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年金月18万円・68歳夫を亡くした65歳妻…遺族年金「想定の30分の1」の衝撃。「何かの間違いでは?」の訴えに、年金事務所は冷静に解説

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年11月15日 8時15分

年金月18万円・68歳夫を亡くした65歳妻…遺族年金「想定の30分の1」の衝撃。「何かの間違いでは?」の訴えに、年金事務所は冷静に解説

どんな夫婦でもいつかは訪れるパートナーとの別れ。そのとき、残された家族を支えるのが遺族年金です。しかし、誰もが思っていたような金額を手にできるわけではないようです。なかには大いなる勘違いをしている場合も。

妻は「夫が先に亡くなること」を考えておいたほうがいい

永遠を誓い合った夫婦であっても、いずれは別れのときがきます。厚生労働省『令和5年 人口動態統計(確定数)の概況』によると、65歳以上の死亡数は144万5,868人。そのうち配偶者のいる男性が43万8,705人に対し、女性は14万3,611人。また配偶者と死別している65歳以上の死亡男性は16万0,231人に対し、女性は49万5,677人。平均年齢や年齢差から考えて、妻のほうが夫を亡くした場合のことを考えておかないといけないといえるでしょう。

高齢の有配偶者の死亡理由についてみていくと、65~79歳男性では、トップが「悪性新生物(腫瘍)」で6万7,281人で全体の44.4%。「心疾患(高血圧を除く)」が1万6,972人で全体の11.6%、「脳血管疾患」9,041人が全体の6.0%と続きます。女性の場合も「悪性新生物(腫瘍)」「心疾患(高血圧を除く)」「脳血管疾患」と、その順位は変わりません。

一方、80歳以上男性は、トップは「悪性新生物(腫瘍)」6万9,589人ですが、全体に占める割合は24.2%と、他の死因割合が高くなります。以下の順位をみていくと、「心疾患(高血圧性を除く)」「老衰」「肺炎」と続き、「脳血管疾患」は全体の5番目。また女性の場合も同様の傾向がみられ、「老衰」や「肺炎」での死亡が増えます。

加藤洋子さん(仮名・65歳)。先日、3つ上の夫を亡くしました。高血圧気味であること以外、特に大きな病気をしたこともなくアクティブな性格。だからこそ、突然、別れが訪れるとは思ってもみなかったといいます。死因は脳梗塞。緊急搬送され、何回か三途の川を渡りそうなところを踏みとどまったものの、入院から10日ほどで亡くなったといいます。

40代の頃に聞いた遺族年金の目安額だったが…

60歳で定年退職した加藤さんの夫は、同じく加藤さんの定年退職を楽しみにしていたといいます。

――私が勤めている会社は65歳が定年だったので、年金をもらい始めるつい最近まで働いていました。夫は「君が仕事を辞めたら、パーッとどこかに旅行でも行こう!」とはしゃいでいたのに……

夫、そして夫婦の夢を叶えることができず、葬儀では喪主の挨拶もできないほど憔悴しきっていたという加藤さん。葬儀から1ヵ月ほどが経ち、ようやく落ち着きを取り戻してきたといいます。葬儀が終わったあとの公的手続きとしては以下の通り。ちなみにマイナンバーが収録されている場合は、年金受給停止は手続き不要。ただし未支給年金の届け出は必要です。

■2週間以内

・年金受給停止

・健康保険の資格喪失届

・介護保険資格喪失届

・住民票の世帯主変更届

■1ヵ月以内

・雇用保険受給資格者証の返還…1カ月以内

■2年以内

・国民年金の死亡一時金請求

・埋葬料請求

・葬祭費

・高額医療費の還付申請

■5年以内

・遺族年金の請求

・故人の未支給年金の請求

「色々と手続きをしていかないと……」と、動き出した加藤さん。そのなかで、思いもしない出来事に思わず涙したことがあったといいます。それは年金まわりの手続きを一気に済ませようと思い、年金事務所を訪れたときのひとコマ。手続きのひとつに遺族年金の請求がありました。

加藤さんの夫が受け取っていたのは、月17万円の基礎年金と厚生年金。20年以上前、加藤さんが40代だったころに、近所に住む知り合いの旦那さんが亡くなったことがありました。そのとき、知り合いが「遺族年金は厚生年金の4分の3ほど」といっていたのを覚えていました。そこで「月に7万6,000円くらいかな」と皮算用していたといいます。

加藤さん自身が受け取っている年金は16.5万円程度。合わせて月24.6万円ほどになると考えていました。しかし年金事務所でいわれたのは「遺族年金は月2,500円ほどになります」という衝撃的な事実。思わず、「えっ、何かの間違いでは? もう一回ちゃんと計算してください」といってしまったといいます。

遺族厚生年金の受給額は、亡くなった人の厚生年金の4分の3。そして65歳以上で老齢厚生年金を受け取る権利のある人の場合、遺族年金を受け取る人が65歳以上の場合、「①亡くなった人の厚生年金の4分の3」と「②亡くなった人の厚生年金の2分の1+自身の厚生年金の2分の1」の多い金額が採用されます。この場合は、①7.6万円 ②9.95万円となり、9万9,500円となります。

つまり、加藤さんが考えていたよりも遺族厚生年金額は多かったということになります。しかし、さらに続きがあります。

平成19年(2007年)4月1日からは、自身が納めた保険料を年金額に反映させるため、65歳以上で遺族厚生年金と老齢厚生年金を受ける権利がある人は、老齢厚生年金は全額支給、遺族厚生年金は老齢厚生年金に相当する額の支給停止になるというルールに変更されました。

つまり、20年以上前の記憶で皮算用をしていた加藤さんは、とんだ勘違いをしていたことになります。月7万6,000円だと思ったいた遺族年金は30分の1の金額にまで減ってしまったわけです。年金事務所から解説を受け、納得するしかない加藤さん。

――遺族年金なんて、もらえるとしてもずっと先のことと思って……わたしだけ、時間が止まっていました

今後も、年金のルールは変更になる可能性があります。生活設計に大きく影響を与えるものなので、最新情報をしっかりと掴んでいきたいものです。

[参考資料]

厚生労働省『令和5年 人口動態統計(確定数)の概況』

日本年金機構『遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)』

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