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「月収70万円」「退職金2,800万円」会社を去る決断をした60歳の金融マン、単身赴任を終えて帰京。夫婦水入らずの生活が始まるはずが、妻の「まさかのひと言」で終了【転勤族の老後事情】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年11月9日 5時15分

「月収70万円」「退職金2,800万円」会社を去る決断をした60歳の金融マン、単身赴任を終えて帰京。夫婦水入らずの生活が始まるはずが、妻の「まさかのひと言」で終了【転勤族の老後事情】

(※写真はイメージです/PIXTA)

定年後の生活。これまで家のこと、子どものことは妻にまかせっきりだったから、妻孝行をしなければ……そんなことを考えているサラリーマンも多いのでは。しかし妻の思いは、ほかのところにあるようです。

大企業で勤続35年以上なら退職金は2,000万円超え

退職金の受け取り方は、全額を一括で受け取る「退職一時金」、何年かに分けて受け取る「退職年金」、退職一時金と退職年金の「併用」の3パターン。一時金で受け取るメリットは税負担が軽くなること。デメリットは退職年金に比べて受取総額が少なくなる可能性が高いことです。一方で、年金で受け取るメリットは、職金の運用益が上乗せされるため受取総額が増える可能性があること。デメリットは税負担が高くなる可能性があることです。

厚生労働省『令和5年就労条件総合調査』によると、「退職給付(一時金・年金)制度がある」のは74.9%。「従業員1,000人以上企業」では90.1%、一方で「従業員30~99人企業」では70.1%。企業規模が大きい企業ほど、退職金制度がある企業が多くなる傾向にあります。

また業界によっても異なり、「鉱業、採石業、砂利採取業」で97.6%をはじめ、「電気・ガス・熱供給・水道業」「金融業、保険業」「複合サービス事業」は9割以上の企業が退職給付金制度を整えていますが、「生活関連サービス業、娯楽業」で67.8%をはじめ、「運輸業、郵便業」69.9%、「情報通信業」74.6%、「不動産業、物品賃貸業 」74.7%。業界によって20ポイント超の差があります。

さらに「退職一とき金のみ」は69.0%、「退職年金のみ」は9.6%、「両制度併用」が21.4%。会社によって制度が異なるので、事前に確認しておきたいもの。支払時期に規定はありませんが、退職から1~2ヵ月後、というのが一般的です。

また退職給付金額は、大学・大学院卒で平均1,623万円。高校卒で1,378万円。また勤続35年以上になると1,822万円、さらに従業員1,000人以上の大企業になると、2,018万円と2,000万円を超えます。ちなみにこの場合、退職時の月収は55.0万円。月収換算36.7ヵ月分の退職金が支払われています。

結婚後も単身赴任…「夫婦水入らず」のために定年退職を選んだが

今年の春、定年を迎え会社を去ることを決めた内藤隆さん(仮名・60歳)。大学卒業後、大手銀行に就職。20代のころから東京→福岡→東京→仙台→広島→金沢→大阪と転勤を繰り返し、50歳手前で関連会社に出向。60歳で定年を迎えますが、再雇用制度によりそのまま働くこともできました。しかし、内藤さんは、定年とともに会社を去る決断をしました。自宅のある東京に戻り、夫婦水入らずで暮らしたいというのが理由でした。

――30歳手前で結婚し、東京で家を買いましたが、その後、ずっと単身赴任。子育ては妻が一手に負ってくれました。家族と過ごした時間があまりに短かったので、定年を迎えたら、まずは東京に帰りたかったんです

退職時の月収は70万円。退職金は2,800万円。妻からは、蓄えが3,000万円強あると聞いていました。仮に東京に戻り、そのまま働かなくても何とかなる……そんな自信もあったといいます。

夫婦水入らずのゆったりとした生活。内藤さんが想像していたのは、そんな生活です。しかし、東京の自宅に戻ると、思いもしない提案が妻からあったといいます。

――ねぇ、これからも別居を続けない?

思わず耳を疑うセリフに言葉を失ったという内藤さん。一瞬、離婚が頭をよぎったといいます。妻は続けます。

――結婚して30年。これまで、ちゃんと一緒に暮らしていたのは3年ほど。これからあなたと一緒に暮らすイメージがどうしてもわかないの

――別々に暮らしたほうが、私たち、楽しくやっていけると思うの。どうかな?

「円満別居ってやつよ」と妻。確かに、長期休みや子どもの行事などでたびたび帰ってきていたものの、自宅に長くいるときでも1週間程度。自宅に帰ってくるというよりも、よそ様の家にお泊りする、という感覚が強く、単身赴任しているマンションに戻ると「帰ってきたー」とホッとしたのは否めません。

ソニー生命保険株式会社が全国の50~79歳のシニア男女に行った『シニアの生活意識調査2024』によると、「老後も配偶者と一緒に暮らしたいか」の問いに対して、男性は92.5%が「はい」と回答。一方で女性は77.2%と、15ポイントほどの差があります。仕事で外にいることのほうが多かった夫。定年後、夫婦円満のために別居を選ぶのもひとつの選択肢なのかもしれません。

妻からの思いもしない提案により、東京に戻ってきたものの、自宅には戻らず、ひとり暮らしをスタートさせたという内藤さん。東京で再就職を果たし、平日は仕事、週末は自宅に戻るという週末婚状態だといいます。それでも「お互い、気持ちのいい距離感にいる」と内藤さん。楽しいセカンドライフを送っているようです。

[参考資料]

厚生労働省『令和5年就労条件総合調査』

ソニー生命保険株式会社『シニアの生活意識調査2024』

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