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国民民主玉木代表「手取りを増やす」、自民も歩み寄り…「株価が上がらぬはずがない」【ストラテジストが解説】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年11月3日 8時0分

国民民主玉木代表「手取りを増やす」、自民も歩み寄り…「株価が上がらぬはずがない」【ストラテジストが解説】

(※写真はイメージです/PIXTA)

本記事は、マネックス証券株式会社が2024年10月31日に公開したレポートを転載したものです。

本記事のポイント

・衆院選後の株式市場は大幅上昇、日経平均は3万9,000円台を回復 ・自民党が歩み寄る国民民主党の公約の発想は現実的かつ、健全な経済政策

衆院選後の株式市場は大幅上昇、日経平均は3万9,000円台を回復

「ニュースは重要ではない。市場の反応こそが重要だ」(ジョセフ・グランビル)

10月27日に投開票された衆院選の結果は周知のとおり。それを受けた株式市場は大幅上昇となり日経平均は3万9,000円台を回復した。

10月25日付レポート『衆院選と株価 4つのシナリオ』で示したシナリオ4が正解だった。選挙の結果はメインシナリオが外れたが、与党大敗で相場がどうなるかは、ほぼ想定どおりであった。与党が大幅に過半数を割り込んだ場合でも、織り込み済みだから下げ幅は限定的だろうと述べた。その場合は国民民主党との連携がカギとなり、国民民主党の景気刺激策やビジネスフレンドリーなスタンスを好感して、相場は上昇すると予想した。シナリオ4がいちばん株価が上がるだろうと書いたが、実際そのとおりとなっている。

自民党は10月30日、特別国会を11月11日に召集する方針を立憲民主党に伝えたと報道された。召集日に衆参両院の本会議で首相指名選挙を実施する。当初11月7日に想定されていた特別国会の召集日が11日にずれ込むのは観測どおり。

11月11日で開催が決まったということは、石破首相の再指名に向けた多数派工作にめどがついたということか。もっとも、11月15日から始まるAPEC(アジア太平洋経済協力)首脳会議やそれに続くG20首脳会議(18日~)などの重要日程を考えれば11日よりあとにはできないのもまた事実。

それまでに国民民主党との条件交渉をまとめなければならない。当然、国民民主党に最大限の譲歩をするだろう。

自民党が歩み寄る国民民主党の公約の発想は現実的かつ、健全な経済政策

国民民主党は「手取りを増やす」というわかりやすいスローガンが有権者に受けて、議席を大きく伸ばした。同党の公約には消費税の引き下げなど減税が並べられている。しかし、これはただの「ばらまき」ではない。考えてみればわかるが、消費税を下げても手取りが増えるわけではない。手取りを増やすには所得税減税、控除の拡大、社会保険料の軽減だ。もちろん、国民民主党の公約にはこれらのメニューも並べられている。しかし、真っ先に消費税引き下げがきているのはなぜか。それは国民の消費を活性化させるためだ。

玉木代表はこう語っている「この春の賃上げを非正規雇用や中小企業にも広げ、持続的なものにするためには、手取りを増やして消費を拡大し、売上を増やすことでさらなる賃上げにつなげるという好循環が何より重要です」。

減税ーー政府から還付されるのを待つ姿勢ではなく、消費を拡大して景気をよくして、それで企業の収益を拡大して賃上げにつなげるという絵を描いている。これは、いってみればアベノミクスが掲げたトリクルダウンに近い発想だ。

強調こそしないが、このシナリオがワークする大前提は、「企業が儲かる」ということだ。景気がよくなって企業が利益をあげて、はじめて賃上げが確かなものになる。この発想は、とても現実的だし、日本経済にとって非常に健全な経済政策だ。

これで株が上がらぬはずがない。株式市場の理解は常に正しいとは限らないが、今回はとても正鵠を射抜いたリアクションだったと思う。

広木 隆

マネックス証券株式会社

チーフ・ストラテジスト 執行役員

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