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「年金22万円」「貯金2,000万円」元小学校教師の72歳父、謹厳実直な性格が取り柄だったが、突然の引きこもり…家族総出で実家の玄関を強行突破の先にみる「衝撃光景」

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年11月10日 10時15分

「年金22万円」「貯金2,000万円」元小学校教師の72歳父、謹厳実直な性格が取り柄だったが、突然の引きこもり…家族総出で実家の玄関を強行突破の先にみる「衝撃光景」

(※写真はイメージです/PIXTA)

残される家族に迷惑をかけないように……そういう想いから終活を行う人が増えています。なかには自宅も売却し、終の棲家として老人ホームに入居する人も。そこまでくると御の字……というわけではないようです。

孫を激愛する元小学校教員の父が突然引きこもり…家族との接触を完全シャットアウト

吉田美恵子さん(仮名・45歳)。72歳になる父(72歳)は、元小学校教師。真面目で実直な性格が取り柄だといいます。

――家でも学校の先生という感じでした。家にも先生がいるわけですから、子どもの私たちからしたら、最悪ですよね(笑)

母(父の妻)は、美恵子さんが高校のころに逝去。3人の子どもを大学まで進学させたのは、父が亡き母と交わした約束だった(らしい)といいます。父は60歳で定年を迎えたあと、65歳まで教育関連の会社で働き引退。それまで親の心配などしたことがなかったと美枝子さん。しかし、仕事を辞めた親をみると、いよいよ高齢者の仲間入りと思い、急に実家で1人暮らしをする父のことが心配になったといいます。

――ひとりで大丈夫? 生活費は足りてる? と尋ねたら「バカにするな!」と怒鳴られました(笑)

元教師の父は、年金月22万円(らしい)と、平均よりも多くもらっている様子。貯金も「ひとり暮らしだが、老後資金2,000万円不足問題に耐えられる」といっていたことから、2,000万円はあることがうかがえたといいます。確かに、そんな父に対し「お金足りてる」の質問は失礼だったかもしれません。

ただ家族との交流は盛んで、特に孫に対してはメロメロだったといいます。過去形なのは、昨今、父に異変が生じているから。

――あるときから、急に引きこもり気味になって。遊びに行こうとしても「都合が悪い」、遊びに誘っても「都合が悪い」。家から全然出ていないみたいで

そんな状況にしびれを切らし、きょうだい3人が示し合わせて、ある日、実家に突撃したといいます。このときも父は子どもたちを拒絶したとか。それでもあの手この手で父を玄関に誘い出し、3人は強行突破。「勝手に入るな!」と大声の父を無視して家の中へ。ただリビングの異様な光景を目の当たりに、息を飲んだといいます。

――壁という壁に付箋が貼ってあったんです。父の性格からか、几帳面に、びっしりと

そこに書かれてあるものをみて、美恵子さん、ハッとしたといいます。そして父に問いかけます。

――お父さん、ちゃんと病院行った?

観念したように首をふる父。後日、美恵子さんが付き添い病院に行ったそうです。

認知症であることを認めたくない…ひとり戦っていた元教員の父

診断の結果、美恵子さんの父は認知症であるとされました。壁一面に貼ってあった付箋は、物忘れしないようにという努力の結果。認知症かもしれないという恐れから、人との接触を避けていたといいます。

――ひとり、不安だったでしょうね、父は

家族で認知症と診断されたのは初めてだという美恵子さん。自身もどのように父と接していけばいいのか戸惑いを感じながら、今は試行錯誤中だといいます。

ライフネット生命保険株式会社が行った『認知症に関するアンケート調査』によると、「あなたのご家族や親族など身近な人で、これまでに認知症と診断された方はいますか」の問いに対して「ある」は24.3%。60代でも30%台であることを鑑みると、高齢化により認知症患者は増えていますが、家族の誰かが認知症になる、というのはまだまだ少数派。そのため、美恵子さんのように「どのように接したらいいのか」という戸惑いが生まれるのかもしれません。

また「あなたご自身の認知症に対する考え方で当てはまるものは?」の問いで、「自分は将来認知症になると思う」と回答したのは全体で16.4%。家族に認知症患者がいるケースでも24.7%に留まりました。認知症になるのは避けたいこと……多くの人がそう思っていることの裏返しのようです。

厚生労働省は認知症の人と接するときの心構えとして、「認知症の本人には自覚がないは大きな間違い」としています。そして「健康な人の心情がさまざまであると同じように認知症の人の心情もさまざま」であり、「「認知症の人がいるのではなく、私の友達のAさんが認知症という病気になっただけ。友人としてすべきことは、認知症の障害を補いながら今までどおり友達のAさんと付き合い続ける」が重要と説いています。

まずはわたしたちが、認知症への理解を深めることが大切のようです。

[参考資料]

ライフネット生命保険株式会社『認知症に関するアンケート調査』

厚生労働省ウェブサイト『認知症を理解する』

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