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掛け金月2,000円、1年に一度の割戻金が楽しみです…50歳会社員、糖尿病予備軍。「県民共済」をやめた理由【FPの助言】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年11月10日 10時45分

掛け金月2,000円、1年に一度の割戻金が楽しみです…50歳会社員、糖尿病予備軍。「県民共済」をやめた理由【FPの助言】

(※写真はイメージです/PIXTA)

掛金が安く、持病があっても入りやすい共済。もしものときのためになにかしらの保障は必要と、加入している人も多いのではないでしょうか。一方で、入りっぱなしにしていることによって気がつきづらい、年齢が上がるにつれて発生する意外なデメリットも。本記事では、Aさんの事例とともに共済加入のメリット・デメリットについて、FPの牧元拓也氏が解説します。

健康診断を機に、共済の保障内容を確認

会社員のAさんは50歳、先日受けた人間ドックで「糖尿病予備群なので注意しましょう」との指摘がありました。一般的に年齢が上がるにつれて病気のリスクは高まるので、日々の生活で健康を意識し始める方が多くなる年代でしょう。病気は予期しないタイミングで見つかるので、なにか起きたときの治療費、あるいは働けなくなってしまったときの生活費の備えをしておく必要があります。

Aさんは若いときから継続して生命共済に加入し、事前の対策をとっていました。1年に一度の割戻金はささやかな楽しみにのひとつです。これまで大きな病気にかかったことはなく、特に健康診断でも気になるような指摘もありませんでした。そのため、共済金を請求したことはなく、掛金も非常に安いことから内容は気にせずに加入してしまったのです。今回の健康診断の指摘を機に、保障内容を確認してみることにしました。

Aさんのように、掛金の安さを理由に県民共済に加入されている方は多いです。共済は民間の保険会社が提供する保険とは違いがあります。メリット、デメリットを整理していきます。

「共済」とは?

共済は非営利団体の生活協同組合が運営する制度です。民間の保険会社は営利団体ですので、保険料には保険会社の利益も含まれますが、共済は利益を求めていないこと、そして低コストで運用されているので、掛金は安くなっています。都道府県民共済のほかにJA共済、コープ共済などがあります。

共済では保険会社の保険料のことを掛金、保険金は共済金、解約返戻金は割戻金という言葉を使います。

共済のメリット

掛金が安い

先述のとおり、利益を求めていないこと、低コストで運用されていることから、掛金は安くなっています。

掛金がずっと一定である

年齢や性別に関係なく、変わらない掛金で加入することができます。民間の保険では、一般的に年齢が上がると保険料が高くなります。

割戻金を受け取れる

共済では1年間の決算で剰余金が生じた際には、加入者に還元されます。毎年決まって受け取れるわけではありませんが、加入者の掛金から支払った共済金と運営にかかった費用を差し引いた金額が割戻金として支払われます。加入するプランや、都道府県民共済であれば、その地域それぞれで割戻率は異なります。2023年度ですと、20%〜35%程度の都道府県が多くみられました。

持病があっても入りやすい

共済も民間の保険も加入する際には原則告知手続きが必要です。いままでの病気やケガについての質問に回答します。告知した内容によっては加入ができない場合もあります。共済は、民間の保険と比べて持病歴等がある方でも加入しやすい傾向にあります。

共済のデメリット

保障が85歳で終了してしまう

共済は最長で85歳までしか継続できません。また、新たに加入したい場合も69歳までしか加入できません。民間の保険会社では、一生涯保障が一般的になっており、加入年齢も85歳まで入れる会社もあります。特に病気のリスクが高まる年代になって保障が少なくなっても、貯蓄があれば心配はいらないかもしれません。ですが、老後の年金生活で貯蓄を取り崩しながら生活し、資金寿命に不安がある方にとってはより大きな不安の種を生みかねません。

年齢が上がると同じ掛金で保障額が小さくなってしまう

どの年齢でも一定の掛金で加入できますが、年齢が上がると保障額が減ってしまいます。都民共済の例でみてみましょう。下記図表は生命共済の総合保障2型(18歳〜65歳)と、熟年型(65歳〜85歳)を比較したものです。同じ月掛金2,000円でも、保障の内容には違いがあります。たとえば入院保障は60歳までは1日当たり5,000円の共済金を受け取れますが、65歳以降は2,500円、80歳以降は1,000円と5分の1になります。

死亡保障が小さい

たとえば60歳までの年齢でみると、病気死亡の場合の共済金は400万円です。もし年収が400万円以上の方で家族を扶養している方ですと、残された家族の生活を守るには少ない可能性があります。

引越をした場合は割戻率が変更になる

都道府県民共済は、引っ越しをした場合は手続きが必要です。県をまたぐ引っ越しをした場合も基本的に補償内容は変わらないので、継続して加入することが可能です。ですが、共済の決算は都道府県ごとに行われますので、共済金の割戻金が変わります。そのため実質の保険料負担は都道府県ごとによって異なります。

生活スタイルに合わせて共済・保険加入を

Aさんは掛金の安さから、共済に加入を続けていましたが、保障額が小さくなっていくことは知りませんでした。もしものときに役に立ってほしい保険なのに、満足いく共済金を受け取れないのは加入する意味がないと感じたAさんは、民間の保険を検討しました。

Aさんの年齢で上記の総合保障2型と同じような保障で、一生涯保障の民間保険に加入しようとすると、保険会社にもよりますが、少なくとも毎月6,000円〜8,000円の保険料になるでしょう。Aさんはいままでの掛金と比べると、保険料の高いことに抵抗を感じましたが、必要な費用だと思い、民間の保険に加入することにしました。

保険料は加入時の年齢が上がれば、一般的に高くなります。自分の保障が十分か不安がある方は早めの点検をすることが大事です。もし、なにか病気をしたあとであれば、新たな保険加入が難しい場合もあります。

また、共済はプランによって入院保障と死亡保障がセットになっているものがあります。入院保障だけ必要な方もいれば、より大きな死亡保障が必要な方もいます。必要な部分だけを民間の保険で加入することで、保険料の負担も大きくなりすぎないように工夫することも可能です。

共済は民間保険とうまく組み合わせることも可能です。たとえば小さい子供のいる方で、子供が成人するまでのあいだはもしものときのために手厚くしておきたい、という場合であれば民間保険に共済を上乗せして加入しておいて、不要になったら民間保険だけ継続するということもできます。

子供が大きくなるまで、妊娠出産を考えている年齢まで、定年退職までといったように保障が必要だと思う期間に手厚く備えるときにも共済は使い勝手がいいです。一方で老後の保障といったように長期の目線で考えると、民間の保険に加入するメリットが大きくなります。生活スタイルに合わせて、上手に活用していくことが重要です。  

牧元 拓也

ファイナンシャルプランナー

株式会社日本金融教育センター

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