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「年金月31万円」「貯金2,800万円」の70代夫婦、エリート官僚の自慢の息子が激変。近所の目を気にしてひっそり暮らす「悲しい老後」

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年11月11日 5時15分

「年金月31万円」「貯金2,800万円」の70代夫婦、エリート官僚の自慢の息子が激変。近所の目を気にしてひっそり暮らす「悲しい老後」

(※写真はイメージです/PIXTA)

現役時代、教育費がかさみ共働きで何とか乗り切った夫婦。子育てが終わったあとは、立派に育った子どもたちにも家族ができて、お盆や正月などの長期休みには3世代の姿が円……そんなよくある光景は、実はとても幸せなことかもしれません

子ども3人を東京の大学へ。共働きで頑張った結果実現した「平均以上の年金額」

総務省『家計調査報告(家計収支編)2023年 平均結果』によると、65歳以上の高齢夫婦(ともに無職)のみの世帯における月の実収入は24万4,580円、そのうち公的年金は21万7,675円。一方、実支出は28万2,496円、そのうち消費支出は25万0,959円。年金だけだと3万、4万円ほど生活費が足りない。だから足りない分は貯金から補填……というのが平均的な高齢者夫婦の家計です。

また同調査の貯蓄・負債編によると、高齢者夫婦のみの世帯の平均貯蓄額は2,656万円。対し平均負債額は31万円。純貯蓄額は平均2,625万円です。

【高齢夫婦の世帯の平均貯蓄・負債額】

■貯蓄…2,656万円

「金融機関」2,643万円

・通貨性預貯金…794万円

・定期性預貯金…892万円

・生命保険など…411万円

・有価証券…546万円

「金融機関外」13万円

■負債…31万円

「住宅・土地のための負債」23万円

・公的機関…4万円

・民間機関…19万円

「住宅・土地以外の負債」5万円

・公的機関…1万円

・民間機関…5万円

年金も貯蓄も平均を上回るという橋本浩一さん(仮名・72歳)久美子さん(仮名・70歳)夫婦。専業主婦世帯が多い地域のなか、共働きだったふたり。年金は夫・浩一さんが月19万円、妻・久美子さんが12万円、合わせて33万円。貯金は2,800万円ほどだといいます。

最近は買い物をするたびに物価高を実感し切り詰める日々。これで平均以上ということに「意外」という反応のふたり。現役時代、共働きだったのは、子ども3人の教育費のため。長男・智さん(仮名・42歳)が東京の大学に進学すると、下の2人の子どもたちも当然のように東京の大学を志望。結局、子どもたちの3人の学費のほか、仕送りもかさむことになり、「とても片働きでは無理!」と久美子さん、40代で仕事復帰。結果的に、平均以上の年金を受け取れているといいます。

3人の子どもたちのうち、長男は夫婦自身が「鳶が鷹を生んだ」というほど優秀で、地元の高校では生徒会長を務め、東京の一流国立大学に進学と快挙を達成。そして国家公務員(官僚)という、絵に描いたようなエリートコースを歩んでいるといいます。

自慢の息子だったが…過重労働の餌食に

近所でも評判の息子は、夫婦の自慢。「エリート官僚の息子さん」の近況を尋ねられることもしばしば。また、下の2人の子どもも、兄に負けず劣らず、聞けば誰もがわかる大企業への就職を果たし、夫婦は鼻高々だったといいます。

――自慢のできる息子たち……子育ては経済的にも大変だったけど、頑張ったかいがありました

次男、三男は結婚し、孫も誕生。お盆と正月の帰省が何よりも楽しみ……そんな穏やかな老後は、国家公務員として頑張っていた長男・智さんが仕事を辞め、実家に戻ってきて一変します。智さん、いわゆる心の病気で長期休職。復帰は望める状態ではなく、そのまま公務員を辞めて実家に戻ってきたのでした。現在、ほぼ自宅から出てこない引きこもり状態にあるといいます。

人事院『公務員白書 令和5年度年次報告書』によると、令和4年度、精神及び行動の障害による長期病休者数は5,389人。男女別では、男性3,710人、女性1,679人。全職員に占める割合は、全体で1.92%、男性職員では1.72%、女性職員では2.61%でした。

ここ5年の推移をみていくと、人数は3,818人→5,389人と1,500人ほど増加。全職員に占める割合は1.39%から1.92%と大きく増えています。男女別では、男性2,898人(1.31%)→3,710人(1.72%)、女性920人(1.68%)→1,679人(2.61%)と、特に女性職員の増加が顕著です。

年齢別にみていくと、人数では50代が多く1,471人。割合でみていくと、20代が多く全職員の2.61%。10代が2.45%、30代が2.01%、40代が1.76%と、若い世代での割合が大きくなっています。

増加の理由のひとつにあげられているのが、長時間労働。働き方改革が進んでいるとはいえ、上限を超えて超過勤務を命ぜられた職員の割合は本府省の自律部署で15.3%、他律部署では77.7%となっています。

*他律的業務(業務量 、業務の実施時期その他の業務の遂行に関する事項を自ら決定することが困難な業務をいう。)の比重が高い部署。他律的業務の比重が高い部署以外の部署を自律部署という

人の噂があっという間に広まる田舎です。また心の病に対しても、都会ほど理解が及んでいません。噂話にはさらに尾ひれが付いて広まっていきます。

――あそこのエリートの息子が……

そんな声が聞こえてきては耳を塞ぎたくなる毎日に変わってしまったとか。そして人の目を気にするあまり、夫婦自体も必要最低限の外出以外はしないようになってしまったといいます。

――智の病気の治療のためにも、今のような状態はよくないと思っています。でもこんな田舎だから、みんな噂話が好きで……

なかなか一歩を踏み出せないでいるといいます。

[参考資料]

総務省『家計調査報告(家計収支編)2023年 平均結果』

総務省『家計調査報告(貯蓄・負債編)2023年 平均結果』

人事院『公務員白書 令和5年度年次報告書』

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