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過去の米大統領選で勝敗を左右してきた「激戦州7州」について【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフマーケットストラテジスト】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年10月30日 15時55分

過去の米大統領選で勝敗を左右してきた「激戦州7州」について【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフマーケットストラテジスト】

(※写真はイメージです/PIXTA)

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「市川レポート」を転載したものです。

●民主党の基盤だったペンシルベニア、ミシガン、ウィスコンシンの3州はトランプ氏の登場で激戦州に。

●ノースカロライナとジョージアは民主党支持増、アリゾナとネバダの中南米系は共和党支持の動きも。

●世論調査ではトランプ氏が激戦州で優勢も、大接戦のため結果判明に時間を要する可能性あり。

民主党の基盤だったペンシルベニア、ミシガン、ウィスコンシンの3州はトランプ氏の登場で激戦州に

米大統領選挙は2024年11月5日に投開票が行われます。直近の米世論調査の平均では、トランプ前大統領の支持率がハリス副大統領の支持率をわずかに上回っているだけで、かなりの接戦状態にあると考えられます。そこで今回のレポートでは、過去の米大統領選で勝敗を左右してきた激戦州7州について解説し、各州における現時点での選挙情勢を確認します。

一般に、激戦州といわれているのは、東部ペンシルベニア州、中西部ミシガン州、同ウィスコンシン州、南部ノースカロライナ州、同ジョージア州、西部アリゾナ州、同ネバダ州の7州です。ペンシルベニア、ミシガン、ウィスコンシンの3州は、「ラストベルト(さびた工業地帯)」に位置し、かつては民主党の強固な支持基盤でしたが、2016年の大統領選挙でトランプ氏が3州すべてを制して勝利したことで、激戦州となりました。

ノースカロライナとジョージアは民主党支持増、アリゾナとネバダの中南米系は共和党支持の動きも

ノースカロライナとジョージアの南部2州は、保守層が多く共和党の地盤でしたが、都市部の人口増加により民主党支持者も増え、近年では激戦州になっています。総じて、都市部は民主党の支持者、農村部は共和党の支持者が多い傾向にありますが、郊外は浮動票が多く、勝敗が読みにくい状況にあります。なお、両州とも9月末にハリケーンで大きな被害を受けており、選挙情勢に影響が出る可能性も指摘されています。

アリゾナ、ネバダの西部2州のうち、アリゾナ州は長らく共和党の地盤でしたが、2020年の大統領選挙でバイデン氏が同州をおさえて勝利し、激戦州に転じました。アリゾナ州はメキシコと国境を接しており、移民問題が最大の争点となっています。ネバダ州はアリゾナ州と同様、中南米系の有権者が多く住んでいます。中南米系の有権者は、民主党支持の傾向がみられましたが、最近は共和党支持の動きも報じられています。

世論調査ではトランプ氏が激戦州で優勢も、大接戦のため結果判明に時間を要する可能性あり

図表は、1976年以降の大統領選挙において、激戦州7州の選挙人を獲得した政党を示したものです。これをみると、7州のうち過半数の州で選挙人を獲得した政党の候補が、大統領選に勝利していることが分かります。これは大統領選挙が勝者総取り(1票でも多く獲得した候補がその州の選挙人をすべて獲得する)方式を原則採用しているため、激戦州の勝敗が大統領選の勝敗に直結しやすくなることが主因と考えられます。

7州の支持率について、直近の米世論調査の平均をみると、ミシガン州でハリス氏がトランプ氏を上回っているものの、残り6州すべてトランプ氏がハリス氏を上回っています。ただ、これらはあくまで1つの目安であり、今回の大統領選はいつも以上に大接戦となっています。票の差がわずかな場合は再集計する制度が州ごとにあるため、選挙結果が判明するまで時間がかかることも、あらかじめ考慮しておく必要があると思われます。

(2024年10月30日)

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『過去の米大統領選で勝敗を左右してきた「激戦州7州」について【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフマーケットストラテジスト】』)。

市川 雅浩

三井住友DSアセットマネジメント株式会社

チーフマーケットストラテジスト

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