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寂しい、寂しい…年金月18万円の80代父、長男一家の近くの老人ホームへ入居も「誰も見舞いに来ません」まさかの暴挙に60代長男絶句【FPが解説】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年11月8日 11時45分

寂しい、寂しい…年金月18万円の80代父、長男一家の近くの老人ホームへ入居も「誰も見舞いに来ません」まさかの暴挙に60代長男絶句【FPが解説】

(※写真はイメージです/PIXTA)

高齢親の終の棲家をどうするか。一つの選択肢として「老人ホーム」が頭に浮かぶ人も多いでしょう。しかし、入居してもらったら安心というわけにはいかなくて……。本記事では、Aさんの事例とともに老人ホームの入居トラブルについて、社会保険労務士法人エニシアFP代表の三藤桂子氏が解説します。※個人の特定を避けるため、事例の一部を改変しています。

親の介護は誰が…兄弟での話し合い

60代のAさんは3人兄弟の長男です。両親が年金を受け取るころ、兄弟で老後の両親の話し合いをしました。Aさんが両親の生活等をみることを条件に、両親が住んでいる家を継ぐという話し合いになっていました。

話し合い後にAさん家族は、Aさんの実家に同居します。しかし数年後、母親が他界。さらに、実家の最寄り駅周辺が再開発により大きく変わっていきました。実家は駅近であるものの、近所はさびれており、売っても大したお金にはならないと思っていたのですが、再開発により商業施設等が建ち並び、利便性がよくなることがわかりました。土地は値上がり、Aさんの実家も例外ではなく、資産価値が上がりました。

父とAさん一家との同居生活

父は現役時代から家事全般を母に任せきりだったため、共働きのAさん夫婦にとって家事のできない父の面倒をみるのは大変です。それでも父が元気なころは、外出していることが多く、手のかかることは少なかったので、「父は友達が多いタイプでよかった」などと妻と話していました。しかし、80歳をすぎたころから、父の仲間が病気になったり、施設に入ることになったりと父は外で集まることができなくなり、家にいることが増えていきます。

家事のできない、してこなかった父が一日中家にいると、部屋は散らかし放題。食べ散らかしたものもそのままになっています。仕事から帰宅すると、まず片付けから。それでもひとりで留守番ができ、買い物ができるからと、なにもいわずにいたところ、父に健康診断でがんがみつかり入院、手術をすることに。

退院したものの足腰が弱くなってしまったせいか、家の中で転倒、骨折します。再度、入退院となるも、1人で自宅にいさせることが心配となり、家の近くの有料老人ホームに入居させることにしました。老人ホームの利用料金総額が月に約18万円、父の年金は月18万円と、ぎりぎりです。弟たちに援助を頼むと、「土地の価値があがったいま、相続財産として考えると、最期まで面倒をみてくれないと割にあわないから援助しない」と断られました。

近くに住んでいるのになぜ見舞いに来ないのか

Aさん夫婦は子どもの大学までの教育費が終わって安堵したところでしたが、次は親の介護(施設費用等含む)にお金がかかるようになります。Aさんの子どもたちは独立、結婚し都内で暮らしています。Aさん夫婦も60歳以降、再雇用で働いているため、父のことは施設に任せきりになります。

父が老人ホームへ入居したタイミングで、新型コロナウイルス感染症が蔓延し、お見舞いに行くことができなくなりました。その後、コロナは落ち着いたものの、仕事が忙しくなり、お見舞いどころではなくなっていました。「寂しい、寂しい」と父から時折電話がありましたが、可哀想に思いながらも仕事を理由に断ってしまっていました。

父は老人ホームの施設の人に「息子は近くに住んでいながらも全然見舞いに来ない。薄情なやつだ」と漏らすようになります。しまいには、「私を家から追い出し、乗っ取られてしまった」とまで言いだしはじめ……。

老人ホームから失踪した父

ある日、施設から連絡が入りました。父がいなくなったというのです。捜すにしても、いままで誰と親しくしていたのか、行きつけのお店があったのか、皆目見当もつきません。足腰の弱っている父がそんなに遠くへ行くことはできないはずなので、しらみつぶしに施設近くを妻と手分けして捜しましたが、見つかりません。妻と2人、一旦家に戻って警察へ連絡することも考えはじめたころ、夜遅くなって父が家に帰宅してきました。

なんと、べろんべろんに酔っぱらっていました。みんなが心配して探していたことを伝えると、美味しいご飯を食べてきたとお店の領収書をみせます。

「ご、5万円……」Aさんは目眩がしてきました。1ヵ月の年金の4分の1以上を使ってしまっています。その日は注意して施設に送り届けたものの、父はたびたび施設を抜け出すようになります。そのたびに領収書を持って帰ることが続きます。

認知症にでもなったのかと心配する長男に、父は「お前(長男)や孫、兄弟、誰も見舞いに来ない、寂しいから店で親切に話をしてくれた人みんなにご馳走した」というのです。父の暴挙に長男は絶句します。

家族と離れて施設に入居するということ

厚生労働省の「2022(令和4)年度介護保険事業状況報告(年報)」の65歳以上の高齢者は3,584万人、うち75歳以上は1,949万人となっています。うち、有料老人ホームに入居している人は約51万人。理由はともかく家族と離れて施設に入居すると寂しいものでしょう。

親子であってもコミュニケーションは大切です。強がっていたAさんの父も本心は家族と一緒にいたいのだとわかり、息子夫婦はこれからはなるべく顔を出しに行くよう、努力しますと話していました。

<参照>

厚生労働省の「令和4年度介護保険事業状況報告(年報)」https://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/osirase/jigyo/22/index.html

厚生労働省:介護分野をめぐる状況についてhttps://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000608284.pdf

厚生労働省:サービス付き高齢者向け住宅等の月額利用料金https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12401000-Hokenkyoku-Soumuka/0000102200.pdf

三藤 桂子

社会保険労務士法人エニシアFP

代表

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