス、アメリカ、スウェーデン、フランスの6ヵ国であることが分かっています。
さて、この6ヵ国で動物性食品の割合が減少傾向にあるのはなぜでしょうか。少し考えてみてください。
まず、この6ヵ国の共通点を考えてみましょう。いずれも経済的に成長している「先進国」といえそうです。その先進国に共通する問題は「少子高齢化」ですね。これはその国のことを知らなくても、同じ先進国である日本に置き換えて考えれば簡単に想像できると思います。
では少子高齢化の進む先進国で、ほかにも国民が課題に感じていることは何でしょうか。ヒントは問題文にもある「カロリー」というキーワードです。そう、健康への問題ですね。先進国では成人病や肥満など肉食中心の食事による健康課題を抱えています。
このことから「成人病や肥満を問題視するなど、健康への関心が高まっているのとともに、少子高齢化によって高齢者の人口割合が増えたことで、野菜や魚介類など低カロリーの食品を摂取する割合が増えたから」という答えが導けそうです。
WHY思考 まとめ
東大の過去問は日頃から身のまわりの「なぜ?」に関心を持ち、答えまでたどり着くための力を問われていると思いませんか。この問題は地理的知識が特になくても答えを思いついた人もいると思います。
疑問を持って学ぶことは、勉強のモチベーションを上げてくれると同時に、学ぶことの面白さが分かることにもつながります。そうして勉強のサイクルを回せるようになるのです。
つまらないと感じながら丸暗記し続けるよりも、丸暗記した知識に「なぜ?」を向けて世界を広げていくことこそが、学問への姿勢といえるのではないでしょうか。
西岡 壱誠
株式会社カルぺ・ディエム
代表
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