もっと早く知ってれば…障害基礎年金を受給中の35歳男性、付加保険料納付のために手続きへ行って唖然。年金事務所の窓口で言われた〈スンとしたひと言〉の内容とは?【CFPが解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年11月19日 10時15分
(※写真はイメージです/PIXTA)
ケガや病気などで一定の障害の状態になり、要件を満たすと障害年金を受給できます。ただし、障害年金を受給している場合に注意しておきたい点があります。今回は幼い頃からの病気が元で障害年金を受け取ることになった昭夫さん(35歳)のケースを紹介しながら、CFPなどの資格を持つトータルマネーコンサルタントの新井智美さんが、障害年金を受け取る際の注意点などについて解説します。
障害年金を受給できる要件とは?
障害年金を受給できる要件は国民年金(障害基礎年金)と厚生年金(障害厚生年金)で異なります。
(障害基礎年金) 障害基礎年金は国民年金に加入している間、もしくは加入前(20歳前)、60歳~65歳に障害の原因となる病気やケガについて初めて医師の診察を受けた日(初診日)がある人が受けられます。 ただし、初診日の時点で65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に国民年金保険料の未納がないこと、もしくは初診日のある月の前々月までの加入期間の3分の2以上の期間に渡り、国民年金保険料がきちんと納付されている(もしくは免除されている)ことが要件です。 (障害厚生年金) 障害厚生年金を受け取るためには、初診日が厚生年金保険加入期間中になければなりません。また、障害基礎年金が1級と2級しかないのに対し、障害厚生年金は1級、2級そして3級、一時金が用意されています。昭夫さんは中学生の頃にかかった風邪が原因で急性腎炎になり、その後ずっと通院治療を続けていました。そして最終的に30歳の時点で人工透析を余儀なくされたのです。
人工透析を受けている人は、障害年金を受け取れます。和夫さんが人工透析を開始したのは30歳からで、その時点では就職していたため、障害年金については障害基礎年金と障害厚生年金が受け取れるものと思っていましたが、初診日が中学校のときになってしまうため、障害基礎年金しか受け取れないと判断されました。これを事後重症といいます。
障害者手帳の等級と障害年金の等級は異なる
障害年金には1級、2級といった等級があり、障害基礎年金の場合2級だと老齢基礎年金と同額が支給されます。そして1級の場合は老齢基礎年金×1.25が支給されることになっています。もちろん、支給された障害年金は非課税所得に該当します。
昭夫さんは障害者手帳も持っていますが、障害者手帳の等級は1級です。しかし障害年金の等級は2級となっており、必ずしも障害者手帳の等級が障害年金の等級と一致するわけではないことを初めて知りました。
人工透析は1日おきに4~5時間かけて行います。そのため、人工透析を行いながらのフルタイムでの勤務は難しく、現在はアルバイトを続けています。受け取れる収入は少ないものの、障害基礎年金を合わせればなんとか生活できる状況です。
障害基礎年金を受給している場合は、保険料の支払いを免除できる
昭夫さんは障害年金の受給手続きを自分で行い、申請して3ヶ月後に認定を受けて障害年金を受け取り始めました。
その後も国民年金保険料を支払い続けていたのですが、35歳になったときに受け取れる年金額を少しでも増やしたいと思い、付加保険料を納付することを考えました。その手続のために自治体の窓口に行くと、「障害年金を受け取っているなら国民保険料の支払いは免除されるはずですが……」といわれビックリしました。窓口の人に「年金事務所で確認してみてください」といわれ、年金事務所に行くと「確かに免除になりますね。これから手続きをします」とのこと。
障害年金の受給申請の際にはそんなことは一言も説明がなかったため、昭夫さんが不信感を抱いたのも当然です。「申請の際にはそんな説明はなかったですが……」と聞くと、「管轄が違いますので」と他人事のような回答。結局昭夫さんは手続きを行い、認定された日を含む前月の保険料から今まで払った保険料を全て返還してもらいました。
実は障害年金2級以上の人は、申請することで国民年金保険料の支払いを免除してもらえるのです。これを法定免除制度といいます。
もしかすると、障害年金を受け取っている人の中には昭夫さんと同じように知らずに国民年金保険料を払っている人もいるかもしれません。
ただ、法定免除制度を受けた場合で65歳から老齢基礎年金を受け取る場合は、追納しなければ満額はもらえないため注意してください。ちなみに免除されている期間の老齢基礎年金の額は2009年3月以前の期間は1ヶ月を3分の1として、2009年4月以降の部分については1ヶ月を2分の1で計算します。
また、法定免除制度が設けられているのは国民年金だけです。障害年金を受給しながら働いている人は厚生年金保険料については払わなければなりません。
65歳からの年金の受け取り方
年金は1人1年金が原則です。ただし、支給の事由が異なる年金はいずれか1つを選択できます。例えば「老齢」と「遺族」、「老齢」と「障害」などの場合、障害基礎年金と老齢厚生年金の受給を選択できます。
法定免除制度を受け、65歳の年金受け取り開始時点でも障害基礎年金を受け取っている場合は、そのまま障害基礎年金を受けとるか、老齢基礎年金を受け取るかを選べます。
昭夫さんは現在の病状が改善される可能性は低いと感じており、65歳以降もそのまま障害基礎年金を受給し続け、厚生年金部分はこれまで加入していた期間に応じた老齢厚生年金を受給しようと考えています。
新井智美
トータルマネーコンサルタント
CFP
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