平均給与「部長」は59万円、「課長」は49万円…「中間管理職でも厳しい」中高年の家計事情
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年11月12日 14時45分
(※写真はイメージです/PIXTA)
「中間管理職」とされる部長・課長。給料はどのくらいもらっているものなのでしょうか。これから部長・課長になる人はもちろん、今現在その役職に就いている人も、「他はどれくらいもらっているのか」と気になるところではないでしょうか。「令和5年 賃金構造基本調査」などをもとにみていきましょう。
課長の手取りは平均で「40万円弱」
厚生労働省のレポート「令和5年 賃金構造基本調査」によると、日本の「課長」職の平均給与(所定内給与額)は49万800円(平均年齢49.2歳、平均勤続年数20.9年)。
手取りにすると月収40万円弱。もちろんこれは平均なので、「もっともらっている」という人もいれば、「はるかに少ない」という人もいるのは間違いない。企業規模が違えば、同じ課長でも、マネジメントする人数も変わるだろう。なかには「肩書きだけは課長だが……」という単なるプレイヤーもいるはずだ。
とはいえ、昇格と昇給は大概比例するものであるし、平均が見えれば、自分が今、どの位置にいるかも自ずと見えてくる。「やはり給与が少ない業界だな」と感じれば、ジョブチェンジを考えるかもしれないし、給与の高さだけが「やりがい」ではないと改めて気づくかもしれない。
ただ、給与にせよ、仕事そのものにせよ、課長として部下をマネジメントする立場として最低限のやりがいは感じたいところ。その意味で「課長」職の平均手取りが月40万円弱というのは、はたして適切な額面なのだろうか。
「課長」職の家計の事情についてみていこう。
まず家賃は、手取りの25〜30%くらいの金額が理想とされている。40万円では10万〜12万円ほど。都内で1LDKならば十分に住める価格帯だ。これが2LDK以上となると、探せる部屋の数は一気に減る。「子どものために、もっと広い家を」となると、夫婦共働きでなければ苦しいだろう。
残りの28万〜30万円で、光熱費1〜2万円、食費3〜4万円とすると残りは22〜26万円。スマホ代などその他の生活費諸々を考えると、貯金額は月10万円弱、お小遣い月5万円あればいいといったところだろうか。
子どもがいれば、さらに教育費がかかることになる。親の健康状態によっては介護費用もかかる。夫婦共働きの場合、教育費は折半できるが、介護費用は倍かかる可能性があることも見逃せない。
「老後2,000万円問題」が話題となったが、2,000万円とは「最低限過ごすための金額」であり、余裕を持った生活のためには3,000万円程度必要とされている。人生のキャリアが「課長」職クラスの「平均」だと、単なる貯蓄ではまるで足りないことがわかる。
部長の手取りは平均で「約48万円」
それでは出世して「部長」になるとどうなるのか? 同調査によると、部長職の平均給与(所定内給与額)は59万6,000円(平均年齢52.8歳、平均勤続年数22.5年)であった。手取りにすると約48万円で、課長職より8万円ほど高いことになる。
この上乗せ分をそのまま貯蓄にまわせるかというと、難しい実情がある。というのも、課長から部長に昇進し、給与も額面では10万円以上増えたとき、生活レベルを維持したまま暮らし続けることができるだろうか。
「もっと良いところへ住もう」「もっと良い服を着よう」「ちょっと贅沢したものを食べよう」「子どもの習いごとをひとつ増やそう」……昇給に伴い、こうした欲望が喚起されていくのはよくあることだ。とくに自身では自分の財務状況を理解していても、パートナーに提案され押し切られることも多いだろう。
しかし状況を振り返れば、余剰金を貯蓄分にまわすことで「ようやく必要分に足りるレベル」であったわけなので、給与が増えたからと贅沢が許されるようになるわけではない。
ただ、同じくらいの給与レベルであったとしても「カツカツな生活」には陥らない人も少なくない。「親が金持ち」である場合だ。
国税庁の調査「相続税の申告状況(令和4年度分)」によると、相続税の課税割合はおよそ9.6%。「税制改正によって大金持ちではない人にも相続税がかかるようになった」とは言われるが、それでも相続税の基礎控除額は(3,000万円+600×法定相続人の数)であるから、相続税が課されるような人にはやはりある程度財産があるといえる。
相続財産は「現金」ではなく「土地」などの不動産であることも多く、「今後住む人もいない、いらない実家」と思われることもあるが、親が何も持っていない人たちからみれば大きな財産である。
実家を売って税金を払って手元に300万円しか残らなかったとしても、貯蓄にプラスすれば大きな額だ。「売らずに住めばよいのではないか」という話になれば、家賃分もしくは住宅購入分、数千万円以上のさらに大きな金額がプラスとなる。
課長にも部長にもなれない人たちは?
課長から部長に昇進して月8万円程度手取りが増えれば、平均でみると65歳定年までは約12年、1,152万円多く収入がもらえるわけだが、どの程度を貯蓄や資産形成にまわせるか。生活レベルまで「部長らしく」してしまうと、支出も増えてしまうだろう。
親が金持ちでないかぎり、生活に余裕はいつまでたってもあらわれない。では、すでに課長レベルも部長レベルも無理で、生活に余裕がない人たちはどうするのか。
「無い袖は振れない」ので「いざとなったら、国がなんとかしてくれるだろう」と諦めも早めにつく。だが、その頼ろうとしている国さえも、もう振る袖なぞはなかったとしたら……。
日本経済を支える中間管理職の重要性が強調される一方、円安や物価高の影響が続く中で生活の安定を維持する難しさが浮き彫りとなっている。
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