絶対に忘れません…〈月収10万円〉〈養育費ゼロ円〉33歳のシングルマザー「もう限界…」と生活保護申請も、悔しくて唇を噛むしかなかった「市役所でのひと言」
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年11月15日 7時15分
(※写真はイメージです/PIXTA)
なぜシングルマザーになったのか……実に8割は離婚がきっかけです。しかもその半数はさまざまな諸事情により養育費の取り決めをしていません。それが母子世帯の貧困の最大の要因となっています。
仕事を辞めて借金まで作った夫と離婚…養育費なしで離婚に至ったシングルマザー
伊藤麻美さん(仮名・38歳)。小学生の2人の男児を育てるシングルマザーです。5年前に離婚した当時は、生きていくのもやっとという状況だったと振り返ります。離婚理由は、夫が働かないこと
――次男が生まれてから、段々と元夫が家に入れるお金が減っていき、やがてゼロになりました。そのうち仕事も辞めたうえ、借金まで発覚したんです
夫の状況から考えて、養育費をもらうのは無理と判断。それよりも、一刻も早く別れないと、子どもたちに悪い影響が及ぶという気持ちで焦っていたといいます。
厚生労働省『令和3年度 全国ひとり親世帯等調査』によると、母子世帯になった理由で最も多いのが離婚で79.5%。離婚による母子世帯のうち、養育費の取り決めを行っているのは46.7%と半数以下。養育費の取り決めを行ってない理由としては、「相手と関わりたくない」が最多で34.5%。「相手に支払う意思がないと思った」が15.3%、「相手に支払うの能力がないと思った」が14.7%。伊藤さんの場合は、「相手と関わりたくない」&「相手に支払うの能力がない」といったところでしょうか。
当時、長男は小学生、次男は未就学。生活していくためにもフルスロットで働きたいところですが、時間的な制約があり、なかなかうまくいかなかったといいます。
――親の離婚のせいでしょうか。子どもたちは情緒的にも不安定になって。生活のために割り切って仕事に出ることがどうしてもできなくて
パートでの収入は月10万円程度。家賃月3万円弱の公営団地に入居できましたが、親子3人の暮らしとなると非常に厳しいものがあったといいます。
――学校って、いきなり数千円の支払いがあったりするじゃないですか。そういう、ちょっとした出費に対応できないんですよね、月10万円では
そこで役所に相談しにいくことにした伊藤さん。小学生の子どもと、未就学の子どもの母子世帯。住んでいる地域の生活扶助基準額は14万0,710円。さらに母子加算と児童養育加算が4万4,000円ほど。さらに家賃に相当する住宅扶助基準額は6万2,000円(実際の家賃のほうが低い場合は、実際の家賃の額を支給)。伊藤さんの収入を考えると、生活保護が認められれば、最大月11万円強の生活保護費が受け取れる可能性がありました。
もう生きていけない…支援を求めた役所でまさかの怒号
前出のひとり親世帯の調査結果に戻ると、母子世帯のうち、母親の就業率は86.3%。正社員で働いているのは48.8%で、パート・アルバイト等が38.8%。平均年間就労収入は236万円。単純計算、月19.6万円といったところ。この金額を得ようとするには、パートだとなかなか難しいでしょう。伊藤さんのように生活保護による支援も視野に入ってきます。
厚生労働省『被保護者調査(令和6年8月分概数)』によると、生活保護世帯は165万2,380世帯。そのうち母子世帯は6万2,436世帯。ひとり親世帯調査によると、母子世帯は全国で119.5 万世帯というので、母子世帯のうち、20世帯に1世帯は生活保護を受けているといえます。
結果からいえば伊藤さんも無事、生活保護を受けることができたといいます。しかし、そのときの屈辱を忘れないとか。
――役所の担当者に「若いんだからもっと働けるでしょ。生活保護は市民の税金。生活保護はその上であぐらをかくようなもんなんだからさ」と怒鳴られて。周囲に多くの人がいるなかですよ……信じられます?
生活保護の財源が税金であることも重々承知のうえでの助けを求めたのにも関わらず、そんないわれ方に大いに傷ついたといいます。
――あとで聞いたところによると、その職員の対応が問題になって、異動させられてみたいですけど。役所によっても対応は全然違うって聞きますが、本当に悔しかったですね
そう振り返る伊藤さん。そのときは「親子、生きていくため」とぐっと唇を噛みながら我慢して生活保護を申請し、無事、承認を受けたといいます。しかし「早く生活保護の生活から抜けだしてやる!」と決意したそう。次男が小学生に上がるころには情緒も安定してきたため、正社員として働きだし、収入は月25万円を超えるように。無事、生活保護の生活からは脱出することができたといいます。
――今思い出しても、大勢の前で罵られたことは忘れません。でもあの屈辱があったからこそ、いまがあると思っています
[参考資料]
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