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悔やんでいます…年金月32万円・72歳の元サラリーマン「年金の繰下げ受給」を選択した自分に深く後悔した理由

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年10月28日 5時15分

悔やんでいます…年金月32万円・72歳の元サラリーマン「年金の繰下げ受給」を選択した自分に深く後悔した理由

(※写真はイメージです/PIXTA)

複雑な日本の年金制度。そのなかには、一見すると「利用しない手はない!」と思えるものも。その代表格といえるのが、最大84%も年金が増額となる「年金の繰下げ受給」です。しかしうまい話には裏があるようです。

毎年届く「ねんきん定期便」でも激押しの「年金の繰下げ受給」

年金は原則65歳から受け取るものという認識は、広く一般に知られています。しかし、毎年誕生月に届く「ねんきん定期便」には気になる文言が綴られています。

50歳未満の場合、3つのポイントのうち、3番目に「年⾦の受給開始時期を60~75歳で選択できる」という記述。50歳以上であればポイントとして、全面的に「年⾦の受給開始時期を60~75歳で選択できる」という記述がされています。さらに70歳で受給開始とした場合は42%増額、75歳で受給開始した場合は84%増額と、文字を大きく強調して記されています。

[ねんきん定期便内繰上げ・繰下げ受給に関する記述]

年⾦の受給開始時期は、60歳から75歳まで選択 できます。

年⾦受給を遅らせた場合、年⾦額が増額します。

(例)

70歳を選択した場合、65歳と⽐較して42%増額

75歳を選択した場合、84%増額(最⼤)

――なに!? 年金が増える

そういわれたら、がぜん興味がわくに違いありません。

原則65歳の年金受給開始を、60~64歳にするのが「繰上げ受給」。1ヵ月早めるごとに0.4%、最大30.0%、年金が減額となります。一方、66~75歳にするのが「繰下げ受給」。1ヵ月遅くするたびに0.7%、5年で42.0%、10年で84.0%、年金が増額となります。

多くの年金がをもらいたいもの。それに答える制度だとして、政府もお勧めしているわけです。

また繰上げ受給は、基礎年金と厚生年金、ともに繰り上げる必要がありますが、繰下げ受給では基礎年金だけ、または厚生年金だけを繰り下げるという方法も。働きながら年金を受け取っている人であれば、給与共に基礎年金をもらい、より安定した収入にする……そんな受給方法も可能です。

老後を見据えた資産形成の参考になる「ねんきん定期便」。そこで繰り返しPRされている繰下げ受給。注目が集まるのは当たり前です。

72歳で完全に仕事から引退…5割以上の年金増額にウハウハかと思いきや

ただ「メリットだけある」というものはなく、多かれ少なかれデメリットはあるもの。もちろん、年金が増額になる「繰下げ受給」も同様です。

繰下げ受給をしなければよかったと、後悔の念を話してくれた渥美豊さん(仮名・72歳)。ついこの間まで現役バリバリで働いていました。

――働いているうちは年金がなくても暮らしていける。その間、年金が知らず知らずに増えていくなんて夢のような話じゃないか

そう考えて「年金の繰下げ受給」を選んだといいます。ちなみに65歳で年金をもらい始めていたら月20万円程度。72歳から受け取り始めていたら58.5%の増額で年金は月31.7万円となり、年金だけでも十分に暮らしていける……ウハウハかと思ったらそうではありませんでした。

――まったくそんなことはありませんよ。どうしてこんなことになったのか

そう後悔するのは、渥美さん自身の病気。腎硬化症により週に3日の透析が必要となり、急遽、仕事を辞めることになったのです。仕事から完全に引退し年金生活に入ったら、たまには旅行に行き、夫婦でときにアクティブに、とくにのんびりと過ごそうと話していたのに、すべては水の泡です。

――こんなことになるなら、65歳から年金を受け取って健康なうちに遊んでおけばよかったよ

このように年金が大きく増えたからといって豊かな老後が約束されたわけではありません。2019年、日本人の健康寿命は男性72.68歳、女性75.38歳。健康寿命は「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」のことであり、以降は多かれ少なかれ病院が友だちという生活になります。

せっかく増額となった年金は医療費に……それであれば、健康なうちに年金をもらい、老後の生活を楽しんでおけばよかった、そう後悔するケースもあるのです。

もちろん最初から「老後に増大する医療費や介護費に備えて」という目的で年金の増額を狙っていたのなら、渥美さんのような状況になっても「ああよかった、年金を繰り下げておいて」となるでしょう。

一見すると、年金が増額となりメリットしかないようにみえる「年金の繰下げ」。しかし「老後を豊かにするために」という目的で増額を狙うなら後悔する可能性が高いでしょう。まずは、なぜ自分は「年金受給額を増やしたいのか」を突き詰めて考えることが、「年金の繰下げ」で後悔しないポイントです。

[参考資料]

日本年金機構『大切なお知らせ、「ねんきん定期便」をお届けしています』

日本年金機構『年金の繰下げ受給』

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