アイツに財産は渡さない!――遺産総額2,500万円・70代の元サラリーマン父が遺言書にぶちまけていた「まさかのホンネ」に妻子、絶句
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年10月24日 11時15分
(※写真はイメージです/PIXTA)
相続手続きを行うなか、意外な形で故人の思いに触れることがあります。心温まるものも数多いなか、ときにはそうでないケースも…。ある家庭の相続から、実情を探ります。
仕事を持つ妻とギクシャクしていた、元会社員の高齢男性
高齢化が進展し、多死社会となった日本では、いつもどこかで相続が発生しています。そしてそれに伴い、さまざまなドラマが展開されています。
横浜市緑区在住の鈴木さん(仮名・40代会社員男性)は、今年に入って70代の父親を亡くし、相続手続きを終えたばかりです。
「想定外のことがありまして、いろいろ驚いてばかりで…」
鈴木さんの亡き父親は中小企業のサラリーマン。母親は健在で、いまも自分が経営するお店を切り盛りしています。鈴木さんには3歳年下の弟がいて、兄弟はともに会社員として働き、自分の家庭も築いています。
「父は3年前にがんの診断を受け、入院や手術を繰り返したのですが、今年の1月に亡くなりました」
鈴木さんの母親は、結婚当初は専業主婦だったそうですが、鈴木さんの弟が小学校に上がったタイミングで自分の父親(鈴木さんの祖父)が経営する店を引き継ぎました。商才があったのでしょう。お店は繁盛し、それに伴って家計も潤ったといいます。
「いまと違って、当時は母親が専業主婦をしている家が多かったと思います。父は、自宅を空けてばかりの母を快く思わなかったようで、よく嫌みをいっていましたが、母親はどこ吹く風、といった様子でした」
「私も弟も、母には感謝しています。奨学金なしで大学を出してもらっただけではありません。私は留学させてもらい、弟は私立の理系の大学院を出ています。父だけの収入だったら、きっと無理だったでしょう」
父親が定年退職したあとも母親は商売を続けたおかげで、鈴木さんの実家はゆとりがありましたが、年金収入しかない父親と、商売でかなりの収益を得ている母親とで、懐具合に差が開くと、次第に2人の関係に変化が見られるようになったといいます。
「会話もさらに少なくなった印象でした。でも、年齢を重ねた夫婦がお互い空気のようになるのは、よくある話だと思っていました。そのため心配していなかったのですが…」
ひそかに残した遺言書の驚きの内容
鈴木さんと弟が40代になって子育てが落ち着いてくると、今度は年齢を重ねた父親が体調を崩すようになりました。その後、検診でがんが発覚したのです。
もちろん家族は心配しましたが、父親は病院での治療を続けながらも、意外と元気な様子で、これまでとあまり変わらず過ごしていました。
「母親に電話すると〈お父さん? ちゃんと病院に行っているし、大丈夫〉〈今日も出かけていて、飲み過ぎないように注意したところだわ〉などと、様子を教えてくれました」
ところが去年の秋口から一転、状態が悪化。その後は入院したものの、年明けすぐ、あっけなく亡くなってしまったのです。
70代半ばでの旅立ちは、平均からみればやや早いかもしれません。とはいえ、病気のこともあり、それなりの心づもりはできていました。家族としても大きな混乱はなく、葬儀後は、粛々とその後の手続きが進められようとしていました。
ところが葬儀から間もなく、鈴木さんの母親のもとに弁護士から連絡が入りました。父親が公正証書遺言を残しているというのです。
「青天のへきれきでした」
「母がいうには、まったくそんなそぶりもなかったそうで…」
しかし、びっくりするのはそのあとでした。
「父の遺言書には〈母親には一切を相続させない〉〈家は売却のうえ、財産は子ども2人で分割するように〉と書かれていました」
付言事項には、鈴木さんの母親に対して「妻らしいことをしてくれなかった」といった趣旨の、恨み言ともとれる内容が書いてありました。
母は激怒、息子たちは困惑→出した結論は…
「母は〈なんなの! 一体どういうこと!?〉といって激怒しましたね」
鈴木さんも弟も、この遺言書の内容に絶句。
「母は店をやっていますから、お金はそれなりにあるでしょう。でも、高齢ですし、そろそろ引退も考えているはず。それなのに、生活基盤となる家を売却するなんて、一体…」
鈴木さんは、母親と弟と話した結果、遺言書とはまったく異なる遺産分割で着地することになりました。
「2,000万円の自宅は母が相続して、500万円の預貯金は私と弟で半分ずつにすることにしました」
遺言書と異なる内容での遺産分割ですが、「相続人及び受遺者全員の同意があれば可能と解されています。」(法テラス)とあるように、配偶者である鈴木さんの母親、そして子供である鈴木さんとその弟とという全員の合意ができていたことから、父親が遺した遺言書と異なるかたちでの遺産分割を行っても問題ありません。
「父が、それほど母に不満をもっていたとは知りませんでした。母の稼ぎがあったから、60歳で定年退職できたのに。母をサポートしつつ、夫婦で楽しめばよかったのになぁ、と思います。少なくとも、私ならそうしますね…」
長年の感情のわだかまりが、遺言書に吐き出されたということなのでしょうか。やはり、生前からの適切なコミュニケーションが大切だといえます。
[参考資料]
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