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「趣味は貯金」の85歳母が死去…遺産は3姉妹に1冊ずつの「預金通帳」に強烈な違和感。実家住まいの次女の制止を振り切り大捜索、暴かれた真実

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年11月2日 9時15分

「趣味は貯金」の85歳母が死去…遺産は3姉妹に1冊ずつの「預金通帳」に強烈な違和感。実家住まいの次女の制止を振り切り大捜索、暴かれた真実

(※写真はイメージです/PIXTA)

人が亡くなったら必ず発生する相続。さまざまな手続きが必要となりますが、まずは相続財産がどれほどあるのか確認することが第一歩となります。この段階でトラブルが発生することも珍しくないようです。

ケチで倹約家の母…目標は3,000万円以上

金融広報中央委員会『令和5年 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]』によると、世帯の金融資産保有額は、「30代世帯」で平均856万円・中央値337万円、「40代世帯」で平均1,236万円・中央値500万円、「50代世帯」で平均1,611万円・中央値745万円、「60代世帯」で平均2,588万円・中央値1,200万円です。

「それに比べると、うちの母はスゴイ」というのは、香苗さん(仮名・60歳)。幼少の話からしてくれました。家族は父と母、長女の香苗さんのほか、妹が3人。一家はどこにでもいる家族でしたが、ひとつだけ変わっているところがあったといいます。それは、母が恐ろしいほどに倹約家であったこと。

――冷蔵に貼るひらひらとした透明フィルム。電気代が節約になるってやつ。よく知られていますが、実際にやっている人、みたことあります? それ、私の母です(笑)

子どものころから「無駄遣いはダメ!」「もったいない!」が口癖。ときに近所にも聞こえるように注意するものだから少し恥ずかしかったと振り返ります。家計が苦しかったというわけではありません。香苗さんの父は誰もが知る大企業に勤めていて、どちらかといえば裕福な家だったといいます。ただただ母の趣味が貯金だったというのです。

付き合わされる家族は、正直、うんざり。香苗さん、子どものころ「その貯金はどうするの?」と聞いたことがあるといいます。そのとき、チラッと見せてくれた通帳の中身。「いま、500万円くらい入っているでしょ。同じようなのが、あと2つあるの。私が死んだらあんたたちにあげられるよう、3桁にするのが私の目標」と母はいっていたといいます。

遺産は3冊の預金通帳…それだけ!?

その後、香苗さんと三女は結婚し、実家を出ていきましたが、次女は独身でずっと実家暮らしでした。

――母のDNAは、次女が一番受け継いでいます。

そして父は15年前に亡くなり、今夏、母が85歳で亡くなりました。コロナ禍前に家で転倒し骨折、脚を引きずりながら歩くようになっていましたが、次女が一緒に暮らしていたので安心だったといいます。

体が不自由になっても「もったいない」が2人の口癖で、最低限の介護サービスしか受けようとしなかったといいまうす。それに香苗さんたちは呆れつつ、心配して声をかけました。「大丈夫?」「お金なら私たちが出すわ」「離れて暮らしているからお金の援助くらいしかできないけど」。しかし次女は「大丈夫、もったいないから」と、母の介護においても最大限の倹約していたといいます。

問題は、母が亡くなり、葬儀の後に3姉妹で遺産協議の話し合いの場。ダイニングテーブルの中心に置かれたのは、3冊の預金通帳でした。

――これがお母さんの貯金の結果。わたしたち1人に1冊のイメージで、コツコツ貯めてきたというやつ

香苗さんの幼少のころの記憶のとおり、母は3冊の通帳に分けて、コツコツとお金を貯めてきたよう。ただ香苗さん、強烈な違和感を覚えたそう。「通帳はこれだけ?」。

――ねえ、年金が振り込まれる口座は他にあったよね

――通帳ってほかにあるはずじゃない?

あの母が85歳まで生きて、幼少のころいっていた「1人3桁=1,000万円、つまり3,000万円」だけしか貯金ができなかったとは思えない。死ぬまでケチであることを貫いたのだから。

その後、年金が振込みとなる通帳が出てきたものの、そちらは入っては引き出しの繰り返しで残高はほぼゼロ。母は防犯上、できるだけ現金を持ち歩かない人でした。だからこそ、引き出したお金を財布などに入れているということはありません。つまり、絶対にほかに口座はあるはずです。

――絶対隠している

そう香苗さんはにらみ、次女が制するのを振り切って、三女と共に実家を大捜索。その結果、新たに3冊の預金通帳を発見。遺産は総額5,000万円になりました。

――まだ隠している……そんな気すらしています

通帳の存在を内緒にする「遺産隠し」は珍しくない

口座や預金通帳の存在を教えなかったり、勝手に被相続人の口座からお金を引き出したりといった遺産隠しは、相続の場では決して珍しいことではありません。税務調査では見つかることが多いものの、遺産分割の場でそれを見つけるのは至難の業です。

そのため「遺産隠し」が起きないよう、生前に対策をうっておくことが重要になります。相続トラブル防止の正攻法といえば遺言書。ただし自分で書いて作成する「自筆遺言証書」はミスが起こりがちで、「法的には認められない」と、かえってトラブルになることが頻発。本当にトラブル防止を確実にしたいなら、遺言内容を公証人が筆記する「公正証書遺言」がおすすめです。

また今回の事例の場合、次女が母の介護を全面的に行っていたので、「寄与分」を主張する可能性があります。寄与分は、相続人の財産の維持、増加に特別の貢献をした相続人の持つ取り分のことで、受けることができるのは、共同相続人に限られます。ただし認められるには、事細かな証拠が必要になるようです。

さらに実際に意図的に遺産を隠し、最終的にそれを自分のものにしようとしたら……通常は横領罪など罪と問われますが、配偶者、直系血族、同居の親族との間で横領をしたとしても刑は免除となり、犯罪にはならず罰則はないというのが原則です。ただ申告をしなければ当然ペナルティの対象とるので、いずれは家族にもバレて糾弾されることになるでしょう。

[参考資料]

金融広報中央委員会『令和5年 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]』

法テラス『遺言書には、どのような種類がありますか。』

法テラス『寄与分とは何ですか。』

e-GOV(横領 刑法第二百五十二条)

e-GOV(親族間の犯罪に関する特例  刑法第二百四十四条)

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