こんなに早く逝ってしまうとは…「健康オタクの夫」が65歳で急逝、残された同い年の妻が受け取る「少なすぎる年金額」に絶望、長すぎる老後に「どう生きていけというのか」
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年11月23日 8時15分
写真はイメージです/PIXTA
老後の生活のベースとなる公的年金ですが、その年金が少なく、貯蓄も心許ないとなると、働き続けるしか方法しか見当たらない……さらに平均寿命は延び続け、老後の期間も延びるばかり。救いのない状況のなか、途方に暮れるしかないよです。
喫茶店を切り盛りする夫婦…経営低調で「老後資金」貯まらず
厚生労働省『令和5年簡易生命表の概況』によると、2023年の日本人の平均寿命は男性81.09年、女性87.14年。多少の凹凸はあるものの、日本人の寿命は右肩上がりです。また最新の日本人の健康寿命は令和元年時点で男性が72.68年、女性が75.38年。平均的な日本人であれば、老後、病院と仲良くなってから男性なら9年、女性であれば12年ほどあるということ。できれば、この健康寿命と実際の寿命との差をきゅっと短くしたいものです。
そんな老後について、どれほど夫婦と話し合っているでしょうか。株式会社LIFULL seniorが行った『配偶者・パートナーとの後についてのアンケート調査』によると、「老後についてパートナーと話し合ったことあるか?」の問いに対して、「しっかり話し合っている」が11.8%、「少し話し合ったことがある」が46.5%で、6割近い夫婦が少なからず老後について話し合った経験があることがわかりました。
また「パートナーとの老後で不安がある問題」として最も多かったのが「健康・病気」で65.2%。「看病・介護」43.3%、「生活資金」42.9%と続きます。一方で、「実際に話し合ったことがある問題」としては「健康・病気」が45.3%とトップながらも、不安とのギャップは20ポイントと大きく、話題には上がりづらいという一面もあるようです。
佐々木進さん・智子さん夫婦(ともに仮名)の場合も、老後の不安といえば「健康・病気が一番不安だった」といいます。その理由というのも自営業だから。高校卒業後、飲食店で働いていた進さん。その店で出会った智子さんと交際が始まり、28歳のときに結婚。さらには独立して喫茶店をオープンしました。それまで働いていたのがいわゆる“夜の店”だったため、逆に“昼の店”に強い憧れがあったのだとか。
それから35年。開業はちょうどバブルで日本が浮かれているころ。店の経営も順調だったといいます。しかしその後は「低空飛行」。二人がギリギリ暮らしていけるくらいには稼げる程度だったとか。そのため、老後の生活資金などほとんど貯まっていません。だからこそ、いつまでも働けるよう、健康には細心の注意を払っていこうというのが、二人のスローガンだったわけです。
ある日、起きてこなかった夫…警察に疑われる妻
何よりも健康に対して人一倍気を遣っていたのは進さん。「俺は早死の家系だから」というのが口癖で、毎日ジョギングにストレッチは欠かさず、朝は自作の野菜たっぷりジュース。煙草もやらず、お酒もたしなむ程度……あまりの健康オタクっぷりから、誰からも「マスターは、120歳まで生きられる」と太鼓判を押されるような人だったといいます。
過去形でいうとおり、進さんは65歳で急逝。原因はまったくわからないと智子さん。
――その日、いつまでも起きてこなくて。どうしたのかなと思って起こしにいったら、布団のなかで亡くなっていました
警察がやってきて検視をしていったといいますが、急逝心臓死と結論付けられたとか。
――私が何かしたと疑われてね……あのときは大変だった
しかし本当に大変なのはこれから。智子さんも65歳なので年金受給が始まる年齢。「生活が苦しくても、保険料だけは払ってきた」というだけあり、申請すれば満額受給となるはず。しかし老齢基礎年金だけなので月6万8,000円(令和6年度)。これだけで暮らしていくには難しいでしょう。やはり、死ぬまで働く以外、方法はないようです。さらに平均寿命を考えると、あと20年以上もあります。あまりに長すぎる老後に、絶望感を覚えたといいます。
――もう夫もいないのに……どう生きていけというのでしょう
抜け殻のような状態で、それでも店に立つ智子さんに、常連客が「年金をもらうのをもう少し待ったらどうだい?」とアドバイス。いわゆる「年金の繰り下げ受給」。通常であれば65歳から受け取る年金を、66~75歳の希望するタイミングに繰り下げて受け取る制度で、1ヵ月遅らせるごとに受取額は0.7%アップ。最大84%増額と、約2倍になります。令和6年度の水準であれば、75歳まで繰り下げれば12.5万円ほどに。働いて生活できるだけの収入が得られるなら、年金を受け取らず、増額を狙うのも選択肢だというのです。
――老後について夫と話すことといえば健康のことばかりだったので、そんな制度があることを知りませんでした
熟考を重ねた結果、働けなくなったときに少しでも年金は多いほうがいいだろう、ということで、年金を繰り下げることに決めたといいます。
[参考資料]
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