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無効になるリスクも…相続放棄前後に“やってはいけないこと”とは?避けるべき行為をしてしまった場合の「3つの対処法」

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年11月14日 10時15分

無効になるリスクも…相続放棄前後に“やってはいけないこと”とは?避けるべき行為をしてしまった場合の「3つの対処法」

(※写真はイメージです/PIXTA)

「相続放棄」は、故人の財産や負債の引継ぎを辞退する大切な選択肢です。相続を通じて借金等を背負うリスクを避けたいと考える方にとって、この手続きは有力な手段となります。ただし、相続放棄を行うには家庭裁判所での手続きが必要であり、期間や注意点も多く存在します。本記事では、相続放棄の手続きから注意点、避けるべき行為まで詳しく解説します。

相続放棄とは何か

相続放棄とは、相続人が故人の財産や負債を一切引き継がないことを選ぶ手続きです。特に、借金が多い場合に検討されます。

手続きは、相続の開始を知った日から3ヵ月以内に、故人の最後の住所を管轄する家庭裁判所で行います。必要な書類(故人の住民票除票等)を提出し、裁判所に受理されることで手続きが完了します。

相続放棄前後に“避けるべき行為”

相続放棄を行う前後には、いくつか注意が必要な行為があります。これらを行うと、相続放棄が認められなくなったり、無効となったりすることがあります。

相続財産の処分

相続放棄を考えている場合、相続財産を処分してはいけません。例えば、実家を解体したり売却したりすると、相続を承認したと見なされ、相続放棄ができなくなります。保存行為(現状維持のための措置)は認められますが、処分行為には慎重を期すべきです。

預貯金の引き出しや解約

故人の預金に手をつけると、相続放棄ができなくなるリスクがあります。誤って引き出してしまった場合でも、使わなければ処分行為と見なされないこともありますが、元の口座に戻すのが理想です。口座が凍結されている場合は、引き出した現金を他の資金と分けて管理するようにします。

車や家具などの遺品整理

車や家具は相続財産に含まれるため、売却や廃棄をすると相続を承認したと見なされることがあります。車を処分しなければならない場合は、専門家に相談し、見積もりを取って書類を残すことが大切です。家具についても同様で、安易に処分せず、弁護士に確認し、証拠書類を残すことをおすすめします。

賃貸契約の解約

故人が賃貸物件に住んでいた場合、相続放棄を検討しているなら、賃貸契約の解約には注意が必要です。契約を解約すると、賃貸物件を借りる権利(賃借権)も財産の一部と見なされ、それを処分したとされて相続放棄が認められなくなる恐れがあります。解約を進める場合は、貸主や管理会社と相談し、後で証拠となる書類をきちんと残しておくことが大切です。

クレジットカードや携帯電話の解約

故人のクレジットカードや携帯電話の解約も慎重に行うべきです。これらを解約することで、相続財産を処分したと見なされる可能性があります。相続放棄の手続きが完了するまでは、契約に手をつけない方が無難です。

相続財産の隠匿・消費

相続放棄を行った後でも、故人の財産を隠したり使ったりすると、相続を承認したと見なされ、相続放棄が無効となる恐れがあります(民法921条3号)。相続放棄後は、財産に手をつけないよう注意が必要です。

財産を隠す、目録に記載しない

相続放棄後に故人の財産を隠す、遺産目録に記載しないなどの行為は、背信行為とみなされます。このような行為が発覚すると、相続放棄の効力が否定され、相続を承認したことになるリスクがあります。隠匿や未記載は法的なペナルティを伴うため慎重に対応することが求められます。

被相続人の債務支払い

相続放棄を検討している場合、故人の借金を相続財産から支払うのは避けるべきです。借金の支払いが「処分行為」とみなされ、相続放棄ができなくなる可能性があります。支払いが避けられない場合は、自分の資産を使って支払いを行うと良いでしょう。これにより、相続放棄手続きに影響を与えることなく債務を返済できます。

遺産分割協議への参加

遺産分割協議に参加すると、相続を承認したと見なされるリスクがあります。協議は基本的に相続を前提に行われるため、相続放棄を考えている場合には参加しない方が無難です。ただし、相続人全員での協議が行われなければ、法的に有効な協議とはなりません。相続放棄を確実に行うには、家庭裁判所での手続きが必要です。

3ヵ月の熟慮期間を放置すること

相続手続きでは、相続開始を知ってから3ヵ月以内に単純承認、限定承認、または相続放棄を選択しなければなりません。何も手続きを行わないと、原則として単純承認が適用されます。熟慮期間を過ぎた場合でも、弁護士に相談すれば救済措置があることもあります。遅れた場合は、早めに専門家に相談することが重要です。

相続放棄後にも必要な「財産管理」

相続放棄をしても、すぐにすべての財産管理から解放されるわけではありません。相続放棄後でも、占有している財産については「保存義務」が生じます。これは、相続財産の価値を保護するために必要な義務です。例えば、空き家や土地、車などを占有している場合、その財産を管理し、適切に保存する義務が続きます。

2023年の民法改正により、相続放棄後に占有している相続財産については、保存義務が引き続き適用されることが明確になりました。この保存義務は、相続財産清算人が正式に選任されるまで続きます。すべての相続人が相続放棄をした場合や、誰も財産を占有していない場合には、家庭裁判所により相続財産清算人が選任され、財産の管理が移行します。

保存義務の重要性

保存義務を怠ると、損害賠償請求やトラブル、ペナルティを受けるリスクがあります。特に不動産や車などは劣化や事故のリスクがあるため、注意が必要です。相続財産の保存義務は、相続放棄後でも他の相続人が正式に財産を引き継ぐまでは続くため、放置しないようにしましょう。

相続放棄後でも“例外的に許される”財産処分

相続放棄後でも、以下のような場合は財産の処分が認められています。

保存行為

「保存行為」とは、相続財産の価値を維持するために必要な措置を指し、民法921条1号により財産の処分には該当しません。

例えば、台風で家屋が被害を受けた際の応急修理、借金返済期限の督促、有価証券や貴金属の保管、公共料金や税金の支払いなどが保存行為に該当します。相続放棄後も財産の保存義務があれば、これらの行為を行う必要があります。保存行為と財産処分を誤ると、法定単純承認が成立する恐れがあるため、判断に迷う場合は専門家に相談することをお勧めします。

短期賃貸借

相続財産に関して、一定期間を超えない賃貸借契約は財産処分に該当しません。具体的には、山林の賃貸借は10年、その他の土地は5年、建物は3年、動産は6ヵ月以内であれば問題ありません。しかし、相続放棄後はこれらの賃貸借契約を結ぶ必要は基本的にありません。リスクを避けるため、相続財産には手をつけないことが推奨されます。

葬儀費用などの社会通念上相当な支出

葬儀費用は故人を見送るために必要な支出であり、一般的な範囲内であれば相続財産の処分には該当しません。ただし、その範囲は故人の社会的な立場によって異なるため、支出の妥当性には注意が必要です。場合によっては、債権者が葬儀費用の過剰支出を問題視することもあります。相続放棄を考えている場合、葬儀費用は自分の資金で賄うのが無難です。

経済的価値のない遺品の形見分け

経済的に無価値な遺品については、形見分けをしても相続財産の処分とは見なされません。しかし、自動車や高価な時計など価値がある遺品については、形見分けを行うと財産の「処分」と見なされ、相続を承認したと判断されるリスクがあります。したがって、価値のある遺品については慎重に扱う必要があります。

相続放棄後にやってはいけないことをしてしまった場合の対処法

相続放棄後に誤って財産の処分を行い、法定単純承認が成立した場合、相続放棄が無効になる可能性があります。その場合でも、取るべき対策があります。

対処法1:遺産分割協議での対応

相続放棄後に相続財産に関わる行為をしてしまった場合、まず遺産分割協議を検討します。遺産分割協議書を作成し、他の相続人と「財産を相続しない」合意を得ることで、実質的には相続を避けることが可能です。しかし、故人に多額の債務がある場合、他の相続人の同意を得るのは難しく、慎重な交渉が必要です。専門家のサポートを受けながら進めることをお勧めします。

対処法2:債務整理の検討

誤って借金を相続してしまった場合、債務整理を検討することが有効です。代表的な方法として、任意整理、個人再生、自己破産、特定調停があります。これらを利用することで、借金の返済負担を軽減できますが、信用情報に影響を与えるデメリットもあるため、慎重に選択しましょう。専門家の相談を受け、最適な方法を選ぶことが重要です。

対処法3:専門家への早期相談

相続放棄を検討している場合、誤った行動によって法定単純承認が成立するリスクがあります。法定単純承認が成立すると、その後に相続放棄はできません。しかし、相続問題に詳しい弁護士に早めに相談すれば、決定を覆す可能性があります。

実際に、3ヵ月を超えた後に相続放棄が認められた事例もあります。専門家の知識を活用し、適切な対応を取ることが重要です。

相続放棄後に受け取れるもの・受け取れないもの

相続放棄を行った場合、受け取れるものと受け取れないものがあります。

受け取れるもの

死亡保険金(受取人が指定されている場合):受取人に指定されていれば、死亡保険金は相続財産とは見なされず、受け取ることができます。

未支給年金:故人が死亡時まで受け取っていなかった年金は相続財産に含まれず、相続放棄をしても受け取れます。未支給年金は、配偶者や子など、一定の条件を満たす家族が受け取ることができます。

祭祀財産(仏壇やお墓など):相続放棄をしても、祭祀財産は引き継ぐことができます。

受け取れないもの

相続財産(不動産、預貯金、株式など):相続放棄をした場合、これらの財産を受け取ることはできません。

医療費や未払い給与などの還付金:これらは相続財産に含まれるため、相続放棄後には受け取ることができません。

相続放棄を考えている場合、これらの財産に手をつけないよう注意が必要です。特に、故人が生前に受け取るべきだったお金に関与すると、相続放棄が無効になり、相続を承認したとみなされることがあります。

相続放棄後でも「免除されない義務」

相続放棄をすると、法的には相続人としての立場を失いますが、全ての責任や義務が免除されるわけではありません。以下の義務は、相続放棄後も残る場合があります。

相続財産の管理と引継ぎ

相続放棄をすると、相続財産を受け取る権利はなくなりますが、相続財産を保持している場合、その管理義務が生じます。例えば、故人の通帳や重要書類を保管している場合、他の相続人や相続財産管理人に引き渡すまで、その財産を適切に管理する責任があります。積極的な行動は求められませんが、安全に保管し、引き渡しを行うことが求められます。

連帯債務や連帯保証債務

相続放棄をしても、連帯債務や連帯保証に関する義務は免除されません。被相続人と一緒に連帯債務者や連帯保証人になっていた場合、相続を放棄しても自分が負っている債務の責任は残ります。したがって、相続放棄をしても連帯債務や保証から解放されるわけではありません。

相続放棄に関する専門家への相談

相続放棄を進める際、法律的な知識が必要です。誤って法定単純承認に該当する行為をしたり、手続きを期限内に進めなかったりすると、相続放棄が無効になることもあります。そのため、相続放棄を確実に進めるためには、弁護士や司法書士などの専門家に相談することをお勧めします。

手続きのスムーズ化

相続放棄の手続きでは、戸籍謄本など多くの書類が必要ですが、専門家に依頼すれば、煩雑な手続きや書類収集を任せることができます。また、相続放棄申述書の作成もミスなく進められます。

単純承認や期限超過の防止

相続放棄の手続きには、相続開始を知った日から3ヵ月以内に申立てを行う必要があります。期限を過ぎると、相続放棄が認められなくなるため、専門家に依頼することで、期限内に確実に手続きを進めることができます。

債権者対応のサポート

相続放棄の手続き中に、債権者から故人の借金の返済を求められることがあります。弁護士や司法書士に相談すれば、債権者とのやり取りもサポートしてもらえ、手続きを安心して進めることができます。

相続放棄を確実に進めるためには、専門家によるサポートが重要です。必要な手続きを確実に行い、リスクを避けるためにも、早めに相談することをお勧めします。

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