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おかしい…相続税はかからないはずでは?母親が亡くなってから8か月後に税務署から案内が届いた〈一枚の案内〉に戦慄したワケ【相続の専門家が解説】<br />

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年10月27日 11時15分

おかしい…相続税はかからないはずでは?母親が亡くなってから8か月後に税務署から案内が届いた〈一枚の案内〉に戦慄したワケ【相続の専門家が解説】&lt;br /&gt;

(※写真はイメージです/PIXTA)

母親が亡くなっておよそ8カ月後に税務署から「相続税申告のご案内」という封書が届いた久美子さん(50代女性)。以前父が亡くなったときと同様に税務署には何もしなくていいと思っていた久美子さんは驚いて、弟と二人で相談に来ました。早速財産評価をしてみると、基礎控除額ぎりぎり。税務署への申告の仕方に悩む久美子さん……。本記事では、税務署から送られてくる「相続税申告のご案内」の対応方法について、相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が解説します。

母親が亡くなり、弟と相続手続きの相談に

昨年母親を亡くした久美子さん(50代女性)は、弟と二人で相続手続きをするべく相談に来られました。

久美子さんは独身で、ずっと両親と同居をしてきました。父親が78歳で亡くなってから母親が85歳で亡くなるまでの10年間、同居する久美子さんが面倒を看てきたと言います。

3つ下の弟は結婚を機に別世帯となり、現在は子ども2人にも恵まれて、自分で家を購入して生活をしています。

父親の財産は、母親に

父親が亡くなった際は、母親がまだ70代半ばだったので、父親の財産はすべて母親が相続したそうです。久美子さんも弟も仕事をしていますので、別に困らない状況でした。母親は専業主婦ですので、家や老後の資金は必要だという判断でもありました。

父親が亡くなった当時は相続税の基礎控除の改正前でしたので、5,000万円+相続人1人につき1,000万円が基礎控除額で、8,000万円の財産までは相続税はかかりませんでした。

父親の財産は、評価が3,000万円の自宅と預金2,000万円ですので、税務署には申告も、納税も不要でした。母親に財産を移すため、遺産分割協議書を作成して、不動産や預金の名義替えの手続きを済ませたのでした。

母親が亡くなってから8か月後に税務署から案内が届いた

母親が亡くなり、預金を確認すると400万円程。生命保険の死亡保険金は500万円ありましたが、非課税の範囲内です。

父親の相続のときは基礎控除以内で済んだことから、久美子さんは今回も相続税はかからず、相続税の申告も不要だと判断していました。

ところが、母親が亡くなって8カ月を過ぎたとき、税務署から「相続税申告のご案内」という封書が送られてきたのです。父親のときと同様に税務署には何もしなくていいと思っていた久美子さんは驚いて、弟と二人で相談に来られたというわけです。

税務署からのご案内通知はいつ頃届いて、どういう内容?

「相続税についてのご案内」は、相続発生からおよそ6~8か月後に送られてくる

「相続税についてのお尋ね」は、相続発生後6~8か月を過ぎた頃に税務署から封書で送られてきます。

封筒の中には「相続税の申告要否検討表」という用紙が入っていて、これに必要事項を書いて税務署に返送します。場合によっては「相続税の確定申告書」が入っていることもあります。

久美子さんの場合は、「相続税の確定申告書」の用紙が入っていました。

「相続についてのご案内」はなぜ送られてくる?

税務署から送られる「相続税についてのご案内」は、亡くなった人の財産の内容を確認し、相続税の申告を促す目的があるとされています。

人が亡くなったときは市区町村役場に死亡届を提出しますので、この情報は税務署にも通知されます。(相続税法58条)。よって税務署は、この情報をもとに、亡くなった人について過去の確定申告書や固定資産課税台帳、さらに保険会社から提出される保険金の支払調書などから財産がどれぐらいあるかを調べます。

その結果、亡くなった人全員に通知を出すのではなく、一定以上の財産があると見込まれる場合に「ご案内」が送られます。  

過去に確定申告をしていた場合、通知が送られてくることが多い

一定の収入があり、毎年の確定申告をしているような場合には、税務署も不動産や金融資産などの財産の内容を把握していることから、相続税がかかる財産だと認識していることがあります。

久美子さんの母親は、父親から財産を相続しており、毎年の確定申告をしていた経緯がありました。父親の財産は自宅と預金で基礎控除の範囲内ではありましたが、父親が自営業で確定申告をしてきていました。自宅の1階の半分で加工業を営んでいたのです。父親が亡くなった後は廃業しましたが、そのあとを貸工場として、賃貸しており、母親は家賃収入を得て生活していました。よって母親もずっと確定申告をしてきたということです。

基礎控除ぎりぎりの財産の場合、どうする?

母親の財産は預金が400万円、生命保険は非課税枠内の500万円です。基礎控除は4200万円ですので、不動産評価が3,800万円を超える場合は相続税の申告が必要となります。

路線価評価をするとほぼ3,800万円で、基礎控除の範囲ぎりぎりのところ。葬儀費用などを引くと基礎控除の範囲内となります。  

遺産分割については、自宅は住んでいる久美子さんが相続、預金と保険は二人で等分にするということで合意ができていると言います。

基礎控除以内でも税務署に申告ができる

税理士に依頼をして不動産評価をしてもらい、金融資産などの残高を足して財産目録を作成してもらったところ、不動産評価は不整形などを考慮して3,500万円となり、預金や金融資産をプラス、葬儀費用などを差し引くと、3,850万円の財産となりました。

基礎控除内だということが確認でき、相続税の申告も不要ではありますが、久美子さんは税務署からの案内がきたことが不安だということで、税務署に相続税の申告書を作成して、提出しておきたいとなり、税理士に引き受けてもらうことにしました。そうすることで、案内にあった質問の回答になり、相続税の納税は不要だという証明になります。  

遺言書はありませんでしたが、久美子さんと弟で分割案も話し合っていたので、遺産分割協議書の作成もスムーズにでき、税理士に早々に評価、書類作成をしてもらえたので、税務署への申告も期限内に済ませることができました。

※登場人物は仮名です。プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。

曽根 惠子 株式会社夢相続代表取締役 公認不動産コンサルティングマスター 相続対策専門士

◆相続対策専門士とは?◆

公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp) 認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。

「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。

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