ふざけるな!〈年金月22万円〉を受け取る65歳再雇用サラリーマン「年金が1年に1回増額になりますよ」に歓喜も、2年後、日本年金機構から「年金停止」の通知を受け取り大激怒
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年11月22日 5時15分
一定の収入がある高齢者の老齢厚生年金を減らす「在職老齢年金」。2000年以降に減額・停止の仕組みが導入され、現在の上限は50万円。実際に年金停止となるのは、働く年金受給者の16%に相当するといわれています。「一生懸命働いただけなのに……」そんな高齢者の嘆きが聞こえてきます。
60歳の定年以降も働いた分、厚生年金は増える
小林浩一さん(仮名・67歳)。60歳で定年を迎えましたが、その前に再雇用制度で働き続けることを希望するかどうか意向を聞かれたといいます。大学を卒業して40年弱。ずっと働いてきたから、ここでひと息つきたいという自分と、仕事を辞めたら何もすることがない=仕事を続けたほうがいいという自分がいたといいます。
悩んでいるところに同僚がひと言。
――60歳以降も働けば、そのぶん、年金を増やすことができる。老後はいくらお金があっても足りないくらいなんだから、何もすることがないなら働けよ
厚生年金は原則70歳まで加入できる制度。60歳以降も加入資格があるなら保険料を払い続け、そのぶん、年金受取額を増やすことができます。また、70歳になると加入資格を失いますが、任意で厚生年金保険への加入も可能です。
仮に平均的な給与を得ている大卒サラリーマンがいたとしましょう。60歳で定年退職し、そのまま仕事をしていなければ、65歳から受け取れる年金額は厚生年金が15.81万円。併給の国民年金と合わせて19.98万円です(令和6年度換算)。
一方、60歳で再雇用となり、65歳まで非正規社員として頑張ったとしたらどうでしょう。65歳から受け取れる年金額は、厚生年金が14.96万円。併給の基礎年金と合わせて21.76万円となります。
国民年金の加入期間は最大で40年。20歳から保険料を働いていれば、定年と同時に加入期間は終了。これ以上、基礎年金は増えません。一方、厚生年金は60歳以降も働いて保険料を払っていれば、年金の増額が狙えます。
在職中「毎年10月に年金額を改定」働いた分だけ年金額に還元されるが…
――年金が増えるのなら、これからも働き続けます!
定年後も働き続け5年。その間、小林さんの勤めている会社では、再雇用制度の上限が70歳に延長になったとか。
――やることもないからと働き続けることを選びましたが、5年経ってもやることが見当たらなくて。家にずっといるようになったら妻に煙たがられる気もしますし……
そんなときに耳にしたのが、働きながら年金を受け取れる「在職老齢年金」です。
かつて厚生年金を受け取るためには、退職の要件がありました。しかし当時、高齢者の給与は低く、働いていても生活に困窮する人が多くいました。そんな事情から「働きながらでも受け取れる年金制度」として在職老齢年金制度は誕生したのです。
前述のとおり、厚生年金は働いた分、保険料を納めた分、将来の年金額に反映されます。ただ実際に受給額に反映されるのは、以前は70歳になってからか、または退職したときでした。しかし令和4年4月から「在職定時改定制度」が導入され、65歳以上の人は、在職中も毎年1回、10月に年金額が改定されることになりました。
――働いた成果がすぐに年金に反映されるのはいいね。俄然、働く意欲が増すよ
小林さん、65歳で受け取った年金額は老齢厚生年金が15.3万円。併給の国民年金と合わせると21.8万円ほどでした(当時)。また給与(=総報酬月額相当額。その月の標準報酬月額+その月以前1年間の標準賞与額の合計÷12)は30万円ほどだったといいます。
66歳で受け取った年金額は、老齢厚生年金が15.7万円と4,000円ほどアップ。増額はわずかでも働き続けることのメリットを感じたといいます。給与は同じく30万円ほど。
67歳で受け取った年金額は、老齢厚生年金が16.1万円と、さらに4,000円ほど増えました。また賃上げブームのなかで再雇用社員も給与アップの対象となり、給与は35万円に。ただし在職老齢年金の上限を1万円ほど超えてしまい、日本年金機構から年金停止の通知が届くことに……これには小林さんも憤慨。
――「働いた分、年金が増えるよ!」と言っていたのに、「働きすぎだから年金停止です」って意味がわかりません!
60代後半の就業率が5割超えのなか、在職老齢年金の廃止、または基準額を現行の50万円からさらに引き上げる改正案がいわれています。いつ、どのタイミングで改正となるかは不透明ですが、近い将来、年金を受け取りながら思う存分に働く時代がやってきそうです。
[参考資料]
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