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「相続で不動産を共有」した場合…あなたの行動はどこまで自由?共有者とのトラブルを未然に防ぐ“3つの具体策”

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年10月28日 9時15分

「相続で不動産を共有」した場合…あなたの行動はどこまで自由?共有者とのトラブルを未然に防ぐ“3つの具体策”

(※写真はイメージです/PIXTA)

不動産を共有している場合、所有者間の権利と義務は非常に複雑です。「共有持分」とは、複数の人が同じ不動産を所有する際の各自の権利割合を指し、その割合は必ずしも均等ではありません。例えば、一方の共有者が多くの持分を持っていても、その意見が全ての決定において優先されるわけではありません。そのため、誰が何を決定できるのか、また何が全員の同意を要するのかを理解することが重要です。この記事では、共有不動産における行為の分類やトラブルを未然に防ぐための対策について詳しく解説します。

不動産を共有している場合……単独で決定できること・できないこと

不動産の共有持分とは、1つの不動産を2人以上の所有者で共有する場合における各共有者の所有権の割合のことです。この割合は、共有者間で常に均等であるとは限らず、例えば共有者Aが2/3を所有し、共有者Bが1/3を所有するというケースもあります。

また、不動産を共有しているからといって、何でも共有者全員と話し合い、その都度合意を得て、様々な行為について取り決めなければいけないわけではありません。

(1)単独で可能な行為

次のような場合は共有者単独で行えます。この行為は持分割合に関係なく、共有者が自由に行えます。

・保存行為:現状維持のための修繕(例:壁紙を交換、雨どいの補修等)

・使用行為:共有不動産全体の使用(例:自ら居住する等)

(2)過半数で可能な行為

次のような場合、共有持分の過半数の同意が必要です。

・利用行為:物件を共有者以外に利用させる行為(例:短期的に賃貸物件として活用する等)

・改良行為:物件の価値を上げる行為(例:リフォーム等)

(3)全員の同意が必要な行為

次のような場合は共有者全員の同意を要します。

・処分行為:共有不動産の権利関係に大きな影響を与える行為(例:売却、大規模修繕、抵当権の設定、長期間の賃貸契約締結等)

不動産の共有者間でトラブルが起きないようにするには?

相続した共有不動産は、現状維持のための修繕や短期的な賃貸契約(土地5年、建物3年)ならば、共有相続人間で揉めることはあまりないでしょう。

しかし、売却や大規模修繕、長期間の賃貸契約締結等のような処分行為では、話し合いがつかない事態も想定されます。ここでは共有者間でトラブルが起きないようにする対策を解説します。

1.現物分割

共有不動産をそのままの形で各相続人が引き継ぐ分割方法です。相続したのが土地の場合、その土地を分筆してそれぞれ取得します。

例えば被相続人(故人)の土地を3人の子が相続した場合、持分割合1/3ずつ共有しているならば、この土地を1/3ずつ分筆し、各相続人が1筆の土地を所有します。それぞれ分割すれば、取得した土地を処分するのは各所有者の自由なので、共有者間で揉めることはありません。

ただし、狭い土地ではこの方法が行い難く、共有不動産が建物の場合は不可能です。

2.代償分割

共有不動産を相続人1人が引き取り、他の相続人へ代償金を支払う方法です。例えば6,000万円の価値がある共有不動産を、相続人A・B・Cが持分割合1/3ずつ共有している場合、相続人Aが不動産全部を取得してB・Cに2,000万円ずつ代償金を支払います。

この分割方法は共有不動産が土地でも建物でも利用できます。ただし、引き取る相続人にある程度の資力がないと、代償金の支払いが難しいという一面もあります。

3.換価分割

こちらは共有不動産を売却し、売却で得たお金を各相続人の共有持分に応じて分配する方法です。

換価分割は、下記の場合に検討するべき方法です。

・各相続人は既に独立して住居があり、共有不動産を所有し続けても誰も利用しない

・共有不動産として相続したが、その不動産がとても離れた場所にあり不便

例えば共有持分割合が相続人3人で1/3ずつ共有していた場合、6,000万円の価値がある共有不動産を売却したら、その3人が2,000万円ずつ取得することになります。

この分割方法ならば、相続人の誰かが金銭的な負担を負うこともなく、売却利益を得られます。ただし、共有不動産が家族にとって思い出深い土地や建物なら、売却に抵抗を感じる相続人もいることでしょう。

共有持分の“売却”におけるトラブルの予防法

共有不動産を売却する場合、共有者全員の同意を要するため、他の共有者から売却の同意を得られない、他の共有者に連絡が取れないという事態も想定されます。

一方、自分の共有持分だけならば、その人の意思で自由に売却が可能です。不動産の共有関係から離脱したいならば、共有持分の売却を検討するべきでしょう。

ただし、共有持分の売却でも注意しなければいけない事柄があります。ここでは、共有持分の売却で他の共有者とトラブルが起きないようにする対策を解説します。

事前に他の共有者へ報告する

自分の共有持分のみならば、他の共有者の同意を得ずに単独で売却ができます。そのため、他の共有者に黙って持分を売却しても、法的に罰せられるようなことはありません。

ただし、自由に共有持分を売却できるとしても、他の共有者に事前報告したほうが無難です。自分の持分を売却した相手が、他の共有者からみて売却した人が面識が無い人(または法人)ならば、困惑や不満の声があがるかもしれません。

他の共有者に事前報告していた場合は、その共有者が直接自己に共有持分を売るよう請求してくる可能性もあります。自分が納得する金額で売却できるのなら、双方とも円満に手続きが進められるはずです。

他の共有者との関係が悪化する事態に発展しないよう、前もって持分の売却を伝えておくと良いでしょう。

専門買取業者に売却する

他の共有者や第三者へ、早急に自分の持分を買い取ってもらうようにお願いしても、納得のいく売却価格が決まらない場合や、話し合いが難航する場合もあります。これでは、いつまで経っても売却先が決まりません。

そのようなときには、共有持分買取業者に買い取ってもらうことを検討しましょう。この業者に持分を売却する際は、まず不動産の査定をしてもらい、金額を提示してもらいます。

提示金額に自分が納得した場合、契約締結後に共有持分の名義を書き換え、売却代金を得ます。

共有持分買取業者へ売却すれば迅速に手続きが進みます。査定から決済までが短く、数日で現金化できることもあります。

ただし、共有持分買取業者への売却価格は、相場よりも低くなる場合がほとんどです。他の共有者や第三者が提示する買取価格より業者の買取価格が高い場合や、いち早く持分を売却したい場合に有効な方法です。

被相続人が不動産を現金に換えておく

被相続人(故人)の財産の大部分が不動産という場合、相続人が複数いれば遺産分割で揉めるリスクも出てきます。

また、相続人間で共有不動産として相続しても、各相続人が既に独立して住居がある場合、誰もその共有不動産を使用せず、放置されて空き家となるおそれがあります。

そのため、被相続人となる方が高齢を理由に、例えば長男家族と同居する、有料老人ホームへ移る、というタイミングで土地や建物を売却しておけば、相続後に相続人に起こり得る共有持分の売却トラブルも発生しません。

現金化しておけば各相続人に均等な配分が可能なので、被相続人が前もって売却する方法も予防策の一つといえます。

専門家に相談してみる

共有不動産そのものを売却するにしても、共有持分だけを売却するにしても、後々トラブルが無いように専門家へ相談するべきでしょう。

自分が被相続人の立場なら、将来相続人が共有不動産や共有持分の問題で困らないよう、先ずは多くの人にとって相談しやすい「相続診断士」に相談してみましょう。相続診断士とは有資格者であり、相続に関する知識を活かし、いろいろな相続の悩みに適切なアドバイスを行う専門家です。

相続診断士の中には弁護士や行政書士といった士業資格を有している人もいます。また、ケースに応じて士業専門職の方々へ橋渡しをしてくれることでしょう。

一方、相続発生後に共有不動産の権利問題が起きたら、相続人達はその問題に詳しい弁護士へ相談してみるのも良い方法です。第三者である弁護士に介入してもらえば、相続人間で共有不動産の取り扱いについて冷静な話し合いが期待できます。

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