「別居婚の妻」と離婚調停に。ダメ押しで新恋人の存在がバレて慰謝料請求されるも…「肉体関係の証拠ナシ」なら名誉毀損訴訟で逆転劇はあるか?【弁護士が解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年11月27日 14時15分
(※写真はイメージです/PIXTA)
自由がある、いつまでも新鮮な気持ちでいられる。「別居婚」にメリットを感じ、あえて選択する方も一定数います。一方で別居婚は、自由な時間が多いため不倫のリスクが高くなり、夫婦間のトラブルが生じてしまう可能性もあります。そこで今回は、実際にココナラ法律相談のオンライン無料法律相談サービス「法律Q&A」によせられた質問をもとに、離婚調停中の交際相手への慰謝料請求回避について、寺岡健一弁護士が解説します。
離婚調停中に、交際女性の存在がバレた
相談者の男性は、妻と結婚をしたものの、最初から別居状態にありました。妻とは気が進まず結婚してしまい、仕事を理由に同居を先延ばししていたのです。その後しばらくして、正式に離婚を決意し、妻に対し調停を起こしました。妻は離婚を拒否していて、1年間調停に進展はありません。
その間、相談者は別の女性と交際を始めました。彼女は相談者が既婚者だとは知りません。そのようななか、妻が彼女の存在を知り、調停にて「彼女に慰謝料を請求する」と言ってきました。相談者は今後どうすれば状況が改善するか、頭を悩ませています。
そこで、ココナラ法律相談「法律Q&A」に次の3点について相談しました。
(1)妻と彼女が「慰謝料請求」について調停や裁判などで争った場合、彼女が「付き合っていない」と言い続け、妻が不倫の証拠を出せなければ、彼女は慰謝料を逃れられるのか。
(2)(1)の場合で、妻が不倫の証拠を出せなければ、彼女が逆に妻を名誉毀損で訴えることはできるのか。
(3)「調停を起こしたあと」は婚姻関係が破綻していると見なされるのか。一般的に、どのような状況で婚姻関係が破綻しているとされるのか。
慰謝料請求は、不貞行為を立証できるかが重要
まず、相談者の交際相手が慰謝料請求を受けた場合、慰謝料の支払い義務が発生するかは「不貞行為」が立証されるか否かにかかっています。不貞行為とは、婚姻関係にある一方の配偶者が第三者と肉体関係を持つことであり、単なる交際や親密な関係だけでは不貞と判断されません。
そのため、妻側が不貞行為の証拠を示せない場合、交際相手は慰謝料請求を回避できる可能性があります。ただし、直接的な証拠に限らず、通信履歴などの間接証拠からの積み重ねで証明される場合もあるので、「証拠がない」と安心するべきではないでしょう。
また、妻が根拠なく交際相手に対し不貞の疑いをかけ、名誉を毀損するような発言や行為を行った場合、交際相手は逆に妻を名誉毀損で訴えることが可能です。ただし、名誉毀損が認められるには、公然と事実を適示すること、つまり第三者に言いふらしたことが要件になります。基本的には名誉毀損は成立しないと考えたほうがよいでしょう。
長期の別居や離婚調停の開始により婚姻関係の破綻が認められれば、不貞行為と認定されないことがあります。仮に訴訟提起などをされた場合には、婚姻関係の破綻を主張することも考えられます。
離婚調停中でも婚姻関係の破綻が認められない可能性も
離婚調停中であっても、婚姻関係が破綻したと判断されるかどうかはケースバイケースであり、不貞行為が違法とされないとは限りません。婚姻関係の破綻が認定されれば、慰謝料請求を免れる可能性が高まりますが、「まだ破綻が認められない」と判断されれば、交際を始めた本人と交際相手の双方に慰謝料支払い義務が発生するリスクがあります。
「婚姻関係の破綻」はあくまで不貞行為が発覚した後の防御材料であり、「破綻しているから不貞行為は許される」と解釈して行動するのは危険です。婚姻関係がまだ事実上続いていると見なされる場合、交際を始めること自体が法的リスクとなるため注意が必要です。
また、離婚調停中でも法的には婚姻関係が継続中であるため、第三者との交際が不貞行為と認定される可能性もあり、これは配偶者の精神的苦痛に対する慰謝料請求の根拠とされます。そのため、離婚が正式に成立するまでは新たな交際を避け、冷静に離婚手続きに専念することが、予期しない法的リスクを回避するためにも重要です。離婚調停中の行動は、後々のトラブル回避のために慎重に検討することが求められます。
寺岡 健一
弁護士
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