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奨学金=借金でしょ?〈実家が太い婚約者〉の母が難色…奨学金を借りられるだけ借りて「月1万5,000円」返済中の〈32歳男性〉の大いなる誤算「こんなはずでは」【CFPの助言】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年11月30日 10時15分

奨学金=借金でしょ?〈実家が太い婚約者〉の母が難色…奨学金を借りられるだけ借りて「月1万5,000円」返済中の〈32歳男性〉の大いなる誤算「こんなはずでは」【CFPの助言】

(※写真はイメージです/PIXTA)

現在日本では、経済的理由のために勉強する機会を失わないために、奨学金の制度が用意されています。奨学金を利用しながら進学する人も多くいます。現在奨学金を返済中の俊樹さん(32歳)もその中の1人です。今回は、CFPなどの資格を持つトータルマネーコンサルタントの新井智美さんが、奨学金を受ける際の注意点などについて解説します。

奨学金とは

奨学金とは、経済的な理由で進学の機会を断念することのないように、学生本人がお金を借り、卒業後に返済していく制度です。奨学金には返済しなくても良い「給付型」と返済しなければならない「貸与型」があり、給付型は低所得世帯が該当します。もちろん貸与型も所得制限が設けられており、一定以上の所得がある世帯だと奨学金を受けられないケースもあります。

2024年から給付型奨学金の拡大も

給付型奨学金はこれまで所得に応じて3区分に分けられていましたが、2024年からは私立大学に進学する多子世帯や私立の理工農学系の学科に進学するケース(4区分)が設けられ、支援の幅が拡大されています。

大学独自の奨学金もある

また、大学によっては独自の奨学金制度を導入しているところもありますので、希望する進学先に奨学金の制度がないか、また受けるための要件などについて確認しておきましょう。

貸与型第二種を利用して進学

ひとり親世帯で育った俊樹さんは、大学進学への希望を持っていました。しかし、希望する大学の学費などを考えるとお金の工面ができず、進学は諦めて働く方法も考えていたそうです。

高校3年生の4月に奨学金の説明会が学校で開催され、それに参加した俊樹さんは母親の恵美さん(43歳)に奨学金を利用して進学したいと相談しました。恵美さんはフルタイムで働いていたものの、大学進学にかかるお金について全額を賄える自信がなかったことから、貸与型の奨学金に申し込むことにしました。申し込みは高校を通して行われ、必要書類をそろえて提出し、無事に奨学生として採用されることになりました。

貸与型の奨学金は第一種と第二種に分けられ、第一種は無利子で借りられるものの第二種のほうが借りられる金額が多かったため、俊樹さんは第二種に申し込みました。

そのおかげで自宅外通学だったものの、仕送りを受けることなく大学を卒業できたのです。

奨学金の返済はいつから始まる?

奨学金の返済は、奨学金の貸与が終了した翌月から数えて7ヶ月目から始まります。俊樹さんは毎月約1万5,000円を18年間かけて返すことになりました。卒業し、会社員になってからずっと返済を続けてきました。

ある日、お付き合いをしている30歳の楓さんとの間に結婚話が持ち上がりました。楓さんも俊樹さんの奨学金のことを承知していたのですが、楓さんの母親が俊樹さんに奨学金の返済があることを知って結婚に難色を示すようになりました。楓さんの実家は東京都内にあり裕福なこともあって楓さん自身は奨学金を借りる必要もなく、都内の中高一貫の女子校からそのまま付属の大学に進学しました。楓さんの母親もどちらかと言えばお嬢様育ちで奨学金とは無縁の生活を送ってきたので、奨学金と聞いて「借金がある男と結婚させるわけにはいかない!」と激高してしまったというわけです。

結局、楓さんの父親が母親をとりなしたおかげで俊樹さんと楓さんは結婚できることになりました。実は楓さんの父親も学生時代、奨学金を借りながら国立大学の大学院まで行ったそうで「今、問題なく返せてるのであれば問題ないじゃないか」と母親を説得したということです。

ひとまず一件落着といったところでしたが、俊樹さんにとっては奨学金について考えるきっかけにはなりました。実は楓さんの母親と揉めている最中にFPのもとに相談に行っていたのです。FPから「子どもが産まれ、家を購入しようと考えた際に、毎月1万5,000円の返済に住宅ローンの返済が加わることで家計に負担がかかり、希望している新築の家を購入できるだけの借り入れが難しくなる可能性がある」とアドバイスを受けた俊樹さんは結婚後のお金について楓さんと話し合ったと言います。

奨学金が返済できなくなったら…

奨学金を借りた人のなかには、思ったように就職ができず収入がないままの人もいます。2023年の資料によると、奨学金の返済を3ヶ月以上滞納している人の割合が約2.7%ある点も見逃せません。奨学金が払えなくなったときには以下の救済制度が設けられていますので、払えなくなった時点で申請するようにしましょう。

減額返還制度

毎月の返済額をこれまでの2分の1、3分の1、4分の1、3分の2に減額する制度です。ただし、減額したぶん返済期間が延びる点に注意が必要です。

返済期間猶予制度

一定期間返済を猶予してもらえる制度です。ただし、猶予できるのでは最大10年間です。

どちらの制度も申請して認められなければ利用できません。制度を利用するには要件を満たさなければならない点にも注意しておきましょう。

借りられる額ではなく、返せる額を借りることが大切

俊樹さんの誤算は借りられるだけ借りようと思ったことです。もちろん、借りる額は自分で決められますが、返すのは自分だということを借りる時点でしっかりと認識していなければなりません。

俊樹さんは就職し、収入も得ているため返済が続けられるものの、就職できずに収入がなく返済できないケースもあります。放置しておくと信用事故情報として登録され、各種ローンやクレジットカードの審査に通らなくなってしまうため、必ず救済制度を利用するようにしてください。

また、返済額が後々のライフイベントに影響することのないように、借りられるだけ借りるのではなく、自分できちんと返せるだけの金額を借りることが大切です。

<参照> 奨学金|JASSO https://www.jasso.go.jp/shogakukin/

返還が難しくなった場合|JASSO https://www.jasso.go.jp/shogakukin/henkan_konnan/index.html

(資料1)令和4年度業務実績及び返還金の回収状況等について https://www.jasso.go.jp/about/disclosure/iinkai/kikanhosyokensyoiinkai/2019_2023/__icsFiles/afieldfile/2024/07/17/r05_1_s01.pdf

新井智美

トータルマネーコンサルタント

CFP

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