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高騰し続ける金(Gold)価格…日米で税金の取り扱いに大きな違い、アメリカで金がリスクヘッジにならないワケとは

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年11月20日 11時15分

高騰し続ける金(Gold)価格…日米で税金の取り扱いに大きな違い、アメリカで金がリスクヘッジにならないワケとは

(画像はイメージです/PIXTA)

金(Gold)の価格が高騰し続けています。日本ではインフレに強い資産として投資先に選ばれることが多いですが、米国では長期的な視点におけるリスクヘッジの一環として金を取り扱う人々はあまり多くないようです。それは、税金の取り扱いが日米で大きく異なる点が挙げられます。アメリカでは金の保管方法を間違うと大きなペナルティを科されることもあります。国際税務のプロフェッショナルが日米の税金問題をわかりやすく解説します。

日本では金はインフレに強い資産だが、米国では・・・

ウォールストリートジャーナル(WSJ)によると、アメリカでの近年における金価格の上昇率は著しく、過去1年間の推移をみると、なんと20%以上もの価格上昇を記録しています。 

今やコストコ(スーパーマーケット)でも金を購入することができる米国では、購入者の数は以前よりもさらに増加傾向にあります。しかしその多くの人々にとって、金の購入は緊急時へのリスクヘッジの一環です。売却の際の税金問題への購入者の意識は全体的に希薄なようです。

日本では、金は株式投資のようなリスクを伴わず、インフレにも強い資産として投資先に選ばれることが多いですね。加えて、相続の際に隠せるのではないかという思いで購入している人もいないわけではありません。

そして日本で金を売却した際の売却益は20%の分離課税が適応される株式売却益とは異なり、普通の所得(雑所得)として扱われるため、株式のような税制上のメリットはありません。

では、いざ米国で金を売却しようと考えたとき、米国における税制はどのように作用するのでしょうか。

日米で異なる税法上の「金」の取り扱い

税法上の金の取り扱いは、日本と米国において大きく異なります。

米国では金を売却して利益となった場合、その税金は株式と同様、キャピタルゲインとして課税されます。1年超の保有で長期とみなされます(日本は5年保有)。

金の売却益における税率は日本とは異なり、株式より高く設定されています。1年を超えた長期保有のケースにおいて、金売却者の所得税率が24%以下の場合、金のキャピタルゲイン税率は、所得課税率と同じになります。株式の0~15%と比較すると、非常に高い税率であることがわかります。

一方、所得税率が24%以上の場合は、金売却のキャピタルゲイン税率は28%となり、こちらも、株式のキャピタルゲイン税率の20%より高くなります。

また、独身者で20万ドル(3,000万円)以上、夫婦合算申告者で25万ドル(3,700万円)以上の所得がある場合には、さらに3.8%の純投資所得税が上乗せされるので、実際には31.8%となります。日本と比べ大変複雑なしくみになっています。

金が非課税対象になる米国個人年金

例外的に金が非課税対象となるケースが、米国個人年金(IRA)での保有です。

1997年の改正税法によって、金や銀、パラジウム等の貴金属は、いずれも「収集品」とみなされ、キャピタルゲインとして課税対象となりました。IRAの規則は厳しく、上記の他に、家具、宝石、美術品、ワイン、切手等も含めた収集品を保有することは認められていませんが、そのなかで例外的に、金のみ取り扱うことが認められています。

しかし実際にIRAの年金所有者の多くは金を取り扱っていません。たとえ取り扱っていても、1万ドルの金の売買に対して2.0~2.5%の手数料がかかるうえ、金の安全な保管を図るという目的で、四半期毎に手数料を取られてしまうというのが実情です。

さらに、IRAの金の保有方法を間違えると、重大なペナルティが科されます。IRAの年金所有者が自宅や貸金庫に保管する行為はIRAの規定に反することになります。

実際、IRA口座で73万ドル(1億円)相当の金を自己管理していた夫婦に対し、裁判所は27万ドル(3,800万円)の課税および5万ドル(700万円)のペナルティを科しています。

税金的には金の取り扱いは日本と大きく異なり、アメリカでは金の保有・売却と株式の保有・売却とは税法上大きく異なります。

税理士法人奥村会計事務所 代表

奥村眞吾

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