〈年金月25万円〉〈退職金2200万円〉〈貯金1,800万円〉年に1度の温泉旅行が唯一の贅沢だった「60代夫婦」。穏やかな老後を急転させる「43歳・出戻り次女」の怖すぎるひと言
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年11月20日 5時15分
仕事を辞めて給与収入がなくなる老後。頼りになるのは年金と、老後生活に備えてコツコツ貯めてきた貯金。十分すぎるお金があっても、万一のことを考えたら不安は募り、「貯金はできるだけ手をつけずに暮らす」というケースは多いようです。そんな堅実な老後も、一気に崩壊してしまうこともあるようです。
人生、何があるかわからない…貯金も退職金にも手をつけず
生きていれば誰にでも訪れる老後。どれだけリアルにイメージができているでしょうか。
金融広報中央委員会『家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)』によると、「老後のひと月当たり最低生活費」は、60代が平均32万円、70代が平均31万円と回答。また「年金支給時に最低準備しておく金融資産残高」は、60代が平均1,956万円、70代が平均1,685万円と答えています。
また老後生活に対しては「それほど心配していない」が60代で25.5%、70代が32.8%。すでに年金生活の人も多いであろう60~70代でも7~8割近い人が生活に不安を抱えながら暮らしています。
老後、不安の原因はなんなのでしょうか。
「十分な金融資産がないから」が最も多く、60代で65.7%、70代で65.4%。続いて「年金や保険が十分ではないから」が、60代で53.6%、70代で61.8%。半数を超えたのはこの2つの選択肢。結局は、生きていくためにはあとにも先にもお金、ということです。
さらに、老後の生活において、ベースになるのは年金ですが、実際どれほどの生活が送れるのでしょうか。
「年金に対する考え方」として、「年金でさほど不自由なく暮らせる」が60代で12.3%、70代で12.1%。「ゆとりはないが、日常生活費程度はまかなえる」が60代で54.7%、70代で61.8%。6~7割が年金で何とか生活している様子がうかがえますが、残りの3~4割は、どうも年金で暮らしていくのは難しいようです。
どれほどお金があればいいのかは、人それぞれ。
田中浩さん(仮名・67歳)恵子さん(仮名・65歳)夫婦の場合、年金は夫婦で月25万円、手取りで月21万円強。現在、預貯金は1,800万円程度で、それとは別にサラリーマンだった浩さんの退職金2,200万円があるとか。持ち家でローンは完済済み。5年前にはバリアフリーのリフォーム(キャッシュ一括払い)を行い、老後に向けて万全です。一方で、生活費は年金だけでも余るほど質素倹約を徹底。「人生、何があるかわからないから」と、退職金含め、預貯金に手をつけたことはなかったといいます。
――余った年金をコツコツ貯めて、年に1回くらい温泉旅行に行きます。それが唯一の贅沢かな
離婚した次女が2人の孫を連れて実家に出戻り…次第に依存するように
質素倹約を心がけ、贅沢といえば、年1回の温泉旅行……それでも穏やかな日常を楽しみながら過ごしていました、と田中さん。過去形なのは、状況が少々変わったから。「人生何が起こるか分かりません。自分たちではどうすることもできないことが起きたりするんです」と田中夫婦はため息をもらします。
きっかけは、次女(43歳)の出戻り。7歳と5歳になる孫を連れて、実家に戻ってきました。離婚理由は夫の借金。独立をしたもののうまくいかず、借金が膨らむ一方。家族を顧みず無謀な挑戦を続ける夫に愛想を尽かしたのだといいます。
――離婚の理由が理由だけに、養育費をもらっていないみたいですね
厚生労働省『令和3年度 全国ひとり親世帯等調査』によると、離婚時に養育費を取り決めているケースは全体の46.7%。取り決めてない理由として、「相手と関わりたくない」が50.8%と最も多く、「相手に支払う意思がないと思った」40.5%、「相手に支払う能力がないと思った」33.8%と続きます。
孫と共に実家に戻ってきた次女。当初、3人の生活費等はすべて次女が持つ、パートの収入でやりくりするという話だったといいます。しかし十分な稼ぎがあるわけではなく、たまに援助を求められることも。最初は遠慮気味だったといいますが……。
――大丈夫よ、じいじとばあばがいるから
出戻りから3ヵ月ほど経った頃に、そんな厚かましいひと言が引き金になったのか、援助の額は一気に増え、いつの間にか3人の生活費や孫の教育費など、すべて田中さん夫婦が負担するように。さらに家事全般に加えて、孫の習い事の送り迎えや宿題までも、田中さん夫婦がするようになったといいます。
日に日に依存度が増すなか、もっと次女自身がやるべきと咎めたところ、「私だって頑張っているんだから」「離婚して大変なんだから、援助してくれたっていいでしょ」と逆ギレ。情緒的に不安定な雰囲気もあり、それ以上は何もいえなかったといいます。
質素ながらも穏やかで自由な日々は一転、家のことと孫の面倒で忙しくする毎日に。さらに手つかずだった貯金が減っていくさまに、恐怖すら感じます。孫は愛する存在であるものの、全面的に面倒をみなければならないとなると話は少々変わってきます。
――私たちは一生、娘と孫のために生きなければならないのでしょうか
年1回のささやかな贅沢も、諦めなければならない……虚しくなるばかりだといいます。
[参考資料]
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