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30年ぶりの『ドラクエⅢ』に心を躍らせる〈退職金1,500万円〉〈貯金2,300万円〉65歳定年退職サラリーマン、「さあ、冒険に出よう!」とテンション爆上げの3日後、軽い絶望感を覚えた「まさかの理由」

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年11月23日 5時15分

30年ぶりの『ドラクエⅢ』に心を躍らせる〈退職金1,500万円〉〈貯金2,300万円〉65歳定年退職サラリーマン、「さあ、冒険に出よう!」とテンション爆上げの3日後、軽い絶望感を覚えた「まさかの理由」

写真はイメージです/PIXTA

定年を迎え仕事を辞めたら、どのように過ごそうと考えているでしょうか? 趣味の世界にどっぷり浸かる……そんなことを考えている人もいるでしょう。どうやら、趣味の世界にどっぷり浸かることのできる人は、ある意味、幸せかもしれません。

定年退職、家族からプレゼントされたゲーム機とゲームソフト

――定年退職祝いにと、息子がプレゼントしてくれた

嬉しそうに話す井上哲也さん(仮名・60歳)。人気ゲームのリメイク『ドラゴンクエスト · ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』を、ゲーム機とともにプレゼントしてくれたといいます。

井上さんとしては、30年以上ぶりの『ドラクエⅢ』。最初にプレイしたのは、ファミリーコンピューターで発売された翌年で、長男が誕生したタイミング。仕事も忙しく、とてもゲームをしている暇はなかったといいます。しかし「すごく話題になっていたから気になっていて。ゲーム機も持っていなかったのですが、一緒に購入したところドはまりしました」と、当時を懐かしく振り返ります。

寝る間も惜しんでプレイした、当時の哲也さん。コツコツとプレイして、クリアするまで3ヵ月くらいかかったとか。

――クリアしたときは、すごい高揚感と充実感で、『冒険が終わった……』という寂しさもありました

ゲームの面白さを感じた井上さんでしたが、「あまり子どもにゲームをやらせたくない」という妻の要望でゲーム機は押入れの奥へ。その後、井上さんがゲームに興じることはなかったといいます。

あれから30年余り。井上さんの勤める会社では65歳が定年年齢。継続雇用で、形式的には上限なしで働き続けることができます。定年を前に、働き続けるか、それとも仕事を辞めるか、考えていたところ、『ドラクエⅢ』のリメイク版が発売されることを知ったといいます。

――懐かしい! はまったんだよ、これ。またやりたいなぁ

そう、テンション高めに言っていたのを、家族が聞いていました。そこで今回のプレゼントにつながったというわけです。

そもそも65歳の定年とともに退職を決意したのは、老後の生活の見通しが立ったため。退職金は1,800万円。妻がコツコツ進めてくれた貯金は2,300万円ほどになります。年金は夫婦で月24万円ほどで、手取りにすると20万円ほど。住宅ローンは完済済みで、大きな懸念もありませんでした。「これ以上、働かなくても大丈夫」という自信を持って、定年退職することに決めました。

30年前に3ヵ月間熱狂したゲームを3日でクリアしたが…

――さあ、冒険に出よう!

30年前に胸を躍らせた『ドラクエⅢ』の世界観にもう一度浸ることができる……井上さんオープニングからテンションはかなりの爆上げで、家族の声も聞こえないほどの熱中ぶりだったとか。

30年前はクリアまで3カ月近くかかったといいますが、今回はわずか3日ほどでクリア。30年前と同じようにすごい高揚感と充実感に包まれている……かと思えば、どちらかといえば茫然自失。30年ぶりの『ドラクエⅢ』は面白くなかったのか……というとそういうわけではなく、30年前よりも面白かったといいます。それなのにこの表情は?

――急に、この先、何を楽しみにして生きていけばいいのか、不安に襲われて

話を聞いていけば、30年前は3カ月もかかったゲーム。それは仕事が忙しいなかでプレイしていたからであり、今回3日でクリアしてしまったのは、とにかく時間だけはたっぷりあるから。この「時間だけはたっぷりある」という状況に対して、どう生きていくのかなど、まったく見通しがないことに、軽い絶望感を覚えたというのです。

――趣味らしい趣味もなく、家でやることといえば、食べて、寝て、妻の家事を手伝って……これまでは私には仕事がありましたが、何もないことがこんなにも不安だとは思ってもみませんでした

株式会社LIFULL seniorが30代以上の男女に対して行った『趣味が楽しめる理想の老人ホームについてのアンケート調査』によると、『現在、楽しんでいる趣味や余暇活動はあるか』の問いに対して、「ない」は34.6%。また「現在楽しんでいる趣味や余暇活動を75歳以上になっても続けていると思いますか?」の問いに対しては、「続けていると思わない」が16.1%、「わからない」が23.3%でした。

現役世代の3人に1人は無趣味。また趣味があったとしても老後もできるものかといえば、難しい場合も相当数いるようです。

また、最近注目されている「学び直し」。時間があるシニアほどおすすめではありますが……株式会社パーソル総合研究所『ミドル・シニアの学びと職業生活についての定量調査』によると、「学び直し」をしているのは趣味の学びも含めると22.6%。29.8%は自ら学び直す意欲はあるが、特に学んではないという「口だけ層」。さらに47.5%は自ら学び直す意欲がなく、特に学んでいないという「不活性層」と定義しています。

この結果からも、定年後に特に何もすることがない人は相当いる模様。このなかには、井上さんのように「何もすることがないことに不安を覚える人も多いことでしょう。

――仕事しかない人間が仕事を辞めたら、何の価値があるのでしょう

何か趣味を見つけるよりも仕事復帰したほうが手っ取り早く、健康なうちは働くのも選択肢だと井上さん。世界銀行が発表する各国の平均寿命によると、日本は84.00歳と世界第3位。またWHOが公表している各国の健康寿命も、日本は73.40歳と世界第2位。井上さんがいうように「健康なうち」まであと8年ほど。その間、仕事をするというのも、老後のひとつの過ごし方なのかもしれません。

[参考資料]

株式会社LIFULL senior『趣味が楽しめる理想の老人ホームについてのアンケート調査』

株式会社パーソル総合研究所『ミドル・シニアの学びと職業生活についての定量調査』

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