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一時「1ドル155円」に迫るも、トランプ氏勝利による〈円安〉は終了の兆し…過去2年連続で米金利“下落”の年末相場、今年はどうなる?【国際金融アナリストが考察】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年11月12日 6時15分

一時「1ドル155円」に迫るも、トランプ氏勝利による〈円安〉は終了の兆し…過去2年連続で米金利“下落”の年末相場、今年はどうなる?【国際金融アナリストが考察】

(※画像はイメージです/PIXTA)

トランプ氏の勝利により、1ドル155円に迫った先週の「米ドル/円」。しかし、米金利の上昇は一時的なものであり、下落トレンドへと転換した可能性がある、とマネックス証券・チーフFXコンサルタントの吉田恒氏はいいます。その根拠と、今後の米ドル/円の展開をみていきましょう。

11月12日~11月18日の「FX投資戦略」ポイント

・米大統領選挙でのトランプ氏の勝利を受けて米金利が急騰、米ドル/円も155円に迫る一段高となった。ただ週後半は、米金利は上げ幅を縮小し、米ドル/円も反落。

・トランプ氏がインフレを再燃させかねない選挙公約の実行を急がないとの見方も浮上。これにより「米金利上昇=米ドル高」も一段落の可能性が注目されてきた。

・過去2年のように、年末にかけて米ドル買いポジションの損益確定売り拡大にも注目。今週の米ドル/円は150~155円のレンジで予想する。

先週の振り返り…155円近くまで米ドル一段高

先週は、注目された米大統領選挙で共和党のトランプ氏の勝利が決まると、米金利が急騰。米ドル/円もそれに伴い、一気に155円に迫る一段高となりました。ただ週後半は一時152円割れ近くまでの反落も見られました(図表1参照)。

このような米ドル/円の動きは、基本的には日米金利差に沿ったものといえます(図表2参照)。

つまり、トランプ氏の勝利決定後に米ドル一段高となったのは、上述のように米金利が急騰したことに連れたものであり、その米金利が週後半に上げ幅を縮小すると、米ドルも反落となったわけです。

トランプ氏の勝利決定後に米金利が急騰したのは、大型減税や関税の引き上げといったトランプ氏の主な選挙公約が、金利上昇をもたらす可能性の高いものということが考えられました。ただこの米金利の急騰は、先週の段階ではすぐに一巡となりました。

背景には、インフレを再燃させる懸念のある選挙公約を、トランプ氏も急いで進めると考えるのは現実的ではないという見方もあったのかもしれません。

そうであれば、米金利も当面の天井を打った可能性も注目されそうです。米10年債利回りは、一時3.6%程度まで低下した中で52週MA(移動平均線)を大きく割り込みました(図表3参照)。

これは、複数年続く金利低下、つまり金利低下トレンドへ転換した可能性を示すもので、そうであれば、それと逆行する金利上昇は一時的、限定的にとどまる確率が高いということになります。この一時的な金利上昇が先週で終了した可能性は注目されるでしょう。

このような米金利の考え方は、米ドル/円にも同じように当てはまる可能性があります。米ドル/円も、一時52週MAを大きく割り込み、下落トレンドへ転換した可能性が高まりました。すなわち、それと逆行する上昇は一時的、限定的にとどまると考えられます(図表4参照)。

一時的、限定的な米ドル/円の上昇は、普通なら足下で150円程度の52週MAを大きく、長く越えない程度にとどまるもの。これまで見てきたようにトランプ勝利を受けた米金利上昇が終了したのであれば、米ドル/円の上昇も先週までで終わった可能性が注目されることになりそうです。

今週の注目点=米ドル買いポジションの損益確定売りの拡大は?

では、仮に米ドル/円の反発が先週で終了したとして、逆に下落に向かう可能性について考えてみましょう。ちなみに、過去2年は、11月中旬頃から年末に向けて米ドル/円は比較的大きく下落するところとなりましたが、この2024年はどうなるのでしょうか。

過去2年連続で米ドル/円が年末に向けて下落が拡大したのは、短期売買を行う投機筋が年末にかけて米ドル買い・円売りポジションの損益確定の動きを本格化させた影響が大きかったと考えられます。

CFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋の円ポジションは、5日現在で売り越し(米ドル買い越し)が4.4万枚に拡大しました(図表5参照)。

これは過去2年の同じ頃に比べると必ずしも大きなものではありません。ただ、2024年は夏に米ドル/円が暴落したことから、投機筋は利益を増やしにくかったと考えられます。その意味では、過去2年以上に損益の確定には過敏になる可能性はあります。そのような米ドル買い・円売りポジションの手仕舞いが、米ドル安・円高をもたらす可能性も注目されそうです。

すでに述べたように、先週で米ドル/円の反発が終了したと考えると、今週の米ドル/円の予想レンジ上限は155円とします。一方で下限は、先週の安値の151.2円を割れるようなら、米ドル買いポジションの手仕舞い売りが拡大する可能性から150円としたいと思います。

以上から、今週の米ドル/円の予想レンジは150~155円で想定します。

吉田 恒

マネックス証券

チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長

※本連載に記載された情報に関しては万全を期していますが、内容を保証するものではありません。また、本連載の内容は筆者の個人的な見解を示したものであり、筆者が所属する機関、組織、グループ等の意見を反映したものではありません。本連載の情報を利用した結果による損害、損失についても、筆者ならびに本連載制作関係者は一切の責任を負いません。投資の判断はご自身の責任でお願いいたします。

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