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遺族年金「年70万円」もらえるはずが…月収45万円・47歳のサラリーマン夫を亡くした45歳妻、年金事務所で請求却下の「悲しい理由」

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年11月22日 10時15分

遺族年金「年70万円」もらえるはずが…月収45万円・47歳のサラリーマン夫を亡くした45歳妻、年金事務所で請求却下の「悲しい理由」

家計を支える大黒柱を失い、明日からの生活をどうすればいいのか……そんな途方に暮れる家族にとって、公的保障である遺族年金はまさに命綱。しかし、多くの人が対象になるよう制度設計されているものの、対象外で「遺族年金がもらえない」というケースも珍しくはないようです。

夫急逝から2年後、遺族年金の請求にやってきたら…

2年前に夫を亡くした山本久美子さん(仮名・45歳)。急な出来事で頭が真っ白になるばかりか、しなければいけない手続きがいろいろとあり、悲しんでばかりいられなかったことを振り返ります。

――夫を亡くして泣いたのは一瞬だけ。そのあとは忙しすぎて覚えていない

【家族死去後の主な手続きと期限】

■2週間以内

・年金受給停止

・健康保険の資格喪失届

・介護保険喪失届

・住民票の世帯主変更届

■1ヵ月以内

・雇用保険受給資格者証の返還

■2年以内

・国民年金の死亡一時金請求

・埋葬料請求

・葬祭費の申請

・高額医療費の還付申請

■5年以内

・遺族年金の請求

・故人の未支給年金の請求

今なおしていない手続きがあり、「期限が来るからきちんとしておいたほうがいいよ」とアドバイスを受けることも多いとか。そのひとつが遺族年金。遺族年金は国民年金に由来する遺族基礎年金と、厚生年金に由来する遺族厚生年金の2つがありますが、その請求の時効は5年とされています。

夫が亡くなってから2年。まだ余裕でセーフ。「収入が少しでも増えたら……」と思い、年金事務所に手続きに行きました。山本さんの夫(享年47歳)の当時の月収は48万円。山本さんが対象になるのは遺族厚生年金で、その受取額は亡夫の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3。ざっと計算すると、年間70万円、月5.7万円ほどを手にできる計算だったといいます。

――月6万円弱。ありがたい

そう思っていましたが、年金事務所でまさかの展開。

――山本さんの場合、支給要件に該当しないので、遺族年金は支払われません

――えっ、それはどういうことですか?

山本さん、所得制限を超えていたため、遺族年金の要件から外れていました。遺族年金の受給者の対象となるのは、死亡した人に「生計を維持されていた遺族」でなければなりません。生計維持は「①年収850万円未満または年間所得655万5000円未満」「②死亡した人と住民票上同一世帯、または別居でも家計をひとつにしていた」という2つの要件を満たしていないと認められません。山本さん、それ以上の収入があったというのです。

――そんな収入があったのは前のことです。今はそんなに収入はありません

夫が亡くなってからの2年の間に勤めていた会社が傾き、山本さんは転職。ただし、以前ほどの給与はもらっていないといいます。「少しでも収入が増えれば」……、遺族年金の請求をしようと考えたきっかけのひとつだったのです。

まさか自分は対象外!知っておきたい「遺族年金のルール」

山本さんの必死の訴えに対し、「ルールはルールなので」と却下。遺族年金の生計維持の要件は、「被保険者が亡くなった当時、収入が850万円を下回っていること」。このあと、たとえ収入がゼロになったとしても遺族年金の対象外であることに変わりはありません。

夫が亡くなったとき、遺族年金がないと困るという状況ではなかったので、遺族年金の請求は忘却の彼方だった山本さん。遺族年金ゼロという事実は変わりませんが、収入が減で「遺族年金があれば嬉しい」という段階で知るのは少々痛すぎました。

遺族年金がもらえないケースとして「子の要件を満たしていない」「保険料が未納」など。

①「子」がいない

遺族年金における子とは、18歳になった年度の3月31日までにある人、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある人。結婚している場合も、子とは認められません。遺族基礎年金の場合、「子のある配偶者」と、子がいることが受給条件になっています。

②保険料が未納

保険料の納付要件として「①亡くなった日の前々月までの保険料納付済期間(保険料免除期間を含む)が国民年金加入期間の3分の2以上あること」「②亡くなった日が2026(令和8)年3月末日までのとき、亡くなった人が65歳未満の場合、亡くなった日の前々月までの直近1年間に保険料未納がないこと」の2つがあります。保険料の免除・猶予を受けている場合は加入期間とみなします。さらに亡くなった人が老齢基礎年金の受給権者や受給資格を満たしていた場合、保険料納付済期間、保険料免除期間および合算対象期間を合算した期間が25年以上あることが支給要件です。

ほかにも、30歳未満の子のいない妻であれば、遺族厚生年金は5年間のみ受給可能だったり、夫が受給する場合、妻が死亡した当時に55歳以上でなければ対象とならず、しかも受給開始は60歳以上となったりするルールも。

このように、「ただし……」の注意書きが多い遺族年金。もらえると思っていたのにもらえない……ということのないよう、一度、細かな受給要件もチェックしておくといいでしょう。

[参考資料]

日本年金機構「遺族年金」

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