再婚生活1年未満の60代父、心筋梗塞で急死…後妻が暮らす「元・実家」を見たひとり娘が「2倍クヤシイ」と歯ぎしりしたワケ
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年10月25日 11時15分
(※写真はイメージです/PIXTA)
再婚やシニア婚が増加している日本。長い人生、愛するパートナーと暮らせるのは幸せですが、その一方で、相続の面では、なかなか複雑な状況になることもあるようです。実情を見ていきましょう。
シニア層の再婚件数が増加中
厚生労働省によると、夫婦の4組に1組は再婚で、とくに近年はシニア層の再婚件数が増えています。世代別の再婚件数を見ると、50代以上の比率は夫が約3割、妻が約2割に上ります。
日葵さん(仮名)は30代の女性。20代半ばで会社の先輩と結婚しましたが、それを機に子ども時代から暮らしていた都内の実家を離れ、いまは夫の勤務先の関西エリアに暮らしています。
日葵さんが結婚してすぐ、もともと体が弱かった母親は亡くなってしまいました。その後、父親はひとりで実家に暮らすことになり、ひとりっ子でそばにいられない日葵さんは心配しましたが、もともとまめな人だった父親はすぐにひとり暮らしにも慣れ、それなりにうまくやっていたといいます。
ところが去年の秋口、日葵さんが父親から「話がある」といわれてひとり帰省したところ、リビングには見知らぬ女性の姿がありました。父親は照れくさそうにモジモジしながら、
「お父さん、再婚しようかと思うんだ…」
と切り出しました。
女性は日葵さんの父親と同世代で、10年前に離婚しているとのこと。子どもたちが結婚して肩の荷が下り、安らげる場所がほしくなっていたところ、パート先のファストフード店で客として訪れていた日葵さんの父親と出会い、意気投合したというのです。
日葵さんは父親の意外な出会いに驚き、戸惑いましたが、自身がそばにいられない引け目もあり、その場ではなにもいえないままでした。
ぎこちない顔合わせのあと、日葵さんは帰りの新幹線のなかで、
「反対はしないけれど…」
「再婚となればいろいろと大変じゃない?」
「もう少しよく考えて、しばらくは気軽なお付き合いをしたら??」
などと、父親にラインしました。ところが父親からは、
「日葵は心配しないで。お父さんなら大丈夫だよ!」
という、斜め上の能天気な返事が来たきり…。すっかり舞い上がっている父親に日葵さんはモヤモヤしっぱなしでした。
ところが1カ月後、日葵さんの言葉もむなしく、父親は電撃再婚へ。直後に送られてきたウエディングフォトには、タキシードを着た父親と白いドレスを着た例の女性が顔を寄せ合いながら、満面の笑みで写っていました。
「お父さん…」
日葵さんは、なんとも言えない気持ちで写真を見つめていました。
再婚から数カ月で、父親が急死!?
ところが、それからわずか数カ月で不幸が襲います。日葵さんの父親が行きつけのスポーツジムで倒れ、亡くなったのです。心筋梗塞でした。
「お父さん、どうしてこんなことに…!」
突然の父親の死に動揺する日葵さんでしたが、やるべきことはどんどん押し寄せ、葬儀、四十九日はあっという間に終了。その後、相続の話になりました。
父親の法定相続人は、現在の配偶者である後妻と、父親の実子である日葵さんの2人です。遺言書はありません。
「お父さんと再婚してわずか数カ月。ここはそっと身を引いてもらわなければ…」
日葵さんは密かにそう考えていましたが、現実は甘くありませんでした。
女性は「私は正式な妻ですから」「法律通りにしましょう」と繰り返し、法定相続分をきっちり主張。どんなに悔しくても、日葵さんはそれ以上言い返すことができません。
合計6,000万円となる父親の遺産の内訳は、3,000万円の自宅と3,000万円の預貯金です。
「お金はあなたに差し上げます。自宅は私が相続します。だってあなた、関西にお家があるのでしょう?」
そう繰り返す再婚相手に、関西在住の日葵さんは折れるしかなく、実家を泣く泣く渡すことになりました。
日葵さんが納得できなかったのには、父親の再婚生活が短すぎること以外にも理由がありました。
「あの家は私が生まれ育った家ですが、もともと母の実家なのです。母が亡くなり、それで父が相続したのです。だから、この間再婚したばかりのあの人の家になるのは、どうしても納得できない…」
「だから、2倍の悔しさを感じます」
日葵さんが歯ぎしりして悔しがる気持ちはよくわかりますが、法律とはそういうものであり、仕方ありません。もともとは母親の財産でも、父親が相続した以上、それは父親の財産です。その後、正式な配偶者となった再婚相手が相続するのは、法律上なにも問題ありません。
再婚カップル、シニア婚が増えた昨今、日葵さんのような割り切れない思いをする人も、出てくるかもしれません。
[参考資料]
法テラス「法定相続分とは何ですか。」
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