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家賃2万5,000円の市営団地に「20年引きこもる」氷河期世代の50歳長男、ともに暮らしてきた年金月17万円・87歳母逝去で窮地「どう生きていけばいいのか」

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年10月30日 5時15分

家賃2万5,000円の市営団地に「20年引きこもる」氷河期世代の50歳長男、ともに暮らしてきた年金月17万円・87歳母逝去で窮地「どう生きていけばいいのか」

(※写真はイメージです/PIXTA)

大学を出たとしても、就職先がない……そんな事態に見舞われた就職氷河期世代。いまの40代~50代前半あたりが、その世代といわれていますが、なかには就職できたものの不本意な就職だったため退職、そのまま引きこもりとなるケースも。そんな人たちの生活を家族が支えるというのも、よく見られたパターンです。しかし時は流れ、その家族も高齢化。新たな問題へと発展しています。

パワハラに悩む氷河期世代の男性…30歳で離職→引きこもり

きっかけは、会社を辞めたことでした。

吉田大輔さん(仮名・50歳)、さかのぼること20年前、就職が厳しい時代、やっとのことで掴み取った就職先でしたが、人間関係に悩み退職を決断。いまでいうパワハラが原因でした。ただ当時はそこまで問題視されることはなく、ただ会社からのノルマに耐えきれず辞めていった社員のひとりでしかなかったといいます。

2022年4月、事業主にパワハラ防止の措置を義務づけた「パワハラ防止法」が全面施行となりましたが、そもそも職場において行われるパワハラは、①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるもの の3つの要素を満たしたものをいいます。

――生まれる時代が悪かったんです

パワハラとの因果関係はわかりませんが、退職前に精神疾患を発症。それでも「せっかく就職できた会社なんだから」と、働き続けようとしていたといいます。しかし「このままでは大輔自身が壊れてしまう」と母・光枝さんが心配し、半ば強引に会社を辞めることになりました。

それ以来、病気は一進一退。再び働きに出ることはできず20年、基本、必要以上に外に出ない生活が続いています。内閣府『こども・若者の意識と生活に関する調査 (令和4年度)』によると、広義の引きこもりの出現率は40~69歳で2.97%。40~65歳に限ると、2.02%。

*「自室からほとんど出ない」「自室からは出るが,家からは出ない」「近所のコンビニなどには出かける」に当てはまる人を「狭義の引きこもり」、「趣味の用事のときだけ外出する」人を「準ひきこもり」、さらにこれらの人々すべてを含んだものを「広義のひきこもり」と呼ぶ

また「現在の外出状況になってからの期間」を尋ねたところ、「50~54歳」で「2~3年未満」が19.7%、「1~2年未満」が15.2%、「3~5年未満」が12.1%と続きます。また吉田さん同様、「20年以上」は4.5%でした。

さらに同年代に「現在の外出状況になった理由」について尋ねたところ、「新型コロナウイルス」が31.0%、「病気」が25.9%続いたのち、「退職したこと」が17.2%と続きます。

引きこもりの生活を支えていた「月17万円」の母の年金

症状は一進一退を繰り返し、なかなか改善が見られないまま20年の歳月が過ぎてしまった吉田さん。その間、生活を支えたのは一緒に暮らす母・光枝さん(仮名・87歳)が受け取っている月17万円の年金。住まいは市内の団地で家賃2万5,000円。親子ふたりで暮らすには問題のないお金だったといいます。

ちなみに親子が住む町の生活保護費(40代と75歳以上2人暮らし)は、最低生活費となる生活扶助基準額が11万7,940円、家賃分となる住宅扶助基準額は6万2,000円、合計17万9,940円。しかし、実際の家賃のほうが低い場合は、実際の家賃の額が支給されます。つまり吉田さん世帯の世帯収入が14万2,940円を下回っていれば、生活保護を受け取れる可能性がありました。

長期化する大輔さんの引きこもり。それとともに母・光枝さんの心配は大きくなっていったといいます。

――私もいつまでも元気でいられるわけではない

――大輔をひとり置いていけない

光枝さんの口癖。厚生労働省等の調査によると、年齢別の要支援・要介護の割合は70代前半で5.8%、70代後半で11.8%、80代前半で26.0%。80代後半では59.5%と、半数以上が支援・介護が必要となります。光枝さんも80代後半となり、身体も不自由になっている様子。周囲から「病院に行ったら?」といわれても、頑として病院に行くことはなかったといいます。「病気だとわかったら、大輔によくないから」というのが、光枝さんの言い分でした。

しかし光枝さんの我慢は、ある日、終わりを迎えます。倒れて病院に運ばれた際に、がんにおかされていることが判明。しかも末期で手の施しようがないほど進行していて、1ヵ月持つか持たないか、という状態だったのです。結局、病院に運ばれて2週間ほどで、光枝さんは息を引き取ったといいます。

――これから、どう、生きていけばいいのか

急にひとり取り残された大輔さん、周囲のサポートもあり、その後生活保護を申請。生活扶助として月7.8万円ほどを受け取っています。また市営団地にも引き続き、住み続けることができて、ひと安心だといいます。

しかし、引きこもりの生活を支えてくれた母親はもういません。ただ少しずつ変化もあるとか。今はやりのスポットワーク。これであれば、組織に属することなく、自分のできる範囲で仕事ができるかもしれない……わずかではありますが、社会復帰に向けて動き出しているといいます。

[参考資料]

内閣府『こども・若者の意識と生活に関する調査 (令和4年度)』

厚生労働省『介護給付費等実態統計月報』

総務省『人口推計月報』

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