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103万円は超えるなよ、絶対!〈月収45万円〉48歳父の念押しに、〈仕送り月7万円〉〈時給1,430円バイト〉の大学生長男が困窮「どう、生きていけと」

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年11月27日 5時15分

103万円は超えるなよ、絶対!〈月収45万円〉48歳父の念押しに、〈仕送り月7万円〉〈時給1,430円バイト〉の大学生長男が困窮「どう、生きていけと」

写真はイメージです/PIXTA

総選挙後、耳にする機会が多くなった「年収の壁」。そのなかの「103万円の壁」を前に、生活困窮に陥っている若者たちがいます。「明日、どう生きていけば……」そんな嘆きが聞こえてきます。

大学生の親が「103万円を超えるな」と口酸っぱくいう理由

大学生の子を持つ父親であれば、1度はいったことがあるだろう、こんなセリフ。

――103万円は超えるなよ

大学生の子のアルバイト。年収が103万円を超えるとエライこっちゃと、口を酸っぱくして何度もいい聞かせる……大学生の子の親のあるあるでしょうか。

今年、大学進学のため上京してきたという佐々木大輝さん(仮名・19歳)も、父親から「絶対103万円は超えるなよ」と念を押されたと少々うんざりしている様子。

近頃、よく耳にする年収の壁のひとつ「103万円の壁」。これは基礎控除48万円と給与所得控除の最低額55万円を足した金額が103万円となり、これを超えると所得税がかかり、親の扶養からも外れます。親としては扶養控除が受けられなくなり税金が増えるため、「103万円は超えるな!」としつこく念を押すわけです。

まずは、いまいちど、6つの年収の壁についてみていきましょう。

税法上の年収の壁

年収の壁① 100万円の壁

一般的に超えると住民税がかかる。東京都在住の30歳の場合、年収が101万円で住民税が5,000円課税される。

年収の壁② 103万円の壁

一般的に年収が103万円を超えると所得税がかかる。ただし医療費控除等、各種控除の適用を受けることで、壁を超えても所得税がかからない場合がある

年収の壁③150万円の壁

配偶者の税金を計算する際の「配偶者特別控除額」が減り始める。150万円を超えなければ、配偶者は最大71万円の控除が受けられる

年収の壁④ 201万円の壁

150万円を超え、減り始めていた「配偶者特別控除額」が減ゼロになる

社会保険上の年収の壁

年収の壁⑤ 106万円の壁

社会保険料がかかるかどうかの境界線。従業員101人以上の企業で週20時間以上勤務、月額8.8万円(年収約106万円)を超えた場合、社会保険の加入義務が生じる

年収の壁⑥ 130万円の壁

会社の規模に関わらず年収が130万円以上になると、社会保険の被保険者の扶養から抜けて、自ら社会保険に加入。自身の給与から健康保険や厚生年金などの社会保険料を支払う必要が生じる

物価高でも仕送りや奨学金は増えず、103万円の壁も立ちはだかり…八方塞がりの若者たち

地方から上京し、都内の国立大学に通う佐々木大輝さん。地元でも知られた企業で働くサラリーマンの父親(48歳)からは、上京・進学にあたり「仕送りは月7万まで。足りない分は奨学金とアルバイトで賄うこと」といわれたとか。

――うちは平均的な家庭だから、東京の私大なんて無理といっていました。結局、学費も払ってくれてありがたいです

佐々木さんの出身地における大企業勤務・40代後半のサラリーマンの平均給与は、手当込みの月収で45.5万円、手取りは34万円ほど。賞与も含めた年収で687.9万円。そこから月7万円の仕送り、初年度150万円近い学費を工面……佐々木さんのお父さん、かなり頑張っています。

そんな父親に感謝してもし切れないという佐々木さんですが、「アルバイトを103万円以内に収めるというのがかなりしんどい」といいます。

――仕送りは家賃で消えて、残りは自分もち。できるだけアルバイト代でやりくりをしたいと考えています

月5万円ほどの奨学金を手にしている佐々木さんですが、ほぼ手を付けていないといいます。なぜ?

――奨学金の返済が大変って聞きますよね。だから万一、何か起きたときのために受け取るけど、できるだけ使わず貯金に回して、卒業したと同時に一気に返済したいと考えています

労働者福祉中央協議会『高等教育費や奨学金負担に関するアンケート2024』によると、奨学金返済に7割が不安を感じ、返済の負担感に4割台半ばが苦しさを実感しています。また奨学金返済は生活設計にも大きな影響を及ぼし、「貯蓄」は6割強、「日常的な食事」や「結婚」は4割強、「出産」「子育て」は4割前後が「影響あり」と回答しています。このような状況下、佐々木さんのように「奨学金は利用するが、できるだけ使わないよう生活をする」という人がいてもおかしくないでしょう。

アルバイトは時給1,430円の飲食店。「まかないがあり食費が浮くから」というのが選んだ理由だといいます。いろいろと節約を心がけているものの、生活はかなり困窮。

――何を買うにしても高くて。物価は高くなっているのに、103万円はそのまま……おかしくないですか?

総務省が発表した10月の消費者物価指数(CPI、2020年=100)は、生鮮食品を除く総合指数が108.8となり、前年同月比2.3%の上昇。生鮮食品を除く食料は3.8%の上昇、価格高騰が続く米類は58.9%の上昇で、比較可能な1971年1月以降、過去最大の伸び率となりました。

――物価が上がっても、仕送りや奨学金が増えるわけではないし、アルバイトは103万円までといわれるし……このままでは生きていけません

稼ぎたくても稼ぐことのできない学生たち。103万円の壁については撤廃が叫ばれているものの、地方税収が1割減になると予測されるなど、議論は遅々と進んでいかない印象。そういっているうちに、生活困窮に陥る学生は増加の一途を辿っていきそうです。

[参考資料]

労働者福祉中央協議会『高等教育費や奨学金負担に関するアンケート2024』

総務省『消費者物価指数(CPI)』

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