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苦労をかけた母に“恩返し”のはずが…離れて暮らす母親に〈月5万円〉の仕送りを30年間続けた53歳女性にまさかの税務調査。「多額の追徴税」を課され、二度涙したワケ【税理士の助言】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年11月12日 11時15分

苦労をかけた母に“恩返し”のはずが…離れて暮らす母親に〈月5万円〉の仕送りを30年間続けた53歳女性にまさかの税務調査。「多額の追徴税」を課され、二度涙したワケ【税理士の助言】

(※写真はイメージです/PIXTA)

相続税において、税務署が特に目を光らせているのが「名義預金」と言われています。なかには、本人が口座の存在を把握していないことで、知らない間に名義預金と認定され、追徴課税が発生するケースもあるので注意が必要です。今回、事例をもとに、多賀谷会計事務所の宮路幸人税理士が詳しく解説します。

離れて暮らす母親を思い、仕送りを続けていたAさん

現在、54歳になるAさんは、東京で看護師として働いています。

幼少期に両親が離婚し、その後母親のもとで暮らしてきました。女手一つで育ててくれた母親の苦労を見てきたAさん。社会人となり、上京してからは、多くはない給料からなんとか捻出し、地方で一人暮らしをする母親に月5万円の生活費を送っていました。

母親が急逝したのは、Aさんが53歳になった頃でした。仕事に邁進していたAさんは、未婚だったので、たった一人の親を亡くし、深く悲しみました。しかし、ひとり娘だったAさん、悲しんでばかりもいられず、相続についての手続きに追われることとなります。

名義変更や手続きを進めていると、Aさんはあることに気がつきました。今まで送金していた1,800万円にも及ぶお金が、Aさん名義の通帳に手つかずのまま残っていたのです。

遺言書には、「これはあなたの名義にしてありますので、あなたがこれからのために使いなさい」との文言が。Aさんは母親の気遣いに感謝の気持ちが溢れます。

意に反してAさんのもとに戻ってきた1,800万円。元々は送金した本人のお金だったこともあり、申告の際には相続財産から除外することにしました。

申告書を提出してから1年がたった頃、Aさんのもとに税務署から「相続税の税務調査に伺いたい」との連絡が入ります。

たくさんの相続財産があったわけでもないのに、なぜかしら……と思いながら、Aさんは税務調査を受けることにしました。

私名義なのに…調査官から告げられた多額の追徴課税

和やかな雰囲気で始まった税務調査。遺言書や預金通帳をチェックし始めた調査官は「Aさんの預金通帳も見せていただいてよろしいですか?」と尋ねました。

なぜ母親の調査なのに私の通帳まで見るんだろう? と不思議に思ったAさんでしたが、特に断る理由もなかったため、調査官に差し出します。

調査官「こちらの通帳は、なぜ相続財産に含めてないのですか?」

Aさん「ああ、これは私がずっと送金していたお金なんです。母が私名義で口座を作成して、ずっと入金していてくれたみたいです。そんな口座を作ってくれていたなんて、全然知りませんでした。遺言書にも『あなたが使って』と書いてあって。私名義ですし、それにそもそも私が送金したお金だったので、相続財産には含めませんでした」

調査官「うーん。こちらも相続財産に含めて申告してもらうことになりますね」

Aさん「えっ! そんな……。これは、私のお金じゃないですか!」

税務調査の結果、この1,800万円は名義預金と指摘されてしまったAさん。300万円ほどの追徴税が課されてしまいます。

なぜAさんが送ったお金であるのにもかかわらず、追徴税を納めることになってしまったのでしょうか?

税務署は「名義預金」に目を付けている

名義預金とは、本人が存在を知らない、あるいは管理していない預金のことを指します。

子どもの名義でも親が管理してる場合、それは親の預金とみなされます。そのため、親の相続が発生した際には、親の相続財産として計上しなければなりません。

名義預金とみなされるのは、以下のような場合です。

①本人が口座を管理していない

②口座の通帳と印鑑は親が管理している

③本人が口座の存在を知らない

④口座を開設した金融機関が本人の住所地ではなく親の住所地の近くである

⑤預金が預けられたままで口座の引き出しなどがまったくない

このような名義預金は、税務署にとって重点的な調査項目にあたります。

調査対象になりやすい人の特徴は?

税務署は相続税の調査をする場合、亡くなった人やその家族の預金通帳を事前に金融機関へ問い合わせることが可能です。預金の流れを把握する際に、家族名義で大きな預金があることがわかると、「これは親から子どもへの贈与なのか、あるいは名義預金なのか」を明らかにするため、調査に入ることがあります。

本人が送金したお金であっても、被相続人が自由に管理できる状態にあると、今回のように名義預金の指摘を受けることが想定されます。

相続税の税務調査が実施された場合、必ずしも名義預金として課税を受けるというわけではありませんが、一定の要件に該当すればペナルティを負うことがあります。

相続税は、ほかの税金と比べて税務調査の対象となることが多く、名義預金は特に重点的に調べられることとなります。子どもや孫の口座に多額の預金がある場合、調査対象となる可能性が高まるため、注意が必要です。

宮路 幸人

多賀谷会計事務所

税理士/CFP

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