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「年金月14万円・貯金0円」の71歳父、永眠…2年ぶりに「築60年の実家」を訪れた45歳長男、トイレのなかで発見した「絶叫もののブツ」【FPの助言】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年11月14日 10時45分

「年金月14万円・貯金0円」の71歳父、永眠…2年ぶりに「築60年の実家」を訪れた45歳長男、トイレのなかで発見した「絶叫もののブツ」【FPの助言】

(※写真はイメージです/PIXTA)

年齢とともに高まる「健康リスク」。異常気象の影響で不安定な天候が続く状況の続くなか、高齢者の突然死も増えています。家族による事前の備えは欠かせません。万が一、なんの備えもせずに家族が突然亡くなってしまった場合、残された子どもや配偶者はどうなってしまうのでしょうか。本記事では、中村さん(仮名)の事例とともに、現実に起こり得る家族の問題と、遺品整理や空き家管理の現状、そして事前の対策について、波多FP事務所の代表ファイナンシャルプランナーである波多勇気氏が解説します。

突然の訃報がもたらした衝撃

中村裕一さん(仮名/45歳)は、都市部で働く会社員です。妻と中学生の娘が2人おり、親とは別居。裕一さんの父親、中村義昭さん(仮名/71歳)は、九州にある築60年の実家で、3年前に妻を亡くして以来、1人暮らしをしていました。しかしながら、今年の異常な暑さによって熱中症になり、それが原因で急死してしまったのです。

義昭さんが突然亡くなり、裕一さんは急いで実家を訪れました。裕一さんの下の娘は生まれつき身体が弱く、九州への遠距離移動となると大きな負担になるため、父親のことは心配しつつも、様子を見に行くことがあまりできませんでした。そのせいか、あっけない最期に実感が湧きませんでした。母親の葬儀後の2年前に一度訪れていましたが、実家には、久しぶりに足を踏み入れます。

変わり果てた実家

実家は変わり果てていました。義昭さんの部屋には、義昭さんが生前大切にしていた趣味の道具や古い家電、物置のように積まれた不要な雑貨で溢れていたのです。母親と2人暮らしだったころは、こんなに家が散らかっていることなど一度も見たことがありません。ショックを受けながら、手入れされていない実家を見て回るなかで、トイレのきしむ扉を開けて、「うわあ!」と思わず大声で叫んでしまいました。

便器にはべっとりとこびりついた汚物、壁は変色し、ひび割れやカビが広がり、修繕が必要な状態になっていたのです。

「こんな状態になっているとは思わなかった……」裕一さんはしばらく立ち尽くしていました。

死後の手続きについてなにも相談できないまま亡くなった父親。物置のような状態の部屋。修繕しなければ使い物にならないトイレ。なにから手をつければよいのか、途方に暮れてしまいます。

とはいえ、このままいつまでも呆けているわけにはいきません。裕一さんに兄弟はおらず、父親である義昭さんが住んでいた実家は、必然的に裕一さんが管理することになります。不幸中の幸いというべきか、課題そのものは明確でした。

まずは遺品の整理。次に老朽化した家の修繕。そして今後の維持管理方法です。裕一さんは、これらの山積みになっている課題を、ひとつずつ解決していくほかありません。

現代日本における高齢者と空き家問題

日本は、世界的に見ても高齢化が進んでいる国のひとつといえるでしょう。65歳以上の高齢者が総人口の28%以上を占め、特に単身世帯の高齢者の割合も増加しています。そうした高齢者の孤独死や急死は、家族にとっても深刻な問題となっています。

裕一さんのように、親が突然亡くなったのをきっかけに実家の管理を引き継ぐといったケースも珍しくありません。

また、日本全国で急増しているのが空き家の数です。総務省の調査によれば、2023年時点で空き家率は約14%に達し、そのなかには遺族が手を付けられずに放置されたものも多く見受けられます。老朽化した住宅は、修繕費用や管理の手間がかかるため、遺族にとっては大きな負担となります。

特に築古の家屋は、修繕が必要な箇所が多く、費用がかさむことも少なくありません。空き家は、近隣住民への安全リスクや地域の景観にも悪影響をおよぼします。高齢化と空き家問題は、家庭という個人単位の問題というだけではなく、社会全体の課題でもあるのです。

高齢親の死後、後悔する子

「実家の修繕費用、一体どれくらいかかるんだろう?」裕一さんは頭を抱えました。父親がもっと元気なうちに話し合っておけばよかったのですが、いまとなっては自らを悔いることしかできません。父親の年金額は月に14万円。見つけられた銀行口座に残っている貯金残高は0円。さすがに0円はないだろうと思いましたが、部屋が散乱し過ぎてほかの資産が見つけられません。

「父さん、将来のことを少しでも考えておいてくれたら……」裕一さんはそんな思いを巡らせました。このような状況に陥らないためには、どのような対策をすべきなのでしょうか。

本記事でご紹介した裕一さんのようなケースは、決して他人事ではありません。多くの方にとって起こりうる問題といえます。口にしづらい話題ではあるものの、家の整理や相続について、事前に家族と話し合いの場を持つことは重要でしょう。家族が元気なうちから相談しておくことで、リスクを小さくすることは可能です。

遺品整理、実家の修繕・維持管理の事前対策

まずは、遺品整理についてです。裕一さんは、物が溢れた部屋で途方に暮れていましたが、このような状況を回避するためには、どうすればよいのでしょうか。

有効な対策のひとつとして、親子でエンディングノートや遺言書を作成して、遺品整理の方向性を明確にしておくことが推奨されます。これにより、家族は親の意思に基づいて行動できるようになります。

次に、老朽化した実家の修繕と、維持管理について。修繕には大きな費用がかかることが予想されますが、少しでも出費を減らす方法はないのでしょうか。

築古の家の維持には、定期的な点検が必要です。自治体や民間のサービスを活用し、専門家による家屋の診断を受けることで、大きな問題が発生する前に対策を講じることができます。特に水回りの修繕や耐震補強は、後々の負担を軽減するための重要なポイントといえるでしょう。事前にプロに見てもらうことで修繕の規模が小さくなり、結果的に修繕や維持管理のコストを減らすことができるのです。

また、遺品整理の専門業者を活用することも、時間や精神的な負担を軽減する有効な手段です。プロのサービスを利用することで、適切な仕分け・売却・廃棄の手続きを効率的に行うことができます。家族を失って精神的にも大変な時期に、こうした手続きを行うときに頼れる人がいるというのは、とても助かりますね。

本記事でご紹介した裕一さんのケースを教訓とし、いまからできる備えを進めておくことで、家族が直面する負担を軽減し、将来に備えることができます。家族の絆を大切にしながら、事前の準備をしておくことが、親世代とこども世代の双方にとって安心につながることでしょう。

波多 勇気 波多FP事務所 代表ファイナンシャルプランナー

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