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年金の繰下げを後悔しているわけではありません…75歳アルバイト従業員「年金月14万円」に増額も悔し涙を流す理由

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年11月9日 7時15分

年金の繰下げを後悔しているわけではありません…75歳アルバイト従業員「年金月14万円」に増額も悔し涙を流す理由

(※写真はイメージです/PIXTA)

内閣府の調査では8割の人が「老後の生活は年金がベース」と回答。そんななか月受取額を増やそうと「年金の繰下げ」を選択する人が増えています。5年で42%、10年で84%も年金受取額が増えるわけですから、当然といえば当然ですが、それでも年金に対して後悔の念を抱く人は後を絶ちません。

年金「月10万円」…繰下げ受給で「月14万円」に増額

現状、老齢年金の受給開始は65歳です。希望すれば60~75歳で受け取ることができ、60~64歳と本来よりも早めに受け取る制度を「年金の繰上げ受給」、66~75歳と本来よりも遅く受け取る制度を「年金の繰下げ受給」といいます。

厚生労働省『令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、基礎年金のみ受け取る3,433万6,,782人のうち、繰上げを選択している人は369万3,670人で全体の10.8%。一方で繰下げ受給を選択している人は67万2,466人で全体の2.0%でした。過去5年の変化をみていくと、繰上げ受給者は全体の12.9%から10.8%と減っているのに対し、繰下げ受給者は1.3%から2.0%と増加しています。

また厚生年金も受け取る2,804万5,102人のうち、繰上げを選択している人は20万6,757人で全体の0.7%。一方で繰下げ受給を選択している人は37万4,481人で全体の1.3%でした。過去5年の変化をみていくと、繰上げ受給者は全体の0.3%から0.7%、繰下げ受給者は0.7%から1.3%と、どちらも増加しています。

繰上げ受給の場合は、1ヵ月年金受給を早めるごとに0.4%ずつ減額(昭和37年4月1日以前生まれの場合は0.5%)。一方で繰下げ受給であれば、1ヵ月年金受給を遅らせるごとに0.7%ずつ増額となります(昭和27年4月1日以前生まれの場合は、繰下げの上限年齢が70歳まで)。高齢者となっても働く人が増え、「給与がもらえるうちは年金は受け取らない。年金の受取額が増えたほうがいいし」と、繰下げ受給を選択する人が増えているようです。

アルバイト従業員、田中昭さん(仮名・75歳)も繰下げ受給を選んだひとり。65歳から受け取れる年金は月10万円ほどでしたが、70歳まで繰り下げたことで42%アップ。現状、月に14万円強を手にしているといいます。

年金に依存する老後を想像できず…今までの人生を後悔

田中さんの年金は、手取りにすると月12万円強。これで十分というわけではありませんが、繰下げ受給をしたことで、「生活費を何とか年金内で収めることもできるようになった」といいます。

――これで十分とはいえず、年金以上に出費がかさむときもある。ただ年金だけで生活をしようと思えばできる。その違いは大きい

ただ年金については「後悔しかない」と肩を落として話す田中さん。確かに繰下げ受給は、年金が増額となるメリットがある一方で、「早く亡くなると、受給総額が65歳受給開始を下回る可能性がある」「年金受給額が増え、税金や社会保険料の負担が増える」「加給年金や振替加算が受け取れなくなる」というデメリットがあります。そのようなことを知らず、繰下げ受給を悔やむ人はあとを絶ちません。

――いや、繰下げ受給はしてよかったと思う。受給額が増えて、生活に余裕が生まれてから

田中さん、年金の繰下げについてはポジティブな意見を持っています。では後悔の要因とは?

――ちゃんと年金(保険料)を払っておけば、こんな苦労もないのに

田中さん、仕事が長続きせず、無職の期間が多かったといいます

――就職をしても、長続きがしないんだな。「俺はもっともできる」という変な自信があって、3年ともったことがない。おかげで貯金はないし年金も少ないし

年金保険料の納付が今のように厳しくいわれなかった時代。未納時期も多く、65歳から受け取れる年金は月10万円程度に。厚生年金受給者の月受取額は平均14万円といわれているので、それと比較すると少ないといわざるをえません。

――せめて基礎年金くらいちゃんともらえたら、あと3、4万円は違う。仕事を辞められる。本当に惨めだよ

後悔の念から涙を滲ませる田中さん。75歳になってもアルバイトを続けているのは、生活の糧を得るため。お金があれば働いていない。お金がないから働くしかない……それが後期高齢者となる田中さんの現実です。

内閣府『生活設計と年金に関する世論調査』によると、老後の生活において「全面的に公的年金に頼る」が26.3%、「公的年金を中心とし、これに個人年金や貯蓄などを組み合わせる」が53.8%。なんだかんだいって、老後は公的年金に頼らざるを得ない現実を垣間見ることができます。ただ年金に頼るには、現役時代に年金保険料をきちんと納付していなければなりません。現在、年金を受け取る年金世代のなかには「きちんと保険料を払っておけばよかった」と後悔を口にする人が多数。

老後の生活設計において、年金に頼るつもりであればしっかりと保険料を払う、年金に頼るつもりがないならそれ以上に資産形成を頑張る、この2択しかないといえるでしょう。

[参考資料]

厚生労働省『令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』

内閣府『生活設計と年金に関する世論調査』

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