手取り30万円・40歳の新婚男性「思い悩んでいます」…老い先を思うと「不安は尽きない」と語るワケ
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年10月31日 10時45分
(※写真はイメージです/PIXTA)
晩婚化が進み、「教育費」「老後資金」をセットで考えなければならない世帯が増加しています。本記事では、「日本人の生活のリアル」について、国税庁『令和5年分 民間給与実態統計調査』などとともに解説していきます。
40歳男性の「あまりに辛い事情」
39歳のときに3つ下の女性と結婚した島田さん(40歳・男性/仮名)。同年一人娘が生まれましたが、日々の生活に強い不安を覚えていると語ります。月の収入は手取りで30万円程度。貯金は夫婦合わせて500万円です。
「今後の教育費や妻と僕の老後資金について考えると、惨憺(さんたん)たる思いがします。娘が20歳になるとき、僕は定年間際じゃないですか。大学在学中の独り立ちもできていない子どもを抱えて、大丈夫なのかと。もちろん嘱託社員か何かで働き続けるつもりではいますが、老い先を思うと、暗い気持ちになります」
国税庁『令和5年分 民間給与実態統計調査』によると、1年を通じて勤務した給与所得者は5,076万人で、平均給与は469万円。正規社員530万円、非正規社員202万円となっています。島田さんの手取り30万円は、年収だと450万円ほどの計算ですからほぼ平均といえます。
今年で40歳の島田さん、今まで貯金はしてこなかったのでしょうか。意外な事情を明かしました。
「まさかこの年になって」明かされた親との金銭問題
「親が飲食店経営で失敗したんです。2年ぐらい居酒屋を営んでいましたが、最後のほうは赤字が続き、僕がかなり資金援助をしていました。初期費用も多少支援していたので、トータルで支払った額は400万円を超えているかと思います。……正直、30代に入ったときには、結婚を諦めていました。趣味も物欲も特にないし、若いころ両親には散々迷惑をかけたので、恩返しの気持ちもありました」
「本当に、生涯独身のつもりでいたんです。まさかこの年になって、結婚して、子どもまでできるとは思っていなかった。もちろん幸せですが、自分のお金をもっと計画的に蓄えていればと後悔しています。親には『お金を返してほしい』なんて言えないし、というか、もう何も残ってないでしょうし」
厚生労働省『2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況』によると、全世帯では、「貯蓄がある」は82.4%で、「1世帯当たり平均貯蓄額」は1,368万3,000円となっています。高齢者世帯では、「貯蓄がある」は80.7%で、「1世帯当たり平均貯蓄額」は1,603万9,000円という結果です。
もちろん上記は平均値であり、細かい内訳を見るとまた違った様相が露わになります。
奥様の収入はいくら?…「思い悩んでいます」の真相
全世帯の貯蓄額でもっとも多かったのは「3,000万円以上」で11.8%。「1,000万円~1,500万円未満」が9.7%「500万円~700万円未満」が9.1%と続きます。「貯蓄がない」は11.0%で、貯蓄のある人とない人との差が大きい結果となっています。「50万円未満」は4.3%と、決して少なくない数値を記録しています。
島田さん、教育費についても訥々と語ります。
「子どもは大学まで通わせてあげたい。奨学金の負担はなるべくさせたくないですが、手段の一つとして、視野には入れています」
実際、子どもの教育にどれほどのお金が必要なのでしょうか。文部科学省『子供の学習費調査』(令和3年度)によると、幼稚園では公立で約47万円、私立で約92万円、小学校では公立で約211万円、私立で約1,000万円、中学校では公立で約161万円、私立で約430万円、高等学校では公立で約154万円、私立で約315万円がかかります。
なお、日本政策金融公庫『教育費負担の実態調査結果』(令和3年度)から日本の平均値を見ると、高校入学から大学卒業までにかける子ども1人当たりの教育費用は942.5万円です。
そして島田さん一家が暮らすのは、千葉県某市に佇む1LDK。家賃は7万円と都内近郊に比べてはるかに安価ですが、月の食費はおよそ8万円。保険料、お小遣いをはじめとしたトータルの生活費は、30万円弱になります。
「妻も大体同じくらいの年収です。なので世帯収入は月60万円ぐらいですかね。マイホーム購入も考えていますが、今ローンを組んだら、返済までの何十年が恐ろしいなと……賃貸も賃貸で『もったいない』とは感じているんですけどね。思い悩んでいます」
「節約は心がけていますが、あくまで『細かな支出を抑える』手段であって、お金が増えるわけではないんですよね。当然といえば当然ですが、なかなか辛いものがある。副業することも考えています。土日のどちらか、1日ぐらい働ける簡単な仕事を探している最中です」
専門家が語る「お金が貯まりやすくなる方法」
「投資は……さすがに怖いので、手を出す気はないです。余裕資金がある人の手段だと思っています。まずは働いて、節約して、貯めないと」
支出を把握し、節約することは、資産形成でも最重要と考えられますが、「お金のプロ」は下記のように指摘しています。
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⚫︎夫婦の収支を可視化する まず、夫婦の収入を合算して収支を可視化し、ライフプランを立てましょう。今後、出産や転職、マイホーム購入などライフスタイルが変化することも考えられますが、その時々でプランの見直しができるように準備しておくことが重要です。長期的なライフプランについて相談できる相手をみつけておくことも1つの手です。
⚫︎先取り貯蓄を習慣づける 無理のない範囲で先取り貯蓄をし、給料が手元に入る前に貯蓄や投資に回すようにしましょう(中略)。投資をすれば必ず資産が増える訳ではありませんが、運用期間が長期に及ぶほど、複利の力で資産は増えやすくなります。
(中略)
⚫︎自己投資を惜しまない 実はもっともリターンが大きい投資が「自己投資」です。ついつい貯金や投資ばかりに目を向けがちですが、若いうちは自己投資も積極的に行いたいところ。具体的には、本を読んだり資格を取ったり……。自己投資の支出が増えたとしても、後で収入が増え、副業などにつながるのであれば有意義な投資となり得ます。
***
(関連記事『世帯年収1,500万円だが、憧れの〈FIRE〉には程遠い20代・夫婦…“共働き世帯”が抱えがちな家計の問題点【FPが解説】』)
「老後資金…考えたいですが、そんな余裕はないかな」
島田さん、最後に切なる思いを吐露しました。
「老後資金……考えたいですが、今のところそんな余裕はないかな。もちろん備えたいですが、まずは娘の教育資金です。大学卒業以来、夫婦2人とも真面目に働いてきたし、年金保険料も問題なく払ってきました。なので頼むから、老後の生活は国に保障してもらいたいです」
「年金に期待はできないといっても、なくなることはないでしょう。……そう信じていますが、不安は尽きないですね」
多くの家庭にとって、子どもの教育費や老後資金の確保は大きな課題。節約や資産運用による将来への備えが重要だとわかっていても、なかなか思い通りにいかないのが現実であるようです。教育費の高騰や生活費の増加によって、将来に対する不安が増している現代では、家計の見直しや長期的な計画がますます必要とされています。
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