1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

介護ヘルパーが来ません…〈年金12万円〉〈要介護3〉の「82歳母」に翻弄される「48歳ひとり娘」の悲鳴。行き詰まる在宅介護の行き着く先

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年11月8日 7時15分

介護ヘルパーが来ません…〈年金12万円〉〈要介護3〉の「82歳母」に翻弄される「48歳ひとり娘」の悲鳴。行き詰まる在宅介護の行き着く先

(※写真はイメージです/PIXTA)

いつかは多くの人が直面する「親の介護」。家計のことを考えると仕事を辞めるわけにはいかず、介護ヘルパーの助けも借りながら仕事と介護を両立させているケースも多いでしょう。そんな必要不可欠な介護ヘルパーが来ない……そんな状況に直面したらどうしますか?

訪問介護事業者の倒産件数「過去最多」記録更新中

――いつまで経っても介護ヘルパーが来ません!

悲痛な声をあげる、斉藤陽子さん(仮名・48歳)。要介護3と認定された82歳の母と2人暮らし。母の年金は月12万円と、家計を支えるには少なく、陽子さんが介護に専念するわけにはいきません。介護サービスを利用しながら、仕事と介護を両立する日々を送っていましたが、その日、来るはずの介護ヘルパーがいつまで経っても訪れず、途方に暮れていたといいます。

ようやく事務所と連絡が取れ、予定したヘルパーが急病で来ることができず、人員のやりくりもできず……そんな緊急事態であることがわかりました。いつも来てくれるヘルパーは70代だといいます。高齢者が高齢者を介護している姿をみていて、いずれこんなトラブルが起きるような気はしていたとか。

厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』によると、訪問介護員・ホームヘルパーの平均年齢は48.8歳、平均年収は390万円です。全産業の平均年齢43.9歳、平均年収506.9万円と比較しても、高齢化・低収入が問題であることは明らか。介護業界は人手不足が深刻とされる業界のひとつです。

また人手不足に加え、燃料・光熱費の高騰による運営コストの増加や、報酬改定に伴う訪問介護の報酬の引き下げは、訪問介護事業者を直撃。東京商工リサーチによると、2024年の訪問介護事業者の倒産件数は、10月時点で72件と、昨年の67件をすでに上回り、過去最多を記録しています。

特に小・中規模の訪問介護事業者は人手不足解消まで手が回らず、少ない人員でいかに効率的にサービスを提供するかに躍起になっているといいます。今後、斉藤さんのように「介護ヘルパーが来ません!」という事態は、ますます増えていく可能性が高いといえるでしょう。

また事業者のなかには、サービスを限定する動きも。そうなると、在宅介護を諦めざるを得ないケースも出てくるでしょう。

介護崩壊が迫っている――そんな危機的状況にあるのです。

肉体的にも精神的にも追い詰められる在宅介護の現場

介護ヘルパーが来ないという緊急事態に見舞われた斉藤さん。

――今でさえ限界を感じているのに、ヘルパーさんが来られないとなると……母とどう生きていけばいいのか

厚生労働省『令和4年国民生活基礎調査』によると、在宅介護を受ける要介護者の9割弱が介護サービスを利用。その平均介護サービス費用は3万6,814円。斉藤さんの母親同様、要介護3に絞ると、92%が介護サービスを利用し、その平均額は4万6,369円です。

【介護度別「平均介護サービス費用」】

要介護1…2万0,755円

要介護2…2万7,860円

要介護3…4万6,369円

要介護4…5万6,748円

要介護5…7万5,466円

同居する子どもが主な介護者であるとき、仕事をしているのは58.3%。要介護3では50.8%と、ちょうど半数の人が仕事と介護を両立させています。

斉藤さんのように「介護される親と介護をする子」という家庭の場合、子どもが行っている介護内容で多いのが「買い物」「洗濯」「掃除」。事業者にやってもらうことが多い介護は「入浴介助」「洗髪」「身体の清拭」。双方で行っているのが「食事の準備・後始末」「話し相手」「着替え」となっています(図表)

――基本的に介護ヘルパーの来ない休みの日は、ずっと母親の介護をしていて、休む時間がない

と斉藤さん。肉体的な負担は、体調の不良となって出てきます。実際に何かしら自覚する症状が出ているのは、介護者の44.7%。具体的な症状として最も多いのが「腰痛」で全体の9.0%。「手足の関節痛」「肩こり」「手足のしびれ」「不眠」と続きます。

さらに精神的な負担も相当なもの。介護者の69.2%が「悩みやストレスあり」と回答。その原因としては79.6%が「家族の病気や介護」。27.2%が「自分の病気や介護」、22.4%が「収入・家計・借金等」と続きます。

最近、母親の認知症が進み、娘である斉藤さんが誰なのかわからなくなることもしばしば。「近寄るな」「あっちいけ」「ドロボウ!」などと暴言を浴びせられたかと思ったら、「陽子~、陽子~」と甘えてきたり……そんな母親に翻弄され、疲労困憊だといいます。

――人の手を借りながらの介護でも手いっぱいなのに、ヘルパーさんが来られないとなると……いよいよ私たちも終わりですね

介護される母親と、介護する娘。絶望的な状況にいます。

[参考資料]

厚生労働省『令和5年賃金構造基本統計調査』

厚生労働省『令和4年国民生活基礎調査』

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください