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43歳サラリーマン、実家の仏間の床から出てきた〈タンス預金8,000万円〉に歓喜→1年後〈追徴税額4,500万円〉で悲鳴…家族すら知らなかった「タンス預金」が税務署にバレた理由【税理士が警告】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年12月1日 11時15分

43歳サラリーマン、実家の仏間の床から出てきた〈タンス預金8,000万円〉に歓喜→1年後〈追徴税額4,500万円〉で悲鳴…家族すら知らなかった「タンス預金」が税務署にバレた理由【税理士が警告】

(※写真はイメージです/PIXTA)

多賀谷会計事務所の宮路幸人税理士によると、税務調査で最も指摘されるのが「現金・預貯金の申告漏れ」だといいます。たとえ、家族すら存在を知らなかったタンス預金であっても、税務署に誤魔化しはききません。8,000万円もの現金を相続財産として申告せず、多額の追徴課税を支払うこととなってしまったAさんの事例をみていきましょう。が解説します。

見つかったのは8,000万円の「タンス預金」

サラリ-マンのAさんは43歳です。このたび、祖父が98歳で大往生を迎えたことで、古くなった実家を新築に建て替えることになりました。Aさんの両親は70代と高齢であるため、諸々の手続きはすべてAさんが引き受けていたそうです。

取り壊しの最中、作業員が大声をあげてAさんを呼びます。なにごとかとAさんが作業員のもとへ駆けつけると。そこにはまさかの光景が……。

作業員「あの、Aさん。これ……」

Aさん「えっ! ちょ、ちょっと待ってください。おーい! みんなちょっと来てくれ!」

なんと、作業員が仏間の床から発見したのは、大量の現金でした。あとから数えるとその額はおよそ8,000万円。家族はあまりの出来事に騒然となりました。

Aさん「なんでこんな大金が……。父さんも母さんも知らなかったの?」

A父「当たり前だろう。知っていたら家を壊す前に取り出しているに決まっている」

B母「でも確かにお義父さん、よく仏間に籠っていましたよね……倹約家にみえたのに貯金も少なかったし、なににお金を使っているんだろうと思っていたけれど、まさかこうやって貯めていたなんて」

Aさんの実家は古くからその地域で一番の商店であったことにより、お金はそれなりに稼いでいたはずでした。またなにより、祖父はよくいえば倹約家でしたし、悪くいえば“ケチ”で、孫であるAさんもお小遣いをねだっては「そんな金はない!」と怒られていた記憶があったそうです。

家族会議の末、両親はきちんと相続財産として申告しようと提案したものの、Aさんの「俺らでさえ知らなかったんだから、誰にもバレるわけないだろ。国に奪われるなんてケチなじいちゃんも怒るはず」という強い主張により、この場で山分けをすることにしました。

70代のAさんの両親が半分の4,000万円。長男のAさんが2,000万円、妹のBさんが2,000万円をそれぞれ受け取ったといいます。

税務署からかかってきた1本の電話

タンス預金の発見から約1年後、Aさんは両親から「税務署から電話で税務調査に伺いたいと言われた」と連絡を受けました。

(まさか1年前のあれがバレたのか……? いやいや、作業員が見つけてくれるまで誰も知らなかったぐらいだし、バレるわけないよな)と、不安なAさん。

そもそも任意の税務調査なのだから拒否することはできないのかと調べてみるものの、拒否をした場合に罰則があると知り、しぶしぶ税務調査を了承することに。

税務調査当日、調査官は2人で見えました。緊張していたAさんでしたが、優しい雰囲気の調査官とのなごやかな雑談で始まったこともあり、少しずつリラックスしていきました。

午後に入ると「おじいさまの生前の所得を考えると、相続財産が少なく思えるのですが……おじいさまの生前の趣味やお金の使い道について、なにかご存じではありませんか?」との質問が。しどろもどろに答えていると、さらに「預金通帳を見せていただけますか?」と求められました。

Aさんが祖父の通帳をすべて渡すと、Aさんや他の相続人の通帳も見せるように要求されました。

「どうして我々の通帳まで見せなければいけないのですか!」と抗議するも、調査官は「相続人も関係者ですから、調べる必要があるんです。なにもなければすぐにお返しいたしますから」との言い分でした。こうして山分けしたタンス預金の存在が判明してしまったのです。

調査官「ここで同じ時期に相続人の通帳に分けて入っているお金はなんでしょうか?」

Aさん「そ、それは……家の取壊し中に床から現金で見つかったものです」

調査官「なぜ相続財産に含めて申告していないんですか?」

Aさん「タンス預金なのでバレないと思って……すみません」

この結果、故意に財産を隠したものとして悪質だと判断されてしまい、重加算税という重いペナルティが課されることに。

Aさん「そんな……そんなぁ! 悪いとは思っていますから、なんとか見逃していただけませんか!? このお金は住宅ローンの頭金にするつもりなんです。いまこれが無くなったら、計画がめちゃくちゃになってしまう……」

そんなAさんの悲痛な叫びもむなしく、課税総額金額は、相続税のほか重加算税、延滞税を含めておよそ4,500万円となりました。

家族すら気づかなかったタンス預金…税務署にバレる理由

相続税・贈与税の税務調査で最も指摘を受けるのが「現金・預貯金の申告漏れ」です。

令和4年度の調査で、相続財産ごとの申告漏れ金額のうち、現金・預貯金が占める割合は31.5%。贈与税の非違件数(申告誤りや申告漏れ)の69.1%も、現金・預貯金によるものでした。このため相続税の税務調査では、現預金が重点調査項目となっています。

では、税務署はどのようにして情報を把握しているのでしょうか?

人が亡くなった場合、市役所から死亡の通知とあわせて、所有している不動産の状況などが税務署に通知されます。また、過去の所得税等の申告書や保険会社や証券会社から届く支払調書などにより、故人の財産をおおむね推測します。

それだけでなく、国税庁のHPには「課税・徴収漏れに関する情報の提供」を呼びかけており、急に羽振りがよくなった場合などは“ご近所さん”からのタレコミにより調査対象とされることもあるのです。

税務署の調査権限は非常に強力です。相続人の口座を確認する場合、銀行は正当な理由がない限り、税務署の要求に応じて保有する情報を開示しなければなりません。

このため相続税の税務調査の際に必要であれば、被相続人や相続人に関する口座情報を集めることができます。

相続が発生した場合、被相続人や相続人の銀行口座の動きなどは把握されていると考えておいたほうがよいでしょう。

申告漏れがバレた…追徴税の種類は?

相続税の税務調査で申告漏れを指摘された場合、納めるべき相続税のほか、次のような加算税や延滞税が課されます。

過少申告加算税……納めるべき相続税を少なく申告していたとして、追加で納める相続税に対して10%~15%の金額が課されます。

重加算税……税務調査を受けた際、意図的に申告内容を仮装したり、事実を隠ぺいしたりしたと客観的に判断され、脱税の事実があった場合に課されるペナルティです。その場合過少申告加算税にかえて、その追加で納める相続税に対し、35%の重加算税を納めることとなります。

延滞税……原則として本来の納期限から納付した日に対し、2月を経過する日までは本来「年7.3%」、それ以後は「年14.6%」が課されます。もっとも、市場金利に比べあまりにも高いため、現在は特例基準で2月を経過する日までは本来「年2.4%」、それ以後は「年8.7%」が課されます。

タンス預金を相続財産に含めずに申告した場合、意図的に財産隠しをしたと判断され、重加算税が課税されます。現預金の隠ぺいは重加算税が課されることも多く、税務署の重点調査項目です。多額の納税額を課されないようにするためにも、適正な申告を心がけましょう。

宮路 幸人

多賀谷会計事務所

税理士/CFP

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