40代で新築を建てた会社員、「70代でやっと」住宅ローンを完済しても…立ちはだかる「次の問題」
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年10月23日 18時30分
(※画像はイメージです/PIXTA)
日本の持ち家率は6割超え。マイホーム志向が低下しているとはいえ、家を買おうと奮闘する日本人は多く存在します。しかし家は「買ってしまえばそれで終わり」というものではありません。国土交通省の統計資料から、「昨今のリフォーム事情」を紐解いていきます。
新築一戸建て「30年後にはリフォーム」が必要だが…
42歳の会社員。世帯平均年収は915万円で、念願の新築一戸建てを5,811万円で建てる。銀行から4,126万円の住宅ローンを借り、返済期間は30年以上……。
国土交通省『令和5年度 住宅市場動向調査』からみえる、新築一戸建てを建てた方の平均像です。月々10万円強の返済が終わる頃には70代半ば。定年を迎え、公的年金を頼りにして暮らす日々……そんなときにようやく、住宅ローンから解放される、というのが、一般的といえるわけです。
しかし家にかかる支出はこれだけではありません。もちろんローン返済中にも、屋根や外壁など、定期的に修繕を行う必要はありますし、築30年を超えた高齢夫婦の住まいとなるとそれなりのリフォームを考えたくなるはずです。
前出の調査によれば、リフォームする住宅の平均築後年数は築29年。「初めてのリフォーム」が最も多く、37.8%。一方で「5年以内にリフォームをしたばかり」である人が「初めて」に次いで22.9%もいます。こまめな修繕が家を長持ちさせるコツと言われるので、これは納得の結果でしょうか。
ローンを完済する頃に高齢となった方々は、その後の自分たちが快適に暮らせるようにリフォームを考えることも多いでしょう。リフォームの動機として「家族や自分の老後に備えるため」は9.9%、「介護のため」は4.8%という結果です。今後、老後に備えたリフォームはますます増えることが予想されます。
高齢者対応設備が整備されている割合をリフォーム前後で比較すると、個々の設備でリフォーム後の整備率が高くなっており、「手すり」は14.9%から22.7%へ、 「段差のない室内」は9.4%から12.9%へ、「浴室・トイレの暖房」は13.0%から17.6%へ上昇しています。
冬の入浴時にはヒートショック(家の室温差で、心臓や脳に負担がかかること)発生のリスクが高く、特に高齢者にとって深刻な問題となっているので、暖房の整備も高齢者対応のために不可欠です。
「リフォーム資金の平均」は137万円。そのうち「平均借入金」は25万円、「平均返済期間」は9.6年です。その多くを「民間金融機関」から借り入れています。
70代で家をリフォーム…銀行から融資は受けられるか?
マイホームのリフォーム事情。リフォーム実施世帯の世帯主は「60歳以上」が47.0%で最も多く、「世帯主が年金受給者」であるのは19.9%です。経年劣化による修繕に加え、老後を見据えたリフォームが多いということでしょう。
しかし70代でリフォームをするとなると、融資を受けられるのか?と少々不安になります。
リフォーム資金をローンで準備するための、リフォーム専用ローンが存在します。金利は住宅ローンに比べて高めで、借入年数は15年間など短め。借入可能額は数十万円~1,000万円程度です。規模の大きなリフォームの際は、住宅ローンが利用できる場合もあります。
民間金融機関への調査である、国土交通省『令和5年度 民間住宅ローンの実態に関する調査』によると、「融資を行う際に考慮する項目」として以下が挙げられています。
【融資の際に考慮する項目】完済時年齢 98.5%
健康状態 96.6%
借入時年齢 96.0%
年収 94.0%
勤続年数 93.6%
返済負担率 92.0%
担保評価 91.8%
金融機関の営業エリア 90.4%
連帯保証 87.1%
国籍 75.6%
雇用形態 71.5%
融資可能額(融資率)①購入の場合 70.3%
融資可能額(融資率)②借換えの場合 65.9%
カードローン等の他の債務の状況や返済履歴 65.7%
申込人との取引状況 49.8%
業種 43.5%
家族構成 34.9%
雇用先の規模 32.9%
所有資産 31.7%
性別 24.4%
「年齢」は金融機関が最重視する点であり、つまり年齢を理由に融資を断るケースがあるということです。リフォームの融資でも同じことがいえるでしょう。
年齢を理由にリフォームの融資を断られるケースはここ5年の調査結果をみても存在するため、仮に70代で住宅ローンを完済し、そこからリフォームを行おうと融資を申し込んだとして、借入時の年齢、完済時の年齢を理由に融資を断られる可能性も十分考えられるでしょう。
マイホームは年数を経てボロボロ。リフォームの必要があるけれど、融資を受けられず断念……そんな辛い老後がないとは言い切れないのです。
そんな事態に陥らないためには、たとえ平均年齢近くで家を建て、30年近くのローンを組んだとしても、繰り上げ返済を行い、年金暮らしが始まる前に完済。すぐに老後を見据えてリフォームをする、というプランが得策と言えます。
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