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〈退職金2,000万円〉〈年金月22万円〉65歳で仕事を辞めた元サラリーマン、楽しかったのはわずか2週間「毎日テレビばかり観ています」の苦痛

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年10月25日 5時15分

〈退職金2,000万円〉〈年金月22万円〉65歳で仕事を辞めた元サラリーマン、楽しかったのはわずか2週間「毎日テレビばかり観ています」の苦痛

(※写真はイメージです/PIXTA)

サラリーマンにとって、何歳まで働くか、何歳で仕事を辞めるかの決断は大きいもの。多くの人は「年金をもらえるようになって、お金の心配がなくなったら」と答えるでしょうか。しかしお金の心配がなくなったからといって、仕事を辞めるのが正解とはいえないこともあるようです。

サラリーマンの6割が60歳定年。そのほとんどが働き続ける謎

サラリーマン人生、いくつかの大きな決断をしなければいけないタイミングがあります。そのなかでも大きな決断だといえるのが「定年」。厚生労働省『令和4年就労条件総合調査』によると、定年制を定めているのは94.4%。そのうち一律定年制を定めているのは96.9%。さらに定年年齢を60歳としているのは72.3%。全企業の66%が60歳を定年と定めている計算です。サラリーマンの6割が、60歳を境に仕事を辞めるか、それとも仕事を続けるかの選択に迫られます。そして多くのサラリーマンが継続雇用制度を利用して働き続けることを選択しているのが現状です。

なぜ定年を迎えたのに関わらず働き続けるのか。それは年金受給開始が原則65歳だから。60歳で仕事を辞めてしまってはその間の5年間は無収入。1ヵ月の支出が単身高齢者と同等だとすると、月に15万円ほど。1年で180万円、5年間で720万円となります。老後を見据えてしっかりと資産形成をしてきたとしても、いつまで老後があるかわからないなか、できるだけ資産寿命は延ばしておきたいもの。そう考えると、収入がなく、ただお金が減っていく期間はできるだけ作りたくないものです。

5年間、サラリーマンを続ければ、年金が増えるというメリットも。国民年金は保険料を480ヵ月納付していればそれ以上年金は増えませんが、厚生年金は話が別です。たとえば、大卒・大企業勤務の平均的な給与のサラリーマンを例に考えると、60歳で退職した場合、65歳から受け取れる年金は、厚生年金が月13.1万円、併給の基礎年金も合わせると月19.9万円になります。65歳まで同じように働いたら、厚生年金は月14.9万円、基礎年金と合わせて21.7万円。5年働いたことで、額面で2万円ほど年金が増えます。

年金が頼りとなる老後の生活のなかで、月2万円の差は非常に大きいもの。

――無収入の期間があるのは怖いし、働けば年金が増えるのだから

そういって働き続けることを選ぶ人が大半でも納得です。

65歳で仕事をやめる決断をしたが…中高年の引きこもりの実態

そして原則65歳から始まる年金受給。そこである程度の余裕資産があり、年金だけで暮らしていけたり、足りない分を貯金から取り崩したりするような生活でも、死ぬまでお金が尽きることはない……そんな確証があれば、年金受給と共に仕事を辞めるという決断をすることになるでしょう。

前出のとおり、単身高齢者の1ヵ月の支出は平均15万円程度。年金の手取りは額面の85~90%。そこから逆算すれば、額面で月17.6万円の年金を受け取ることができれば、まずは年金だけで暮らすことができそうです。さらに想定外の出費に耐えられる貯金があれば完璧です。

川島誠さんも、60歳で定年を迎えたのち、65歳まで働き仕事を辞めたひとり。

――60歳定年で、一時金で2,000万円ほどの退職金を受け取り、65歳からは22万円強の年金を受け取れる。ひとり暮らしですが持ち家ですし、ちょっと贅沢ができるくらいの貯金はあるし、死ぬまで十分暮らしていけると考えて仕事を辞めました

同僚のなかには、「まだまだ不安」だといって、65歳以降も働くことを選んだ人もいたといいます。

――不安をいったらキリがないと思い、どこかで区切りをつけることも必要かなと考えました

「年金を受け取れるようなったら仕事を辞めると決めると、なぜかウキウキした」と川島さん。独身のため、既婚の人よりも何もしがらみなく仕事に打ち込むことができたといいますが、仕事に熱中するあまり、ほかに何もできなかったという後悔にも似たものがあるといいます。

――仕事を辞めたら何をしよう

そう考えるだけで楽しかったといいます。しかし、今はどよんと沈んだ顔をしています。どうしたのか尋ねると、「2週間ぶりに人と話しました」といいます。どういうことなのでしょうか。

内閣府『こども・若者の意識と生活に関する調査 (令和4年度)』によると、広義の引きこもりの出現率は40~69歳で2.97%。40~65歳に限ると、2.02%。

さらに40~65歳の人たちに引きこもりとなった年齢を尋ねたところ、最多は「60~64歳」で21.8%。「65~69歳」が15.4%と続きます。また引きこもり状態になった主な理由として「退職をしたこと」が最も多く37.3%。年齢別にみていくと「60~64歳」では38.6%、「65~69歳」では52.1%。仕事を辞めて、現役時代には時間がなくてできなかったことを思う存分できる……それにも関わらず引きこもりとなってしまう元サラリーマンが、50人に1人の割合でいるというわけです。

65歳で仕事を辞めて気付いたこと

川島さんの場合も「仕事を辞め、楽しかったのは2週間ほどだけ」といい、今はすっかり家に引きこもっているといいます。

――仕事を辞めたあとは昼からお酒を飲んだり、ボーとテレビを見たり。現役時代にはできなかった堕落した生活を送っていました。それがまずは楽しかったのですが、段々と「何もすることがないと、テレビばかり観ている」というのが苦痛になって、何をしようかと考えるのが本当につらくなりました

――仕事を辞めてからは誰からも連絡がありません。仕事上の付き合いばっかりだったんですよね。そりゃ、仕事を辞めたら話すこともないですもんね

話すことといえば、食事を買いにいくとき、会計時に「袋はいりますか?」「いりません」とか、「お支払いは……」「現金で」などというやり取りだけ。ひと言も発せず、1日が終わることも珍しくないといいます。

――あんなに仕事を辞めたいと思っていたのに、結局、仕事しかないなんて、皮肉ですね

川島さん、人とのつながりをもちたいと、仕事復帰を考えているといいます。

[参考資料]

厚生労働省『令和4年就労条件総合調査』

内閣府『こども・若者の意識と生活に関する調査 (令和4年度)』

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