「追悼アカウントの設定」も…自分が亡くなった後、SNSアカウントはどうなる?〈SNSじまい〉のトリセツ【弁護士が解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年11月22日 10時15分
(※写真はイメージです/PIXTA)
複数のSNSアカウントを持っているのは珍しいことではありませんが、「自分に万が一のことがあったときに自分のSNS投稿はどうなるのだろうか?」と疑問に思っている人も多いのでは?そこで本記事では、弁護士の菊間千乃氏による著書『おひとりさま・おふたりさまの相続・終活相談』(新日本法規出版株式会社)から一部抜粋して、SNSアカウントの削除等を含む「死後の事務処理」の準備方法について、具体例とともに解説します。
おひとりさまが死後に、SNSの投稿などを削除するにはどうしたらいいの?
Q. 私は、FacebookやInstagramなどを利用しています。私が死亡した後もこれらのアカウントをそのままにしておくと、まだ私が元気に活動していると勘違いして連絡をとってこられる方もいるのではと心配になります。私が死んだらSNSの投稿は削除してもらえるようにしておきたいのですが、どうしたらよいでしょう?
A. FacebookやInstagramなどのルールや規約などを確認の上、各ルールや規約の案内や内容に従って、死後のアカウント削除が可能となるように親族などともよく話し合っておくとよいです。
◆各種SNSのルールや規約の確認
各種SNSでは、ルールや規約を設け、登録者が亡くなった場合に、アカウントを削除する方法を案内しています。登録者の方は自分の死後に行うべき手続を確認の上、親族等に削除作業を委託しておきましょう。
例えば、Facebookでは本書執筆時点では、「設定とプライバシー」→「設定」→「一般プロフィール設定」→「追悼アカウントの設定」で、あなたが亡くなった後に、あなたのプロフィールの管理を任せる人を追悼アカウント管理人として選任することができます。
また追悼アカウント管理人に選任したことを相手方にメッセージであらかじめ伝えておくことができます。追悼アカウントとは、利用者が亡くなった後に友人等が集い、思い出をシェアするための場所として、亡くなった方のアカウントページを利用するもので、その管理を追悼管理人が行うというものです。
とにかく自分が亡くなったらFacebookアカウントは削除してほしいという場合は、その手続を行う旨を親族や友人にあらかじめ依頼しておく必要があります。
手続としては、あなたが亡くなった後、あなたから委任を受けた申請者が「委任状、遺書、遺産に関する書簡」等で、あなたからアカウント削除の委任を受けていることを示し、次にあなたの死亡診断書、死亡記事、葬式のしおりなど、あなたが死亡したことを証明する書類を送ることで、あなたのアカウントが削除されるということです。
ただし、必要書類や手続は、適宜変更になる可能性がありますので、正確には、その時点の各SNSのルール及び規約を確認した上で、リクエストを行ってください。
おひとりさまが死後に、知り合いに死んだことを伝えるためにはどうしたらいいの?
Q. 現在1人で生活をしています。近所のサークルや学生時代の仲間などとの交友関係は続いています。私が死んだ後には、私の死亡をきちんとその方々に伝えたいと考えています。
ただ、夫は既に亡くなっており、子もいませんので、どのようにして知り合いに死亡を知らせたらよいのでしょうか?
A. 友人への死亡の連絡・通知のみが目的である場合、通知に加えて他の事務も委任する必要がある場合、遺言及び遺言執行者の選任が必要・適切な場合など、事務の内容を整理して適切な方法を選択する必要があります。
◆死後事務委任契約
自分が亡くなった後には、病院への支払、死亡届、火葬許可取得、火葬、葬儀、公共料金の支払等、様々な事務手続が必要になります。同居の親族がいる場合は、自分が心配しなくても、これらの手続は残された親族が行ってくれることでしょう。
しかし、おひとりさまは、死後の事務を処理する方が当然には存在しないという問題があります。
そこで、これらの事務処理を行うために、依頼者が第三者と死後事務委任契約を締結して、依頼者の死後にあらかじめ契約で決めた事務を行ってもらうということが考えられます。
委任内容としては、①医療費の支払に関する事務、②家賃・地代・管理費等の支払と敷金・保証金等の清算に関する事務、③老人ホーム等の施設利用料の支払と入居一時金等の受領に関する事務、④通夜、告別式、火葬、納骨、埋葬に関する事務、⑤永代供養に関する事務、⑥相続財産清算人の選任申立手続に関する事務、⑦賃借建物明渡しに関する事務、⑧行政官庁等への諸届け事務、⑨あらかじめ指定した知人への死亡報告の事務、⑩ペットの施設入所に関する事務等が考えられます。
友人にこれらの事務を頼む際には、死後事務委任契約書を作成し、公正証書にしておくとより安心ではないでしょうか。
◆死後事務委任契約の注意点
死後事務委任契約が、委任者の死後も終了しない点については、判例で認められているものの、相続人間の財産の帰属を決定したり、その内容を実現・執行するような事務の場合には、遺言執行者を別途選任したほうがよいと思います。
遺言の対象になるような事項を死後事務委任契約で規定しても、遺言の一種として法律上要求される要式を欠いているとして無効とされる部分が出てくる可能性や、相続人と死後事務委任契約の受任者との間で事務の内容や方法をめぐり紛争等になることも考えられます。
死後事務委任契約を締結する際は、委任する事務の内容や受任者を誰にするのかについて、慎重に考える必要があります。
菊間 千乃 弁護士法人松尾綜合法律事務所 代表社員弁護士公認不正検査士
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