自分が将来もらえるかもわからない年金なんて払いません…保険料の未納を続けた現役世代のもとに年金機構から届く「ピンクの封筒」の恐ろしい正体
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年11月18日 8時45分
少子高齢化が急激に進む中、日本の年金制度についてさまざまな議論が交わされています。現役世代の中には「自分がもらえるかもわからないのに、保険料を支払いたくない」という人もいるようですが、実際に支払わないままでいると大変なことになるかもしれません。詳しく見ていきましょう。
なんだかんだいっても老後の柱は「年金」?
原則65歳から受給がスタートする日本の公的年金制度。「老後の生活を支える柱」とも言われていますが、少子高齢化が進む中でさまざまな議論が巻き起こっています。
内閣府の「生涯設計と年金に関する世論調査」(令和5年11月調査)によると、「老後の生活設計の中での公的年金の位置づけ」について「全面的に公的年金に頼る」と「公的年金中心とし個人年金や貯蓄等組み合わせる」と答えた人は、合わせて80%を超えました。一方、「年金にはなるべく頼らない」「全く頼らない」は13%程度という結果になっています。
老後の生活設計の中での公的年金の位置づけ(全年代)
・全面的に公的年金に頼る 26.3% ・公的年金中心とし個人年金や貯蓄等組み合わせる 53.8% ・公的年金になるべく頼らず貯蓄等を中心に考える 11.7% ・公的年金には全く頼らない 1.6% ・考えたことがない 4.8% ・無回答 1.7%
これを見る限り、全体としては年金を老後の頼りにしている人が多いようです。しかし、年代別で見ると、若くなるほど「全面的に公的年金に頼る」と「公的年金中心とし個人年金や貯蓄等組み合わせる」と答える人の割合が減り、「年金にはなるべく頼らない」「全く頼らない」の割合が増える傾向にあることもわかりました[図表1]。
ここから透けて見えてくるのは、若者たちを中心とした現役世代の切実な事情です。
若者は「年金に頼らない」傾向…その背後にある切実な事情
日本の年金は賦課(ふか)方式です。賦課方式とは年金支給のために必要な財源をその時々の保険料収入から用意するもの。いわば現役世代から年金受給世代への「仕送り」です。
現役世代が高齢になれば、その下の世代が納めた保険料から自分も年金を受け取れるはずですが、人口減・無子化が進む中で、この仕組み自体「破綻しているのではないか」という意見もみられます。
「自分たちの時代には年金自体もらえないかもしれない」
「もらえたとしても納めた年金保険料のモトを取れるかわからない」
つまり、年金に頼らないというより「頼れない」と考えている人が多いのかもしれません。
いま議論されている「106万円の壁撤廃」もあり、世間からは年金保険料の支払いについてこんな声も聞こえてきます。
「年金なんて払いたくない、貯金や投資に回したほうがマシじゃない?」
「年金制度に期待してないから、これまで払ったお金返してくれないかな」
物価が上がっているのに給料は上がらない、そんな中で「自分が将来もらえるかわからないのに、いま“仕送り”なんてしてる余裕はない」と考えてしまう現役世代がいるのも現実です。
しかし、実際に年金を納めないでいると、想定外に大変な事態に陥るかもしれません。
年金未納が続くと届く「色とりどりの封筒」の怖い正体
国民年金の加入は日本国民の義務です。20歳以上になれば強制加入となり、原則として必ず納めなくてはなりません。収入が少ないなど支払いが困難な人のために免除制度も設けられています。ただし、免除=その分の年金が国から補填されるのではなく、追納しなければ将来受け取る年金は減額されます。
「払えない」「払いたくない」など事情はさておき、免除の申請などをせずに放置し続けていると、どうなるのでしょうか。
まず、日本年金機構から封書で保険料の支払いを促す案内が届きます。封筒の色は青→黄→赤(ピンク)と、危険度に応じて信号のように変化していきます。そうした封筒を放置し続けると最終的には督促状が届くのですが、そこには延滞金だけでなく「財産差し押さえ」についての注意喚起が記載されます。
財産差し押さえについて注意したいのが、年金は世帯主や配偶者も納付義務者と連帯して納付する義務があるため、自分の財産だけではなく、家族にも影響が及ぶことになることです。
財産の差し押さえなんて脅しでしょ? と思うかもしれませんが、2023年の強制徴収による差し押さえは3万件超ありました。当然ですが、「払わなくても逃げられる」というものではありません。
「老後生活の柱」として考えられてきた年金ですが、時代の変化や事情によって人々の捉え方は変わってきています。ただ、ルールでは年金は原則支払うことが求められており、未納のままにしておけば怖い結末が待っています。
いずれにせよ、どんなことがあっても大丈夫なように、年金以外にも自分自身で備えておくことが今できるなによりの対策といえそうです。
参考資料
内閣府「生涯設計と年金に関する世論調査」(令和5年11月調査)
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