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死んだ夫の年金の、4分の3はもらえるって言ったよね…年金月20万円〈69歳夫〉を亡くした〈67歳専業主婦〉、年金事務所で「遺族年金の勘違い」を指摘され撃沈

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年10月25日 8時15分

死んだ夫の年金の、4分の3はもらえるって言ったよね…年金月20万円〈69歳夫〉を亡くした〈67歳専業主婦〉、年金事務所で「遺族年金の勘違い」を指摘され撃沈

(※写真はイメージです/PIXTA)

年金制度は複雑でなかなか理解できず、年金事務所に問合せ。そこで親切丁寧に説明されて「なるほど」とわかったつもりでいても、やっぱりわからない。挙句の果てに大声で怒鳴り散らす、ということもあるようです。

なぜカスハラ加害者は「カスハラ」をしてしまったのか?

2025年4月、東京都で顧客による著しい迷惑行為の防止を目的とした「カスタマー・ハラスメント防止条例」が施行されるなど、社会問題となっているカスハラ。株式会社ネオマーケティングが実施した『カスハラに関する調査』によると、「直近3年以内に、カスハラを受けているのを目撃した経験はあるか?」の問いに対して、「ある」が46.3%。また「直近3年以内に、カスハラを受けた経験はあるか?」の問いに対しては、「ある」が32.0%でした。

*「よくある」「たまにある」「一度だけある」の合計

性別・年代別でみていくと、経験率では「60代男性」が最も多く42.0%。「よくある」の割合でみてみると「30代女性」が11.0%と最多でした。

具体的にどのようなカスハラだったかというと、目撃も経験もトップは「威圧的な言動」で目撃は63.7%、経験は60.6%。続いて多いのが「執拗なクレームや電話」で目撃は50.3%、経験は45.3%。

一方で「これまでにカスハラを行ったことがあるか」の問いに対しては、「ある」が3.6%。性別・年代別でみていくと、最も多いのが「30代女性」で7.0%。「30代男性」「60代女性」がともに6.0%と続きます。もちろんこれは、「あれはカスハラだった」と認識している数値。カスハラの厄介なのは、加害者がカスハラの自覚がないことが多いこと。そのようなものも含めると、もっと数値は高くなるでしょう。

ではなぜ、カスハラをしてしまったのか。自覚している人に理由を尋ねると、最も多かったのが「スタッフが自分の要求を理解していないと感じたから」で50.0%。「サービスや商品に欠陥があったから」47.2%、「スタッフの対応が不誠実だと感じたから」44.4%と続きます。もちろん「イライラしていた」などの自分本位の理由も散見されるものの、加害者には加害者なりの理由があることを垣間見ることができます。

なぜ高齢女性は「年金事務所」で大声で騒ぎ立てたのか?

社会問題と化しているカスハラ。加藤朋子さん(65歳・仮名)が目撃したのは、年金事務所。高齢女性が事務所スタッフに詰め寄っています。あまりの大声なので、女性のプライバシーが駄々漏れだったとか。

女性は67歳の専業主婦。先日、2つ年上の夫を亡くされたそうです。先に年金事務所に電話をして、「遺族年金はどれくらいもらえるものなのか」と問い合わせたそうです。そのときに聞いたことと実際が大きく乖離していたため、怒鳴り込んだということのようです。

――遺族年金は、死んだ夫の年金の、4分の3って言ったよね

――全然少ないじゃない! どういうことか、きちんと説明してよ

こんな情報まで駄々漏れ。その女性の亡くなった夫は、月20万円の年金をもらっていたとか。その女性の主張では、「4分の3だと聞いた。それであれば月15万円が振り込まれないとおかしい。でも実際に振り込まれたのは10万円もない」ということのようです。

遺族年金は、国民年金に由来する「遺族基礎年金」と、厚生年金に由来する「遺族厚生年金」がありますが、基礎年金には子の要件があるので、高齢者が遺族年金を語る場合、ほとんどが遺族厚生年金の話になるでしょう。

*18歳になった年度の3月31日までにある人、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある方人

遺族厚生年金の年金額は死亡した人の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3。また遺族年金を受け取る人が老齢厚生年金を受け取る権利がある場合、「①死亡した人の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3の額」と「②死亡した人の老齢厚生年金の報酬比例部分の額の2分の1の額と、自身の老齢厚生年金の額の2分の1の額を合算した額」を比較し、高いほうが遺族厚生年金の額となります。

ここでよくある勘違いが「老齢基礎年金も含めた年金額の4分の3」というもの。あくまでも子の要件を満たさない高齢者が受け取れるのは、亡くなった人の「老齢厚生年金の4分の3」がベースとなります。

騒ぎ立てた高齢女性の場合、亡くなった夫が月20万円を受け取っていたのであれば、厚生年金部分は13.2万円ほど。その4分の3ですから、9.9万円となり、月10万円を下回ることになります。

――お客様、4分の3というのは……

親切に説明をする事務所のスタッフ。騒ぎ立てる高齢女性のトーンはみるみる低くなっていき、「えっ、そうなの?」「そんなの聞いてないわ」と繰り返します。どんなに騒ぎ立てようと、ルールはルール。勘違いだと認めて、引き下がるしかありません。その女性は恥ずかしそうにしながら、事務所をあとにしたといいます。

年金制度は複雑で、勘違いしていることもいろいろとあるでしょう。理解できないことはそのままにせず、年金事務所に聞いてみたり、検索して調べたりするなど、クリアにすることが重要です。

[参考資料]

株式会社ネオマーケティング『カスハラに関する調査』

日本年金機構『遺族年金』

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