ベトナムは格上げに向け規制を緩和【解説:三井住友DSアセットマネジメント】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年10月30日 16時10分
(※写真はイメージです/PIXTA)
※本稿は、チーフリサーチストラテジスト・石井康之氏(三井住友DSアセットマネジメント株式会社)による寄稿です。
【“プロ”に聞く!ベトナム経済】
~株式市場格上げによる資金流入が期待される~
ベトナム政府が外国人投資家への規制を緩和
●ベトナム政府は、自国株式市場のカテゴリーを現在の「フロンティア市場」から「新興国市場」へ昇格させることを目指しており、その要件である規制緩和を進めています。
●ベトナム財務省は9月18日、規制緩和の一貫として、外国人投資家がベトナム株を購入する際のプレファンディング(事前送金)義務の緩和を決定し、11月2日に発効すると発表しました。これまで「プレファンディング」は、株式市場格上げの基準を満たすための障壁の1つとなっていました。
FTSEの格上げが期待される
●指数算出会社大手のFTSE Russellは、2018年9月にベトナム株式市場について、「フロンティア市場」からの昇格の可能性を表す、ウォッチリストに追加していました。
●今回の発表を受けて、FTSE Russellは10月8日にベトナム市場を新興国市場への格上げ候補としてウォッチリストに留めると発表しました。ただし、ベトナム政府によるプレファンディングの規制緩和を格上げするための重要な一歩と評価しており、規制緩和後の取引が順調に進展すれば、2025年にも新興国市場への格上げが実現する可能性が高いと予想されます。
●一方、もう1つの指数算出会社大手であるMSCIは外国人投資枠の緩和など長期的な課題も重視しており、格上げにはもう少し時間がかかる見込みです。
株式市場格上げの恩恵は大きい
●ベトナム政府は2025年中の新興国市場への格上げを目指しており、証券法の改正についての国会審議や、その一環で決済メカニズム改革も議論しています。こうした市場改革が進むことで新興国市場への格上げや、新興国指数内でのウェイト引き上げへの道筋がつくことが期待されます。
●今年2月にハノイ市で開催された証券市場発展に関する重要会議において、世界銀行はベトナム株式市場の格上げが2030年までに国際投資家から同国市場に新たに250億ドル(約3兆8,000億円)の投資をもたらすと推計していると報じられました。このように、外国人投資家に対する規制緩和、その結果としての新興国市場への格上げに伴う資金流入の恩恵は大きいと判断されます。ベトナム政府による積極的な対応により、その実現可能性は高まっていると考えられます。
(2024年10月30日)
石井 康之
三井住友DSアセットマネジメント株式会社
チーフリサーチストラテジスト
※上記の見通しは当資料作成時点のものであり、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。今後、予告なく変更する場合があります。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください。
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