入試開始10分で決まる…東大に「合格できる人」「合格できない人」の決定的な違い【現役東大生が解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年11月19日 17時15分
(※画像はイメージです/PIXTA)
共通テストまで2ヵ月を切るなか、なかなか点数が上がらず悩んでいるという人も多いのではないでしょうか。逆境のなか東大合格をつかんだ者たちで結成された東大カルペ・ディエムの著書『東大生が教科別にわかりやすく教える 受験勉強法大全』(幻冬舎)によると、「東大に受かるか落ちるかは、入試開始10分で決まる」といいます。いったいどういうことか、本記事で詳しくみていきましょう。
テストの解き方には「セオリー」がある
実際の「入試での立ち回り方」を紹介します。勉強して得た実力を万全の態勢で発揮できるよう、しっかりと「入試戦略思考法」を身につけておく必要があります。
まず、どんなテストでも問題を見たときにやるべきことは1つです。テストが始まったタイミングで、すべての問題をざっと流し見すること。これがとても効果的です。
人間の脳は1度見たものを無意識的に記憶するようにできているため、たった1分でも問題に触れておくだけで、本格的に解き始めたときの思考の速さが、初見の場合に比べてとても上がります。また、問題の全体を序盤に把握しておくことは、テスト中の精神安定にもつながるのです。
ここからは東大入試を例として大学別に対応した試験戦略を紹介していきたいと思います。
入試突破の分岐点は「最初の10分」にある
まずはテストが始まったら「問題の全体像」をつかみましょう。例えばですが、東京大学の理系の二次試験の数学は大問が6つあり、制限時間は150分です。
この数学において、試験時間150分のうち、最初の10分間の使い方が合格する人と合格できない人とで、次の2パターンに分かれます。
合格できない人⇒第一問から順番に問題を解き進めていく人
合格できる人⇒最初の10分では問題を解かず、すべての問題に目を通して解けそうな問題と難しそうな問題を明確にする人
東大に合格した学生は、過去問を解くなかで「どの問題から解けば合格できるか?」という全体像をつかむ訓練をしている場合が多いです。
問題の全体像がつかめたら、感覚的に「1番目に解こう」と思った問題から順番に取り組みます。それは必ずしも第1問目からではないことの方が多いのです。
もしかしたら受験生のなかには、テストを受けるときは「問題は第1問から順番に解く」や「難関大学に合格するには全問正解しなければならない」など、勝手な思い込みがある人がいるかもしれません。
はっきり言いますが、この2つの思い込みは完全に間違いです。東大生の多くは、問題を1から順に解くこともしなければ、試験が始まる前からすべての問題に解答しようとも考えていないのです。
4割の問題は「解けなくていい」
ボーダー(合格最低点)を確保できれば合格できる東大の二次試験の得点ボーダー(合格最低点)は、多くの科類で約6割です。これは言い換えると、4割の問題は解けなくてもいいということになります。
平均的な問題を確実に得点して6割を確保し、難しそうな4割の問題を見極めて捨てる。この思考ができるだけで、合格はかなり近づきます。このことからも、試験開始時に全体像を把握することがいかに重要か分かっていただけると思います。
以前、東大模試で1位を取った人が東大に落ちたと聞きました。その人は毎回模試で高得点を取れるので、解く順番を意識しておらず、1から順番に問題を解いていくスタイルでした。
しかし、その年の数学の1問目が誰も解けないくらい難しい問題で、その問題を飛ばさずに取り組んだがゆえに、その人は不合格になってしまったそうです。いくら成績優秀な人でも、どこに落とし穴があるか分かりません。
「過去問研究」で、ベストな時間配分を探す
試験問題の全体像を把握できたら、次に注意すべきは、ズバリ「時間配分」です。
みなさんは受験生活のなかでだんだんと「1つの問題に集中して取り組む」ことができるようになってきます。しかし、この力は短所になってしまうこともあるのです。
1つの問題だけに時間をかけすぎないようにするためには、問題をざっと流し見したときに、どの問題にどのくらいの時間をかけるのか自分の頭のなかで決めておく必要があります。
もちろん、解き始めたら意外と計算量が多くて、少し多めに時間がかかってしまうこともありますので、決めた時間を少しでも過ぎたら途中でも解くのをやめる、という必要はありません。ですが、ある程度の目安を自分で決めておかないと1つの問題から抜け出せなくなってしまいます。
私も受験生のときは「時間配分」ができない人でした。高3の春に受験した記述模試の数学で、当時自分が自信を持っていた整数論の問題が前半に出てきたので、その後の問題を見ることなく取り組み始めたら、自分が思っているよりも難しく、なんと試験時間の半分以上を費やしてしまいました。
当然、ほかの問題には手が回らず、東大合格には程遠い悲惨な点数を取ってしまったのです。
では、どのようにして時間配分をできるようにしたかというと、それは「過去問研究」です。
苦手意識のある英語、国語は過去10年分、日頃から基礎問題を中心に勉強した上で、しっかり時間を測って取り組みました。自分が好んで勉強できる数学、物理、化学はそれぞれ25年分時間を測って解き、解説を読みながら、解法やどのくらい時間をかけるのが妥当だったのかを研究しました。
そして、自分のなかで「この問題はこれくらいの時間で解くのだ」というペースが確立したのです。
まとめ…勝負において一番大事なのは、「相手を知ること」
勉強に限らずあらゆる勝負において、一番大事なことは「相手を知る」ことです。
受験生が自分の志望校の過去問を何十年分も解くのは、少しでも「相手=志望校の入試問題」を知るためです。そして相手を知ることができれば、それに対してどのような対策をとればいいのか、自分の戦略を明確にすることができます。それが「入試戦略思考法」です。
西岡 壱誠
株式会社カルぺ・ディエム
代表
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